2017年06月15日

【6月米FOMC】予想通り0.25%利上げを実施。比較的早期のバランスシート縮小開始を示唆

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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4.会見の主なポイント(要旨)

記者会見の主な内容は以下の通り。
  • 政策金利変更の理由
    • 「雇用の最大化」、「物価の安定」という目標の実現に向けて経済状況の進展が続いている中で、FOMCは過去1年半に緩やかに政策金利を引き上げてきた。今日の決定もこのプロセスが続いていると判断したため。
 
  • 今後の金融政策方針
    • 現在の景気回復状況からは、健全な労働市場と物価安定の目標を達成するために、引き続き緩やかな政策金利の引き上げが正当化される。これは、現在の政策金利が中立FF金利を下回っているとの我々の判断に基く。
    • 足元の中立FF金利は歴史的にも低い水準となっており、中立FF金利の水準まで政策金利を引き上げて中立的な金融政策スタンスにもっていこうとは思っていない。ただし、中立FF金利はどこかのタイミングで緩やかに上昇すると見込まれるため、政策金利にも緩やかな上昇余地ができる。
 
  • バランスシート縮小方針
    • 14年に公表した「原則と計画」に整合的な形で、「緩やかに」再投資額を減らすことで、「緩やか」で「多分に予見可能」な保有証券の削減を行っていく。
    • バランスシートの縮小を開始した後は、毎月の償還上限額を米国債が60億ドル、MBSが40億ドルとし、上限を超えた金額を再投資する。金額は3ヵ月毎にそれぞれ60億ドル、40億ドル増額していき、米国債で300億ドル、MBSで200億ドルに達するまで上限を引上げる。
    • 計画を開始する時期について明確な決定を行っていない。ただし、経済が自分達の見通しに沿って広範な進展がみられれば、比較的早い時期に開始できるかも知れない。
    • どこまでバランスシートを縮小するか決めていない。現状ではより正常な金額に戻すことにフォーカスしている。
    • 最終的なバランスシートの水準は準備預金残高の水準によってきまる。
    • 同じ会合で、政策金利の引き上げとバランスシート縮小開始の両方が可能か、決めていない。それは見通しや環境判断による。

5.FOMC参加者の見通し

FOMC参加者(FRBメンバーと地区連銀総裁の17名 )の経済見通しは(図表1)の通り。前回(3月15日)公表されたものと比較すると、17年の成長率、全期間の失業率が上方修正(失業率は低下)された一方、17年の物価見通しが下方修正された。
(図表1)FOMC参加者の経済見通し(6月会合)
(図表2)政策金利見通し(年末時点) 政策金利の見通し(中央値)は、19年こそ2.94%と前回(3.00%)から下方修正されたものの、それ以外は前回からの変更はなかった(図表2)。

この結果、17年は1.375%(1.125→1.375%)と年内に追加で1回の利上げが見込まれるほか、18年は2.125%(1.375→2.125%)と、年3回の利上げが見込まれている。

 
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2017年06月15日「経済・金融フラッシュ」)

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