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- さくらレポート(2016年1月)~景気は改善基調を維持も、先行きは景況感の悪化が鮮明
2016年01月19日
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1.全9地域中7地域で景気判断を据え置き(東海は引き上げ、近畿は引き下げ)
2.業況判断は8地域で改善も、先行きは全9地域で悪化
「地域経済報告(さくらレポート)」と同時に公表された「地域別業況判断DI(全産業)」をみると、全9地域中8地域(北海道、東北、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄)で前回調査(2015年10月)から改善し、関東甲信越で横ばいとなった(図1)。
前回調査からの改善幅をみると、四国(+3ポイント)が最も大きく、次いで東北、北陸、東海、中国(+2ポイント)、北海道、近畿、九州・沖縄(+1ポイント)と続いている(図2)。前回調査からの改善幅は小幅なものに留まるものの、広範囲にわたって景況感の改善がみられたことから、足元では景気の回復基調は維持されていると判断される。
先行き(2016年4月)については、全9地域で今回調査から悪化が見込まれており、これまで「回復している」「回復を続けている」「拡大している」としていた景気判断が次回調査(2016年4月)で下方修正される可能性を示唆している。今回調査からの悪化幅は北海道、北陸(▲10ポイント)が最大となったほか、悪化幅が最小となった九州・沖縄でも▲4ポイントとなるなど先行きは悪化基調が鮮明となっている。
前回調査からの改善幅をみると、四国(+3ポイント)が最も大きく、次いで東北、北陸、東海、中国(+2ポイント)、北海道、近畿、九州・沖縄(+1ポイント)と続いている(図2)。前回調査からの改善幅は小幅なものに留まるものの、広範囲にわたって景況感の改善がみられたことから、足元では景気の回復基調は維持されていると判断される。
先行き(2016年4月)については、全9地域で今回調査から悪化が見込まれており、これまで「回復している」「回復を続けている」「拡大している」としていた景気判断が次回調査(2016年4月)で下方修正される可能性を示唆している。今回調査からの悪化幅は北海道、北陸(▲10ポイント)が最大となったほか、悪化幅が最小となった九州・沖縄でも▲4ポイントとなるなど先行きは悪化基調が鮮明となっている。
3.製造業の業況判断は5地域で改善、先行きは8地域で悪化
製造業の業況判断DIは、全9地域中5地域(北海道、東北、北陸、中国、四国)で改善し、2地域(関東甲信越、九州・沖縄)で悪化した(東海、近畿は横ばい)(図3)。
12月14日に公表された短観では、国内需要の低迷や中国をはじめとした新興国経済の減速の影響などが企業マインドの下押し要因となったことが示された。地域経済報告(さくらレポート)においても、在庫調整圧力の高い鉄鋼などで景況感の悪化が示されたほか、中国への輸出依存度が高い電気機械、はん用・生産用・業務用機械などで悪化するなど、内需低迷や新興国経済の減速を色濃く反映する結果となった。一方、在庫調整が遅れていた輸送用機械に持ち直しの動きがみられたほか、円安を主因とする値上げによって収益改善が奏功していた食料品が改善基調を維持するなど明るい材料もみられた。
前回調査からの改善幅は、四国(+3ポイント)が最も大きく、次いで東北、北陸(+2ポイント)、北海道、中国(+1ポイント)と続いている(図4)。四国では、自動車販売の持ち直しなどから輸送用機械(+8ポイント)が改善したほか、繊維(+11ポイント)が製造業の景況感を押し上げた(図5)。近畿では、窯業・土石製品(+11ポイント)、輸送用機械(+13ポイント)などが製造業の景況感改善を牽引した。
前回調査からの悪化幅は、九州・沖縄(▲4ポイント)が最も大きく、次いで関東甲信越(▲1ポイント)が続いている。九州・沖縄では、中国経済の減速の影響を受けやすい電気機械(▲17ポイント)、はん用・生産用・業務用機械(▲7ポイント)が大幅に悪化したことが景況感の押し下げにつながった。北陸では、輸送用機械(+33ポイント)が景況感の押し上げ要因となる一方で、金属製品(▲25ポイント)、はん用・生産用・業務用機械(▲17ポイント)などが悪化した。
先行きについては、九州・沖縄を除く8地域で今回調査から悪化が見込まれるなど不透明感が強まっている。業種別では、中国をはじめとした新興国経済の減速などから輸送用機械、電気機械を中心に悪化基調が鮮明となっている(図6)。日銀短観12月調査では、2015年度想定為替レートが119.40円と9月調査時点(117.39円)から円安に修正されている。年初に120円程度の水準にあった為替レートは、中国経済の減速に対する懸念が再浮上したことに加え、サウジアラビアによるイランとの外交関係断絶や北朝鮮による核実験といった地政学リスクの高まりを受けて117円程度まで円高が進行しており、同程度の水準が続くようであれば景況感の一段の悪化は避けられないだろう。
12月14日に公表された短観では、国内需要の低迷や中国をはじめとした新興国経済の減速の影響などが企業マインドの下押し要因となったことが示された。地域経済報告(さくらレポート)においても、在庫調整圧力の高い鉄鋼などで景況感の悪化が示されたほか、中国への輸出依存度が高い電気機械、はん用・生産用・業務用機械などで悪化するなど、内需低迷や新興国経済の減速を色濃く反映する結果となった。一方、在庫調整が遅れていた輸送用機械に持ち直しの動きがみられたほか、円安を主因とする値上げによって収益改善が奏功していた食料品が改善基調を維持するなど明るい材料もみられた。
前回調査からの改善幅は、四国(+3ポイント)が最も大きく、次いで東北、北陸(+2ポイント)、北海道、中国(+1ポイント)と続いている(図4)。四国では、自動車販売の持ち直しなどから輸送用機械(+8ポイント)が改善したほか、繊維(+11ポイント)が製造業の景況感を押し上げた(図5)。近畿では、窯業・土石製品(+11ポイント)、輸送用機械(+13ポイント)などが製造業の景況感改善を牽引した。
前回調査からの悪化幅は、九州・沖縄(▲4ポイント)が最も大きく、次いで関東甲信越(▲1ポイント)が続いている。九州・沖縄では、中国経済の減速の影響を受けやすい電気機械(▲17ポイント)、はん用・生産用・業務用機械(▲7ポイント)が大幅に悪化したことが景況感の押し下げにつながった。北陸では、輸送用機械(+33ポイント)が景況感の押し上げ要因となる一方で、金属製品(▲25ポイント)、はん用・生産用・業務用機械(▲17ポイント)などが悪化した。
先行きについては、九州・沖縄を除く8地域で今回調査から悪化が見込まれるなど不透明感が強まっている。業種別では、中国をはじめとした新興国経済の減速などから輸送用機械、電気機械を中心に悪化基調が鮮明となっている(図6)。日銀短観12月調査では、2015年度想定為替レートが119.40円と9月調査時点(117.39円)から円安に修正されている。年初に120円程度の水準にあった為替レートは、中国経済の減速に対する懸念が再浮上したことに加え、サウジアラビアによるイランとの外交関係断絶や北朝鮮による核実験といった地政学リスクの高まりを受けて117円程度まで円高が進行しており、同程度の水準が続くようであれば景況感の一段の悪化は避けられないだろう。
(2016年01月19日「経済・金融フラッシュ」)
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