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シェアリングエコノミーの原点は公園にあった!? -空間と時間を分かち合う文化に見る幸せの法則
基礎研REPORT(冊子版) 2017年4月号
社会研究部 都市政策調査室長・ジェロントロジー推進室兼任 塩澤 誠一郎
驚いたのは、ラジコンボートの完成度の高さだ。ヨット、タグボート、漁船、巡視艇やイージス艦のような船もある、いずれも精巧にできており、水上を進む姿はとても優雅だ。
なんと、手漕ぎボートは、乗船している人形が本当にオールを漕いで推進しているように見える。水際には模型の桟橋を設置する徹底ぶりで、実に面白い。通りかかった誰もが足を止めて、楽しげにその様子を眺めていく。
愛好家の皆さんは同じラジコンボートクラブ2の方々で、クラブのホームページには、1980年の発足当初から次のルールを厳守しているとある。「スピードが出ない、騒音を発生させないボートを使用し、航行するのは日曜日の日中、平日は禁止」他の公園利用者に迷惑を掛けないよう配慮したものだ。
しばらく様子を見ていると声を掛けてきた見学者へ応対する場面もあり、クラブ活動であるが、内輪だけの閉じた雰囲気は感じさせない。公の場所を利用しているという高い公共意識があるのだろう。
公園は、誰もが自由に利用できる場所だからこそ、他の利用者への配慮が必要であるし、広い面積を長時間排他的に占有する行為は慎むべきである。
ただし、それを管理する側が、禁止の看板を設置して排除するのは、せっかくの憩いの場を窮屈で見てくれのよくない場所にしてしまう。大切なのは、利用する誰もが、同じ空間、時間を一緒に分かち合おうとする姿勢であろう。
ここに紹介したラジコンボートクラブは、自主的なルールで他の利用者に配慮し、メンバーだけでなく、見学者と一緒に模型の精緻さや航行する姿を楽しもうとしている。
実際に周囲の人々もそれを楽しんでいて、水辺にちょっとした賑わいのある風景をつくりだしている。その安寧とした光景に触れて何となくホッとする気分になる人も少なくないのではないか。これを40年近く続けてきたのだ。もはや一つの文化と言ってもいいのであろう。
誰もが分かち合う姿勢を持てば、公園という公共空間は、文化をも育む場所になるに違いない。そのような可能性を感じたのである。
03-3512-1814
- 【職歴】
1994年 (株)住宅・都市問題研究所入社
2004年 ニッセイ基礎研究所
2020年より現職
・技術士(建設部門、都市及び地方計画)
【加入団体等】
・我孫子市都市計画審議会委員
・日本建築学会
・日本都市計画学会
(2017年04月07日「基礎研マンスリー」)
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