2017年02月10日

企業物価指数(2017年1月)~2015年3月以来の上昇、物価は上昇基調へ

  岡 圭佑

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1.国内企業物価は2015年3月以来の上昇

2月10日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2017年1月の国内企業物価は前年比0.5%(12月:同▲1.2%)と2015年3月以来のプラスとなり、事前の市場予想(QUICK集計:同0.0%)を上回った。前月比では0.6%(12月:同0.7%)と3ヵ月連続でプラスとなった。今回から2015年基準に改定され、16年1月から17年1月までの平均で前年比▲0.1%の小幅な下方修正となった。
 
国内企業物価指数の要因分解 国内企業物価注1の前年比寄与度をみると、鉄鋼・建材関連(12月:前年比0.1%→1月:同0.3%)、為替・海外市況連動型(12月:前年比0.3%→1月:同1.2%)のプラス寄与が前月から拡大したほか、素材(その他)(12月:前年比▲0.6→1月:同▲0.3%)のマイナス寄与が縮小したことが、国内企業物価を前年比で押し上げた。

国際商品相場が需給の改善を背景に堅調に推移していることや、為替が円安基調にあることから物価上昇圧力が高まりつつある。対前年比の伸び率をみると、鉄鋼・建材関連(12月:前年比1.1%→1月:同2.5%)は、スクラップ類(12月:前年比32.3%→1月:同38.1%)の急上昇を主因に堅調に推移している。為替・海外市況連動型(12月:前年比3.3%→1月:同16.9%)についても、石油・石炭製品(12月:前年比4.0%→1月:同22.3%)や非鉄金属(12月:前年比1.6%→1月:同6.7%)の上昇などを受けて前年比で伸びが拡大した。非鉄金属では、銅の国際市況が改善したことなどから上昇している。石油・石炭製品では、OPEC・非加盟国による減産が着実に進んでいることを背景に石油製品が堅調に推移しているほか、中国政府主導の過剰生産能力の削減などが石炭製品を押し上げている。
 
注1  1.機械類:はん用機器、生産用機器、業務用機器、電子部品・デバイス、電気機器、情報通信機器、輸送用機器
   2.鉄鋼・建材関連:鉄鋼、金属製品、窯業・土石製品、製材・木製品、スクラップ類
   3.素材(その他):化学製品、プラスチック製品、繊維製品、パルプ・紙・同製品
   4.為替・海外市況連動型:石油・石炭製品、非鉄金属 
   5.その他:食料品・飲料・たばこ・飼料、その他工業製品、農林水産物、鉱産物

2.輸入物価は約2年ぶりの上昇

1月の輸入物価は、契約通貨ベース(12月:前年比1.2%→1月:同7.1%)では2ヵ月連続のプラス、円ベース(12月:前年比▲2.6%→1月:同4.5%)では2014年12月以来となるプラスに転じた。

輸入物価(円ベース)注2の前年比寄与度をみると、石油・石炭・天然ガス(12月:前年比0.6%→1月:同6.6%)、金属製品(12月:前年比0.5%→1月:同1.2%)のプラス寄与が前月から拡大したほか、機械器具(12月:前年比▲1.8%→1月:同▲1.6%)のマイナス寄与が縮小したことが輸入物価を押し上げた。

対前年比の伸び率をみてみると、原油(前年比48.3%)や石炭(前年比58.8%)が堅調に推移したことや円安を背景に、石油・石炭・液化天然ガス(円ベース)は前年比26.5%(12月:同2.3%)と前月からプラス幅を大きく拡大した。金属・同製品(円ベース)についても、金属素材(前年比13.3%)や鉄鋼(前年比22.8%)の急上昇を受けて前年比11.2%(12月:同4.3%)と伸びを拡大した。

為替レート(月中平均)は1月に1ドル=114.7円、前年比3.0%の円高水準となった後、2月は1ドル=112.8円(前年比1.9%の円高)で推移しており、対前年比での円高の影響はほぼ一巡しつつある。足元では円安の進行が一服していることから、輸入物価(円ベース)の大幅な上昇は見込みにくいものの、国際商品市況が支えとなり緩やかな上昇が続くと予想する。
輸入物価指数変化率の要因分解(円ベース)/輸入物価指数の変動要因
 
注2 1.機械器具:はん用・生産用・業務用機器、電気・電子機器、輸送用機器
   2.その他:繊維品、木材・同製品、その他産品・製品

3.最終財への下押し圧力はほぼ一巡

需要段階別指数 1月の需要段階別指数(国内品+輸入品)をみると、素原材料が前年比17.5%(12月:同3.2%)、中間材が前年比0.3%(12月:同▲2.2%)、最終財が前年比▲0.6%(12月:同▲1.7%)となった。

国際商品市況の持ち直しや円安の進行で素原材料は前年比で伸びが拡大しており、上昇圧力が高まっている。川下の最終財についてもマイナス幅が縮小するなど、川上から川下への下押し圧力は一巡しつつある。消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い最終消費財は1月の前年比▲0.6%から2016年度末までにプラスに転じた後、円高の影響一巡やエネルギー価格の上昇を受けて伸びを高めると予想する。

4.国内企業物価は緩やかな上昇が続く見込み

国際商品市況の改善や円安を背景に、前年比でみた国内企業物価は2015年3月以来となるプラスに転じた。特に原油価格(ドバイ)はOPEC・非加盟国による減産を受け1バレル=50ドル台で推移するなど、昨年の水準(1バレル=30ドル程度)から大幅に水準を切り上げており、国内企業物価の押し上げ要因となっている。先行きは、国際商品市況が堅調に推移すること、国内景気の持ち直しを背景に需給が改善することなどから、緩やかな上昇が続くことが予想される。もっとも、トランプ新政権が掲げる政策に対して不透明感が高まっており、引き続き商品市況や為替レートに与える影響を注視する必要があろう。                      
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岡 圭佑

研究・専門分野

(2017年02月10日「経済・金融フラッシュ」)

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