- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- さくらレポート(2016年7月)~景気判断は2地域で引き下げ、先行きは景況感の悪化が鮮明
2016年07月07日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
前回調査からの悪化幅は、熊本地震の影響で九州・沖縄(▲5ポイント)が最大となり、次いで中国(▲4ポイント)、北陸、東海(▲2ポイント)と続いている(図4)。九州・沖縄では、木材・木製品(+11ポイント)、はん用・生産用・業務用機械(+8ポイント)が改善となる一方で、金属製品(▲20ポイント)や非鉄金属(▲16ポイント)など12業種中10業種で悪化したため、全体では落ち込みが最大となった(図5)。中国では、円高進行への懸念などから輸送用機械(▲42ポイント)が大幅なマイナスとなったほか、紙・パルプ(▲37ポイント)、非鉄金属(▲22ポイント)などが悪化した。北陸では、石油・石炭製品(▲80ポイント)や木材・木製品(▲20ポイント)などが全体を押し下げた。
先行きについては、北海道、東北、九州・沖縄を除く6地域で今回調査から悪化が見込まれるなど不透明感が強まっている。業種別では、円高の進行や新興国経済の減速を受けて、輸送用機械、はん用・生産用・業務用機械を中心に悪化が鮮明となっている(図6)。一方、原油価格の回復が石油・石炭製品の景況感にプラス寄与したほか、市況改善により鉄鋼や金属製品にも持ち直しの動きがみられる。
日銀短観6月調査では、大企業製造業の2016年度想定為替レートが111.41円と3月調査時点(117.46円)から6円程度円高方向に修正されている。しかしながら、英国のEU離脱を受けて足元の為替レートは101円前後と10円程度円高が進行しており、次回調査の9月にかけて円高傾向が定着した場合、企業マインドや設備投資に悪影響を及ぼす可能性が高い。
先行きについては、北海道、東北、九州・沖縄を除く6地域で今回調査から悪化が見込まれるなど不透明感が強まっている。業種別では、円高の進行や新興国経済の減速を受けて、輸送用機械、はん用・生産用・業務用機械を中心に悪化が鮮明となっている(図6)。一方、原油価格の回復が石油・石炭製品の景況感にプラス寄与したほか、市況改善により鉄鋼や金属製品にも持ち直しの動きがみられる。
日銀短観6月調査では、大企業製造業の2016年度想定為替レートが111.41円と3月調査時点(117.46円)から6円程度円高方向に修正されている。しかしながら、英国のEU離脱を受けて足元の為替レートは101円前後と10円程度円高が進行しており、次回調査の9月にかけて円高傾向が定着した場合、企業マインドや設備投資に悪影響を及ぼす可能性が高い。
4.非製造業の業況判断は現状、先行きともに8地域で悪化
非製造業の業況判断DIは、全9地域中、北海道を除く8地域(東北、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄)で悪化した(図7)。引き続き国内需要の低迷が景況感の下押し要因となったほか、これまで牽引役となっていた訪日外国人旅行客によるインバウンド消費が鈍ったことが全体を押し下げたとみられる。業種別では、インバウンド消費が下支えとなっていた小売や宿泊・飲食サービスなどで景況感の悪化が鮮明となった。最近の景気ウォッチャー調査においても、百貨店などの小売業では年初来の株安に加え、インバウンド消費の減速を懸念する声が多く寄せられている。
前回調査からの悪化幅は、熊本地震の影響で九州・沖縄(▲12ポイント)が最大となり、次いで四国(▲7ポイント)、東海、近畿、中国(▲4ポイント)と続いている(図8)。九州・沖縄では、熊本地震による交通網の寸断やインバウンド消費の減速を受けて、宿泊・飲食サービス(▲50ポイント)や運輸・郵便(▲20ポイント)など11業種中8業種で悪化した(図9)。四国では、対事業所サービス(▲22ポイント)が大幅な悪化となったほか、公共工事の減少などから建設(▲12ポイント)が悪化した。近畿では、インバウンド需要の鈍化などを受けて宿泊・飲食サービス(▲23ポイント)、小売(▲13ポイント)など幅広い業種(10業種中8業種)で悪化した。中国では、鉱業・採石業・砂利採取業(▲15ポイント)、運輸・郵便(▲11ポイント)などの悪化幅が大きかった。前回調査から小幅な悪化(▲1ポイント)にとどまった北陸では、新幹線開業効果が薄れたこともあり宿泊・飲食サービス(▲24ポイント)の悪化幅は11業種中で最大となった。
先行きについては、全9地域で悪化する見込みである。業種別では、燃料価格の上昇を受けて運輸・郵便が悪化するほか、高水準を維持している建設や不動産などで悪化が見込まれる(図10)。引き続き国内需要の低迷、円高や新興国経済減速を背景にインバウンド需要が細るとの懸念が高まっていることが、非製造業の景況感を押し下げているとみられる。国内需要の低迷が続くなか、先行きは為替水準や海外経済の動向に注意が必要となろう。
前回調査からの悪化幅は、熊本地震の影響で九州・沖縄(▲12ポイント)が最大となり、次いで四国(▲7ポイント)、東海、近畿、中国(▲4ポイント)と続いている(図8)。九州・沖縄では、熊本地震による交通網の寸断やインバウンド消費の減速を受けて、宿泊・飲食サービス(▲50ポイント)や運輸・郵便(▲20ポイント)など11業種中8業種で悪化した(図9)。四国では、対事業所サービス(▲22ポイント)が大幅な悪化となったほか、公共工事の減少などから建設(▲12ポイント)が悪化した。近畿では、インバウンド需要の鈍化などを受けて宿泊・飲食サービス(▲23ポイント)、小売(▲13ポイント)など幅広い業種(10業種中8業種)で悪化した。中国では、鉱業・採石業・砂利採取業(▲15ポイント)、運輸・郵便(▲11ポイント)などの悪化幅が大きかった。前回調査から小幅な悪化(▲1ポイント)にとどまった北陸では、新幹線開業効果が薄れたこともあり宿泊・飲食サービス(▲24ポイント)の悪化幅は11業種中で最大となった。
先行きについては、全9地域で悪化する見込みである。業種別では、燃料価格の上昇を受けて運輸・郵便が悪化するほか、高水準を維持している建設や不動産などで悪化が見込まれる(図10)。引き続き国内需要の低迷、円高や新興国経済減速を背景にインバウンド需要が細るとの懸念が高まっていることが、非製造業の景況感を押し下げているとみられる。国内需要の低迷が続くなか、先行きは為替水準や海外経済の動向に注意が必要となろう。
(2016年07月07日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
岡 圭佑
岡 圭佑のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2017/05/10 | 企業の賃上げ意欲を削ぐ社会保障負担 | 岡 圭佑 | 基礎研マンスリー |
2017/03/24 | 企業の賃上げ意欲を削ぐ社会保障負担 | 岡 圭佑 | 基礎研レター |
2017/02/10 | 企業物価指数(2017年1月)~2015年3月以来の上昇、物価は上昇基調へ | 岡 圭佑 | 経済・金融フラッシュ |
2017/02/09 | 景気ウォッチャー調査(17年1月)~回復基調に一服感、トランプ新政権に対する不透明感が重石 | 岡 圭佑 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【さくらレポート(2016年7月)~景気判断は2地域で引き下げ、先行きは景況感の悪化が鮮明】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
さくらレポート(2016年7月)~景気判断は2地域で引き下げ、先行きは景況感の悪化が鮮明のレポート Topへ