- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 保険 >
- 保険会社経営 >
- インドの生命保険市場(2)-昨今の保険監督規制を巡る状況はどのようになっているのか-
2015年12月14日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
6―その他の改正
その他の保険事業に関連して行われている改正を、3点紹介する。
1|銀行に対するブローカー免許の付与
IRDAIは、2013年7月に、銀行にブローカー免許を与えることを認めることとし、銀行が複数の保険会社からの商品を販売することを可能とする規制を発行した。2015年にRBI(インド準備銀行:the Reserve Bank of India)がガイドラインを発行し、保険ブローカービジネスに参入するための具体的な要件等を明確にした。
2|保険保管システムの構築
IRDAIは、2013年9月に、電子書式による保険契約のデータベースである保険保管システム(Insurance repository system)を構築した。これにより、保険契約者は、より速いスピードと正確さで、容易に契約を変更することができるようになる。IRDAIは、全ての生命保険会社に、電子書式で契約を発行することを義務化している。
全ての保険会社に対する強制的なパイロット・プログラムが設立され、2014年7月から、個人契約の5%あるいは1,000件のいずれか少ない契約数を、保管会社の電子書式に転換しなければならなくなった。
3|PMJDYの導入
インド政府は、2014年8月に、PMJDY(Pradhan Mantri Jan Dhan Yojana)と呼ばれる国家スキームを導入した。これは、全ての国民に、銀行へのユニバーサルなアクセスを提供することを目的としたものである。10歳以上の銀行口座を有しない全ての国民は、このスキームの下で、残高がゼロの口座を開設することができる。
デビットカード付の残高ゼロの銀行口座が、HDFC Ergoによって提供される100,000ルピー(18.5万円)の傷害保険付で提供される。さらに、2015年1月までに口座を開設した人には、国営のLIC(Life Insurance Corporation of India)によって提供される30,000ルピー (5.55万円)の生命保険の資格が与えられる。
1|銀行に対するブローカー免許の付与
IRDAIは、2013年7月に、銀行にブローカー免許を与えることを認めることとし、銀行が複数の保険会社からの商品を販売することを可能とする規制を発行した。2015年にRBI(インド準備銀行:the Reserve Bank of India)がガイドラインを発行し、保険ブローカービジネスに参入するための具体的な要件等を明確にした。
2|保険保管システムの構築
IRDAIは、2013年9月に、電子書式による保険契約のデータベースである保険保管システム(Insurance repository system)を構築した。これにより、保険契約者は、より速いスピードと正確さで、容易に契約を変更することができるようになる。IRDAIは、全ての生命保険会社に、電子書式で契約を発行することを義務化している。
全ての保険会社に対する強制的なパイロット・プログラムが設立され、2014年7月から、個人契約の5%あるいは1,000件のいずれか少ない契約数を、保管会社の電子書式に転換しなければならなくなった。
3|PMJDYの導入
インド政府は、2014年8月に、PMJDY(Pradhan Mantri Jan Dhan Yojana)と呼ばれる国家スキームを導入した。これは、全ての国民に、銀行へのユニバーサルなアクセスを提供することを目的としたものである。10歳以上の銀行口座を有しない全ての国民は、このスキームの下で、残高がゼロの口座を開設することができる。
デビットカード付の残高ゼロの銀行口座が、HDFC Ergoによって提供される100,000ルピー(18.5万円)の傷害保険付で提供される。さらに、2015年1月までに口座を開設した人には、国営のLIC(Life Insurance Corporation of India)によって提供される30,000ルピー (5.55万円)の生命保険の資格が与えられる。
7―まとめ
今回のレターでは、昨今のインドにおける保険監督規制を巡る状況及び生命保険普及に向けたインド政府の各種の施策等について、報告してきた。現在も、いくつかの保険監督規制の改正の検討が進められており、生命保険市場の健全な発展に向けた環境整備が行われてきている。なお、今回のレターでは、生命保険を中心に述べているが、医療保険に関しても、各種の規制改正が行われてきている。
このように、急速なペースで進められている規制改正は、保険会社にとっては、継続的なビジネス・モデルの構築に悪影響を与えることにもなりかねない、との懸念もある。従って、本来的には、影響度調査等も踏まえて、段階的に対応していくことが望まれる、と考えられる。ただし、潜在的な高い成長期待が、こうした負荷がかかる状況も凌駕して、契約者保護を図り、健全で透明性の高い生命保険市場を構築していくための改革を促してきているものと考えられる。
次回のレターでは、このインドにおける生命保険会社の財務の健全性等がどのような形で規制されているのかを報告する。
このように、急速なペースで進められている規制改正は、保険会社にとっては、継続的なビジネス・モデルの構築に悪影響を与えることにもなりかねない、との懸念もある。従って、本来的には、影響度調査等も踏まえて、段階的に対応していくことが望まれる、と考えられる。ただし、潜在的な高い成長期待が、こうした負荷がかかる状況も凌駕して、契約者保護を図り、健全で透明性の高い生命保険市場を構築していくための改革を促してきているものと考えられる。
次回のレターでは、このインドにおける生命保険会社の財務の健全性等がどのような形で規制されているのかを報告する。
(2015年12月14日「基礎研レター」)
関連レポート
- インドの生命保険市場(1)-巨大国インドの生命保険市場はどのような状況にあるのか-
- インドの保険市場概況-投資型商品の販売規制や経済成長鈍化等により生保市場の成長は足元鈍化するも将来の成長可能性は大-
- ドイツ財務省が責任準備金評価用の最高予定利率の撤廃を提案-EUソルベンシーII導入に伴う監督規制の見直しの動きに対して、関係者の反応はいかに-
- インドの生命保険市場(3)-責任準備金やソルベンシー等の財務面の監督規制はどのようになっているのか-
- インドの生命保険市場(4)-インドのアポインテッド・アクチュアリー制度はどのような仕組みで運営されているのか-
- インドの生命保険市場(5)-インドの生命保険会社のリスク管理はどのように行われているのか-
- インドの生命保険市場(6)-インドの生命保険会社の経営効率や収益性・健全性等の状況はどのようになっているのか-
- インドの生命保険業界及び主要会社の状況-2016年度の決算数値を踏まえての成長性・効率性・収益性・健全性等の動向-
中村 亮一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/10/02 | IAIGsの指定の公表に関する最近の状況(15)-19の国・地域からの61社に- | 中村 亮一 | 保険・年金フォーカス |
2025/09/25 | 数字の「49」に関わる各種の話題-49という数字に皆さんはどんなイメージを有しているのだろう- | 中村 亮一 | 研究員の眼 |
2025/09/12 | 数字の「48」に関わる各種の話題-48という数字は、結構いろいろな場面で現れてくるようだ- | 中村 亮一 | 研究員の眼 |
2025/09/02 | 欧州大手保険グループの2025年上期末SCR比率等の状況-ソルベンシーII等に基づく数値結果報告と資本管理等に関係するトピック- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年10月08日
国内株式投信の売り一巡か?~2025年9月の投信動向~ -
2025年10月08日
若者消費の現在地(3)こだわりが生む選択の主体性~データで読み解く20代の消費行動 -
2025年10月08日
Investors Trading Trends in Japanese Stock Market:An Analysis for September 2025 -
2025年10月07日
投資部門別売買動向(25年9月)~事業法人は52カ月連続買い越し~ -
2025年10月07日
保険会社の再建・破綻処理における実務基準の市中協議(欧州)-欧州保険協会からの意見
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【インドの生命保険市場(2)-昨今の保険監督規制を巡る状況はどのようになっているのか-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
インドの生命保険市場(2)-昨今の保険監督規制を巡る状況はどのようになっているのか-のレポート Topへ