- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 欧州経済 >
- 欧州経済動向~緩やかな拡大持続も警戒は怠れない~
2016年08月19日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
- 4~6月期のユーロ圏実質GDPは前期比0.3%と緩やかな回復が続いた。過去2年余りの基調は変わらず、最大の需要項目である個人消費が主導したと思われる。
- 6月に英国がEUからの離脱を選択したがユーロ圏経済に急ブレーキが掛かる兆候はない。世界的に経済見通しの下方修正を矢継ぎ早に迫られた2008年9月のリーマン・ショック後とは大きく違う。IMFはリーマン・ショックを「1930年代以降で最も深刻な成熟市場における金融ショック」と位置づけたが、離脱ショックは「金融市場の反応は激しかったが、総じて秩序は保たれていた」と評価している。そもそも危機のタイプが違うが、世界金融危機を教訓とする中央銀行の対応や、金融規制・監督体制の改革の進展が金融市場のショックへの耐性を高めたことも秩序の維持に貢献した。
- しかし、警戒は怠れない。英国のEU離脱に関わる不確実性の解消には時間が掛かる。現在の世界経済には著しい金融緩和や規制・監督体制強化の副作用とも言える新たなタイプの危機のリスクがある。欧州には政治リスクもある。
- 英国の中央銀行・BOEは8月4日に包括的な金融緩和策を発表し、年内追加利下げ強く示唆した。ECBの次回の政策理事会は9月8日に見通しを小幅に下方修正し、資産買入れプログラムの期限延長を決めるだろう。7月理事会議事要旨では、英国の国民投票後の銀行株の不安定な動きへの懸念が伺われた。
(2016年08月19日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1832
経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/18 | トランプ関税へのアプローチ-日EUの相違点・共通点 | 伊藤 さゆり | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/28 | トランプ2.0でEUは変わるか? | 伊藤 さゆり | 研究員の眼 |
2025/03/17 | 欧州経済見通し-緩慢な回復、取り巻く不確実性は大きい | 伊藤 さゆり | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/07 | 始動したトランプ2.0とEU-浮き彫りになった価値共同体の亀裂 | 伊藤 さゆり | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年04月25日
世界人口の動向と生命保険マーケット-生保マーケットにおける「中国の米国超え」は実現するのか- -
2025年04月25日
年金や貯蓄性保険の可能性を引き出す方策の推進(欧州)-貯蓄投資同盟の構想とEIOPA会長の講演録などから -
2025年04月25日
「ほめ曜日」×ご褒美消費-消費の交差点(9) -
2025年04月25日
欧州大手保険グループの2024年の生命保険新契約業績-商品タイプ別・地域別の販売動向・収益性の状況- -
2025年04月25日
若手人材の心を動かす、企業の「社会貢献活動」とは(2)-「行動科学」で考える、パーパスと従業員の自発行動のつなぎ方
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【欧州経済動向~緩やかな拡大持続も警戒は怠れない~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
欧州経済動向~緩やかな拡大持続も警戒は怠れない~のレポート Topへ