2016年07月19日

日韓比較(15):非正規雇用-その5 韓国は多く、日本は少ない?非正規雇用の定義に見る、数字のワナ

生活研究部 准主任研究員   金 明中

労働市場 雇用統計│日本 などの記事に関心のあるあなたへ

btn-mag-b.png
基礎研 Report Head Lineではそんなあなたにおすすめのメルマガ配信中!
各種レポート配信をメールでお知らせするので読み逃しを防ぎます!

ご登録はこちら

twitter Facebook g+ このエントリーをはてなブックマークに追加 Pocketで後で読む

文字サイズ

3――韓国における非正規雇用労働者の定義

韓国においても非正規雇用労働者の定義を巡って政府と労働組合、そして研究者の間に論争が続いている。IMF経済危機以降非正規雇用労働者の概念や範囲を巡って議論が続いたため、労使政委員会2は2002年7月「非正規特別委員会」を開き、雇用形態による分類基準に合意した。これによって非正規雇用労働者の範囲には、雇用の持続性を基準にした限時的労働者(contingent worker)や期間制労働者、労働時間を基準にしたパートタイマー、そして労働提供方法を基準にした非典型労働者(派遣、用役、特殊雇用職、在宅労働者等)が含まれることになった(図表3)。

しかしながら「非正規特別委員会」の基準によって非正規雇用労働者に対する概念が統一されることになったものの、それ以降も政府や労働組合、そして研究者が発表する非正規雇用労働者の割合は相変わらず大きな差をみせている。政府や労働組合とも統計庁の「経済活動人口調査」に基づいて集計をしているにもかかわらず、差が生じているのはなぜだろうか。

その理由は、政府統計は、図表3の通り、「経済活動人口調査」の付加調査から、(1)契約期間(無期か有期か)、(2)1日の労働時間(フルタイムかパートか)、(3)契約関係(直接雇用か間接雇用かあるいは、個人事業主か)といった3つの基準に基づいて有期契約であり、短時間勤務をしており、3者3以上の雇用契約を結んでいる場合と、呼び出し労働、特殊労働、派遣労働、役務労働、家内労働を加えて非正規雇用労働者と定義している(重複は除いている)。これに対して労働組合の統計では、政府統計で非正規雇用労働者と区分される労働者に加えて、「経済活動人口調査」の本調査において、正規臨時職 ・正規日雇職と区分されている労働者も非正規雇用労働者に含んでいる。すなわち、労働組合は(4)賃金、労働条件、企業の福利厚生、公的社会保険制度が適用されているかどうか、(5)勤務場所に持続性があるかどうかによって、社会保険の適用がされず、勤務場所が頻繁に変わっている労働者(図表4の正規臨時職と正規日雇職)を非正規雇用労働者として分類している。

図表4は正規職の中の正規臨時職と正規日雇職を非正規雇用労働者とした分類して非正規雇用労働者の割合を再計算したものであり、その割合が労働組合が発表した正規雇用労働者の割合に近似していることが分かる。
図表3 2002年労使政合意による非正規雇用労働者の区分/図表4 正規臨時職と正規日雇職を非正規雇用労働者とした分類した推計
 
2 日本の政労使委員会にあたる。
3 ここでいう「3者」とは企業、派遣会社、労働者を意味している。従って、3者以上の雇用契約を結んでいる場合とは派遣業者などを経由して労働者を雇ったケースのことである。
twitter Facebook g+ このエントリーをはてなブックマークに追加 Pocketで後で読む
32_ext_01_0.jpg

生活研究部   准主任研究員

金 明中 (きむ みょんじゅん)

研究・専門分野
社会保障論、労働経済学、日・韓社会保障政策比較分析

レポート

アクセスランキング

【日韓比較(15):非正規雇用-その5 韓国は多く、日本は少ない?非正規雇用の定義に見る、数字のワナ】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

日韓比較(15):非正規雇用-その5 韓国は多く、日本は少ない?非正規雇用の定義に見る、数字のワナのレポート Topへ