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2025年08月29日

成約事例で見る東京都心部のオフィス市場動向(2025年上期)-「オフィス拡張移転DI」の動向

金融研究部 主任研究員 佐久間 誠

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3|ビルクラス別での差異は小さく総じて高水準
ビルクラス別のオフィス拡張移転DIを見ると、2025年上期はAクラスビルが72%(前期79%)、Bクラスビルが72%(同84%)、Cクラスビルが76%(同71%)となった(図表6)5。A・Bクラスはいずれも前期から低下したが高水準を維持しており、総じて旺盛なオフィス需要が続いている。Aクラスビルのオフィス拡張移転DIは、コロナ禍で急落したものの、2023年下期以降は70%前後で安定的に推移してきた。これに伴い、東京都心部Aクラスビルの空室率は2023年第4四半期の6.9%から2025年第2四半期には2.3%へ低下し、需給の引き締まりが強まっている。
図表6:ビルクラス別のオフィス拡張移転DIの推移(東京都心部)
 
5 各ビルクラスの分類は、三幸エステートの定義に基づき、同基準を満たすビルを抽出した上で、ビルクラス別のオフィス拡張移転DIを算出している。三幸エステートでは、エリア(都心5区主要オフィス地区とその他オフィス集積地域)から延床面積(1万坪以上)、基準階床面積(300坪以上)、築年数(15年以内)および設備などのガイドラインを満たすビルからAクラスビルを選定している。また、基準階床面積が200坪以上でAクラスビル以外のビルなどからガイドラインに従いBクラスビルを、同100坪以上200坪未満のビルからCクラスビルを設定している(詳細は三幸エステート「オフィスレントデータ2025」を参照)。

3――おわりに

3――おわりに

本稿では、オフィス拡張移転DIをもとに2025年上期のオフィス移転動向を分析した。

その中で、

(1)オフィス拡張移転DIは概ね高水準で推移し、堅調なオフィス需要が継続している
(2)伝統的産業では拡張意欲が底堅く推移
(3)ビルクラス間での差異は小さく、総じてオフィス需要が強い

ことを確認した。

以上のように、2025年上期のオフィス市場は、全体として底堅い推移を維持している。オフィス需給のタイト化が進み都心部の主要エリアでは募集床の品薄感が強まっており、インフレ環境下で賃料上昇が加速するか否かが、今後の注目点となる。

【参考資料】オフィス拡張移転DIについて

【参考資料】オフィス拡張移転DIについて

オフィス拡張移転DI6は、オフィス移転後の賃借面積が移転前と比較して(1)拡張、(2)同規模、(3)縮小、した件数を集計し、次式により計算している。
 
オフィス拡張移転DI
 =1.0×拡張移転件数構成比+0.5×同規模移転件数構成比+0.0×縮小移転件数構成比

オフィス拡張移転DIは0%から100%の間で変動し、基準となる50%を上回ると企業の拡張意欲が強いことを表し、50%を下回ると縮小意欲が強いことを表す。例えば、図表 7のように、オフィス移転が合計500件あり、そのうち拡張移転が150件、同規模移転が300件、縮小移転が50件の場合、オフィス拡張移転DIは60%となり、企業の拡張意欲が強いことを表す。
図表7:「オフィス拡張移転DI」の例
 
6 DIはDiffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略、変化の方向性を示す指標のことである。DIの代表例としては、経済分野では日本銀行の 全国企業短期経済観測調査(日銀短観)や内閣府の景気動向指数、また不動産分野では土地総合研究所が公表する不動産業業況等調査(不動産業業況指数)がある。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年08月29日「不動産投資レポート」)

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金融研究部   主任研究員

佐久間 誠 (さくま まこと)

研究・専門分野
不動産市場、金融市場、不動産テック

経歴
  • 【職歴】  2006年4月 住友信託銀行(現 三井住友信託銀行)  2013年10月 国際石油開発帝石(現 INPEX)  2015年9月 ニッセイ基礎研究所  2019年1月 ラサール不動産投資顧問  2020年5月 ニッセイ基礎研究所  2022年7月より現職 【加入団体等】  ・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター  ・日本証券アナリスト協会検定会員

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