2016年09月09日

米国経済の見通し-4-6月期の成長率は、特殊要因で期待外れの結果も、7-9月期以降は再加速の見込み

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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■要旨
  1. 米国の4-6月期成長率(前期比年率)は+1.1%(前期:+0.8%)と前期から加速したものの、市場予想(+2.5%)を大幅に下回り3期連続で低成長に留まった。個人消費は順調に回復したものの、在庫投資が大幅に成長率を押下げたほか、民間設備投資、住宅投資も押下げた。
     
  2. 6月下旬の国民投票で予想外に英国のEU離脱が決まったことを受けて、資本市場は一時的に不安定化したものの、早期に回復しており米経済への影響は限定的となっている。
     
  3. 7-9月期は、在庫投資が持ち直すことに加え、労働市場の回復を背景にした消費主導の景気回復が継続するほか、民間設備投資、住宅投資も回復が見込まれるため、成長率は3%台半ばに加速すると予想する。17年末にかけても2%台前半で底堅い成長が持続する結果、成長率は16年が前年比+1.6%、17年は同+2.3%を見込む。
     
  4. 金融政策は、先月以降複数の中銀関係者が9月利上げの可能性に言及しているものの、その後発表された経済指標は強弱混じっているため、追加利上げは12月を見込む。また、17年は年2回の追加利上げを予想する。
     
  5. 米国経済に対するリスク要因としては、英国のEU離脱や、中国をはじめとする新興国経済の減速懸念などを背景に資本市場が不安定化することに加え、11月に予定されている大統領・議会選挙に伴う国内政治リスクが挙げられる。
(図表1)米国の実質GDP成長率(寄与度)
■目次

1.経済概況・見通し
  ・(経済概況)4-6月期の成長率は、在庫投資の影響で予想外に低調
  ・(経済見通し)成長率は16年+1.6%、17年+2.3%を予想
2.実体経済の動向
  ・(個人消費)労働市場の回復を背景に底堅い伸びが持続
  ・(設備投資)原油価格の持ち直しから、7-9月期以降緩やかな回復へ
  ・(住宅投資)7-9月期にプラス転換、その後も緩やかな回復基調が持続
  ・(政府支出、財政収支)18年度以降は選挙結果次第
  ・(貿易)純輸出の成長率寄与度は当面マイナスが持続
3.物価・金融政策・長期金利の動向
  ・(物価)総合指数は原油価格の上昇に伴い緩やかに上昇へ
  ・(金融政策)16年の追加利上げは12月の1回、17年は6月、12月の年2回を予想
  ・(長期金利)緩やかな上昇を予想続
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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