2016年12月01日

【10月米個人所得・消費支出】個人消費は予想比下振れも、個人所得は堅調な賃金・給与が下支えし、16年4月来の高い伸び。

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

このレポートの関連カテゴリ

文字サイズ

4.消費動向:公益、外食・宿泊、娯楽などのサービス消費が減少

名目個人消費(前月比)は、財消費では+1.3%(前月:+1.2)と2ヵ月連続で高い伸びとなった(図表4)。非耐久財が+1.4%(前月:0.7%)と前月から伸びが加速したほか、耐久財が+1.0%(前月:+2.1%)と、前月から鈍化したものの、高い伸びを維持した。非耐久財ではガソリン・エネルギー関連が+6.7%(前月:+5.3%)と高い伸びとなったほか、耐久財では自動車・自動車部品が+1.4%(前月+5.2%)と底堅い伸びとなった。

このように財消費は堅調であったものの、サービス消費は▲0.2%(前月:+0.5%)と12年8月以来のマイナスとなった。住宅・公共料金が▲0.6%(前月:▲0.0%)と2ヵ月連続で減少したほか、外食・宿泊が▲1.0%(前月:+1.1%)、娯楽サービス▲0.9%(前月:+2.2%)、交通が▲0.4%(前月:+0.9%)と、軒並み前月からマイナスに転じた。公共料金などの減少は、一部は10月の温暖な気候に伴う燃料消費の減少によるとみられる。
(図表4)名目個人消費(前月比寄与度)/(図表5)個人消費支出(名目、実質)

5.価格指数:食料品価格の下落が持続しているものの、エネルギー価格の上昇が顕著

価格指数(前月比)の内訳をみると、エネルギー価格指数が+3.8%(前月:+3.0%)と2ヵ月連続でプラスとなるなど、上昇が顕著となった(図表6)。一方、食料品価格指数は▲0.1%(前月:▲0.1%)と、こちらは6ヵ月連続でマイナスとなっており、エネルギー価格と対照的となった。

前年同月比では、エネルギー価格指数が▲0.2%(前月:▲3.5%)と3ヵ月連続でマイナス幅が縮小しているほか、ほぼマイナス幅が解消した状況となっている(図表7)。一方、食料品価格指数は、▲1.8%(前月:▲1.7%)と、こちらは6ヵ月連続でマイナスとなった。

原油価格は、30日のOPEC総会で8年ぶりに減産合意が実現したことから、当面堅調に推移するとことが見込まれる。このため、これまでみられたエネルギー価格の物価押下げ効果は早期に解消しよう。
(図表6)PCE価格指数(前月比)/(図表7)PCE価格指数(前年同月比)
Xでシェアする Facebookでシェアする

このレポートの関連カテゴリ

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2016年12月01日「経済・金融フラッシュ」)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【【10月米個人所得・消費支出】個人消費は予想比下振れも、個人所得は堅調な賃金・給与が下支えし、16年4月来の高い伸び。】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

【10月米個人所得・消費支出】個人消費は予想比下振れも、個人所得は堅調な賃金・給与が下支えし、16年4月来の高い伸び。のレポート Topへ