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- 図表でみる中国経済(住宅市場編)~住宅バブルの現状と注目点
本稿は、中国経済をこれから学ぼうとお考えの方々を対象に、新聞記事やレポートでは通常前提として省略されることが多い基礎的な経済データを、図表を用いて分かり易く解説し、理解を深めていただくことを趣旨としている。今回はその第十回目として、「中国の住宅市場」を取り上げ、最近の住宅価格の値動き、住宅バブルの現状、今後の注目点を各種の図表を用いて解説している。中国経済に関する新聞記事やレポートを読む上で、その一助となれば幸いである。
■目次
1――最高値を更新した住宅価格
2――バブルの深刻度(住宅価格÷所得の倍率)
3――今後の注目点
1――最高値を更新した住宅価格
ここもとの住宅価格の値動きを見るために、中国国家統計局が公表したデータを元に、当研究所で2010年を基準(=100)とした新築分譲住宅販売価格指数(除く保障性住宅)を計算してみた(図表-1)。これを見ると、住宅価格は2015年4月を直近底値に17ヵ月連続で上昇、前回高値(2014年4月)を3.9%上回り、ここ3ヵ月連続で最高値を更新した。また、都市別に見るとバラツキが大きい。70都市中最高の深セン市(広東省)では前回高値(2014年4月)を8割も上回るレベルに上昇した一方、最低の温州市(浙江省)では前回高値(2011年8月)を2割も下回るレベルで低迷している(図表-2)。
2――バブルの深刻度(住宅価格÷所得の倍率)
一方、ここ数年、住宅価格が上昇するとともに所得も上昇、所得の上昇率が上回ったため住宅価格÷所得の倍率が緩やかながら低下傾向にある(図表-3)。しかし、地区別に見ると住宅価格に格差があるだけでなく所得にも格差がある。そこで、地区別に前述の試算したところ北京市など5地区では10倍を超えていた。ここもと住宅価格が急騰していることを勘案すれば、北京市では住宅価格÷所得の倍率が16倍前後まで上昇したものと見られる。これは日本で住宅バブルがピークを付けた1990年の東京都区部の倍率とほぼ一致している。なお、内陸部では5倍を下回る地区も5つある(図表-4)。
1 計算方法の詳細については、「中国の住宅バブルは崩壊し始めたのか?」 ニッセイ基礎研レター2014-07-15をご参照ください。
3――今後の注目点
2 不動産規制の2012年までの経緯については、「不動産規制強化に揺れる中国」 Weeklyエコノミストレター2013-02-22をご参照ください。
三尾 幸吉郎
研究・専門分野
(2016年11月01日「基礎研レター」)
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