- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 米国経済 >
- 【3月米FOMC】声明文は変更されたものの、6月利上げの可能性は後退
【要旨】
金融政策の概要
米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が3月17-18日(現地時間)に開催された。注目された声明文のフォワードガイダンスでは、市場の予想通り「忍耐強く」(patient)という単語が削除された一方、4月のFOMCでの政策金利引上げの可能性が低いことが明記されたほか、今回の文言変更が最初の引上げ時期を決定したことを意味しないことも明記された。今回のFOMCでは、前回(1月)に続いて全会一致で金融政策が決定された。
一方、今回公表のFOMC参加者の見通しは、失業率が上方修正(失業率は低下)されたものの、成長率および物価見通しが下方修正されたほか、政策金利の引上げ幅についても下方修正された。
金融政策の評価
今回のFOMCでは、予想通り「忍耐強く」との表現が削除されたことから、政策金利の引上げに向けての地均しが続いている。これで最短では6月のFOMCでの政策金利引上げが可能となったとみられる。
もっとも、声明文でも政策金利を引上げる時期は、更なる労働市場の改善と2%の目標に向けて物価が高まっていく合理的な自信が得られた時であると明記されており、今回FOMC参加者の15年の物価見通しが1%を下回る水準まで大幅に引き下げられたことを考慮すれば、足元で政策金利を引き上げるハードルは高いとみられる。
また、イエレン議長の記者会見でも物価見通しを引下げる中で政策金利を引上げる必要があるかとの質問に対して同議長の回答は歯切れが悪く、FRBが政策金利の引上げを急いでいる印象は受けない。これらのことを考慮すれば、政策金利の引上げ時期について6月の可能性は後退したと言えよう。当研究所では引き続き9月の利上げを予想している。
(2015年03月19日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1824
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/10/25 | 米労働市場の緩やかな減速が継続-景気が堅調を維持する中、失業率の大幅上昇は回避へ | 窪谷 浩 | Weekly エコノミスト・レター |
2024/10/21 | 米住宅着工・許可件数(24年9月)-着工件数は前月から小幅に減少も市場予想を上回る。戸建て住宅に回復の兆し | 窪谷 浩 | 経済・金融フラッシュ |
2024/10/07 | 米雇用統計(24年9月)-非農業部門雇用者数は前月比+25.4万人と市場予想の+15.0万人を大幅に上回る | 窪谷 浩 | 経済・金融フラッシュ |
2024/09/30 | 米個人所得・消費支出(24年8月)-年次改定に伴い貯蓄率は大幅上方修正 | 窪谷 浩 | 経済・金融フラッシュ |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年10月25日
金融システム、特に保険と年金基金のリスクと脆弱性に対する助言等の公表(欧州 2024秋)-EIOPA等の合同報告書の紹介 -
2024年10月25日
米労働市場の緩やかな減速が継続-景気が堅調を維持する中、失業率の大幅上昇は回避へ -
2024年10月25日
副業・兼業で広がるキャリア戦略~会社視点の働き方改革から生き方改革へ~ -
2024年10月24日
24年9月末時点の経過措置適用企業の進捗状況~経過措置の適用は2025年3月から順次終了~ -
2024年10月23日
円安再燃、1ドル160円に逆戻りするリスクは?~マーケット・カルテ11月号
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【【3月米FOMC】声明文は変更されたものの、6月利上げの可能性は後退】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【3月米FOMC】声明文は変更されたものの、6月利上げの可能性は後退のレポート Topへ