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2017年度生命保険会社決算の概要(速報)
保険研究部 主任研究員 年金総合リサーチセンター・気候変動リサーチセンター兼任 安井 義浩
1――保険業績(全社)
保有契約高は▲4.2%と引き続き減少した(前年度は▲2.4%減少)。これに関連して、新契約高とともに、解約・失効の動向も気になるが、これについては開示しない会社が多くなってきたので、詳細は不明だが、今のところ特段問題はないことの反映であろう。
また第三分野商品の増加で、従来の保険金額ベースの保有契約高に含まれない契約も増えているのであろう(今回は、詳細については省くが、保険料ベースでの保有契約高は微増)。
「外資系生保」は、新契約高が▲12.5%減少(前年度は▲0.8%減少)となったが、保有契約のほうは2.5%と(前年度は 5.1%増加)引き続き増加した。
「損保系生保」は、新契約が▲9.6%減少(前年度は 12.6%増加)で、保有契約は2.9%増加(前年度 5.7%増加)となった。
「異業種系生保等」は新契約が▲2.4%減少(前年度は 5.0%増加)、保有契約は4.7%増加(前年度は 6.4%増加)となった。
基礎利益は、6.6%増加(前年度は1.7%増加)した。ただし2016年度に、再保険収支・準備金積増しの影響により大幅に増加し、2017年度は反動で大きく減少している会社がいくつかある。41社のうちでは27社で基礎利益は増加している。
また個人年金は、▲51.3%減少(前年度は7.5%増加)となった。低金利下で貯蓄型の保険の販売を停止する会社があったり、保険料の値上げにより貯蓄効果の魅力がなくなったりしたことによるものと考えられる。
伝統的生保では、新契約高が保障金額ベースでは減少となる一方で年換算保険料ベースでは増加している。これが年換算保険料という指標の効能であり、特に第三分野の状況をみるのに便利である。第三分野については、引き続き進展しており、3.0%の増加(前年度は9.1%増加)となった。
2――大手中堅9社の収支状況
2017年度までの資産運用環境は図表-3の通りである。
国内の株価については、日経平均株価18,909円で始まったあと、海外の政治情勢などで不安定な時期も経て、2018年1月には24000円を超えるなど、年度を通しては好調で、年度末にかけては若干下がったが21,454円と13.5%の上昇となった。
一方、費差益については、55.2%(前年度は▲26.0%減少)と大きく増加した。費差益とは、簡単に言えば、収入保険料のうち事業費を賄うための付加保険料と、実際の事業費支出の差である。金額の大きさで見ると、近年は危険差に比べて小さくなってしまったものの、それだけに年度により大きく増減する傾向が見られる。事業費そのものは、ほぼ横ばいで、会社によっては費差損にもなっているような状況では、付加保険料収入のちょっとした変動などで費差益が大きく動いているとも考えられるが、今のところこれ以上詳細な分析は困難である。
03-3512-1833
- 【職歴】
1987年 日本生命保険相互会社入社
・主計部、財務企画部、調査部、ニッセイ同和損害保険(現 あいおいニッセイ同和損害保険)(2007年‐2010年)を経て
2012年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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