2016年03月07日

Jリートは4年ぶりに下落。2015年訪日外国人客数は47%増加-不動産クォータリー・レビュー2015年第4四半期

基礎研REPORT(冊子版) 2016年3月号

金融研究部 主任研究員   岩佐 浩人

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10-12月期は消費関連を中心に低調な指標が多く再びマイナス成長に陥った。住宅市場は価格が上昇するなか全体ではまだら模様の状況にある。東京のオフィス市場は空室率が低下し、賃料は前年比プラスが続く。2015年の訪日外国人客数は47%増加した。一方、J-REIT市場は4年ぶりに下落した。

1――経済動向と住宅市場

2015年7-9月期の実質GDP成長率(2次速報)は前期比年率1.0%に上方修正され、2期連続のマイナスは回避された。しかし、10-12月期は消費関連を中心に低調な指標が多く、再びマイナス成長に陥った。総務省の家計調査によると、12月の実質消費支出は冬物衣料の低迷などから前年比▲4.4%となり4カ月連続減少した[図表1]。

住宅市場は価格が上昇するなか、全体ではまだら模様の状況が続く。2015年の新設住宅着工戸数は1.9%増加の約90.9万戸となり、消費増税の影響で大幅に減少した昨年から持ち直した[図表2]。このうち、貸家は+4.6%と4年連続で増加し、分譲マンションは+4.7%と2年ぶりに増加した。

2015年の首都圏のマンション新規発売戸数は▲9.9%の40,449戸となり2年連続で減少した。1戸当たりの平均価格は9.1%上昇の5,518万円で1991年以来の高い水準となった。2015年の首都圏中古マンションの成約件数は約3.4万件(前年比+2.9%)で2年ぶりに増加し、成約価格は+6.1%の2,892万円となり3年連続で上昇した。

今後は、来年の消費増税対策として実施されるすまい給付金増額や住宅取得の贈与税非課税枠拡大、マイナス金利導入後の住宅ローン金利の動向、タワーマンションの節税規制の影響などが注目される。
実質消費支出、新規住宅着工戸数(全国、年間)

2――地価動向

商業用不動産に対する投資意欲は引き続き強く、インバウンド需要を取り込む店舗・ホテルへの投資拡大などを背景に地価の上昇が続く。国土交通省の「地価LOOKレポート(平成27年第3四半期)」によると、前期から上昇した地区の比率は、東京圏で95%、大阪圏で88%、名古屋圏で100%、地方圏で65%、全体で87%となり、下落地区は5期連続でゼロであった[図表3]。
全国の地価上昇・下落地区の推移

3――不動産サブセクターの動向

1│オフィス

東京のオフィス市場は、空室率が大きく低下している。三鬼商事によると12月の都心5区空室率は前月比0.16%低下の4.03%となり、オーナー優位の目安とされる5%を6カ月連続で下回った。他の主要都市の空室率も軒並み低下している[図表4]。

成約賃料データに基づくオフィスレント・インデックス(第4四半期)は、東京Aクラスビルが前期比▲7.8%下落の32,872円となった。過去2期で14%超上昇した反動から下落したものの、前年比では15期連続でプラスを維持している。森ビルの調査によると、2016年の東京23区大規模ビルの供給量は107万㎡で過去平均(103万㎡)を上回る見通しだが、ニッセイ基礎研究所では現在の賃料上昇サイクルは少なくとも今年いっぱい維持するとみている。
 
主要都市のオフィス空室率
2│賃貸マンション

東京都心5区のマンション賃料は、引き続き上昇基調にある。2015年11月は、前年比で千代田区(+8.6%)、中央区(+6.2%)が大きく上昇した。また、高級賃貸マンションについても空室率の低下に伴い賃料が上昇し、12月は前年比+3.5%となった[図表5]。

 
高級賃貸マンションの賃料と空室率
3│商業施設・ホテル・物流施設

商業動態統計によると、2015年の販売額は消費増税に伴う落ち込みの反動が消えたことから、既存店ベースで百貨店が+0.5%、スーパーが+0.3%、コンビニエンスストアが+0.9%となり、いずれの業態も底堅く推移した。

全国61都市のホテル客室稼働率(12月)は前年比0.9%上昇の76.8%となり、年間を通じて過去最高水準で推移している[図表6]。2015年の訪日外国人客数は、円安やビザの発給要件緩和、免税制度の拡充などを背景に、47%増加の1,973万人となり3年連続で過去最高を更新した[図表7]。国・エリア別にみると、中国が107%増加し499万人となった。続いて韓国、台湾の順に多く、3つのエリアで全体の64%を占める。また、訪日外国人の旅行消費額は71%増加の3.4兆円となった。首都圏大型物流施設の第4四半期空室率は前期比3.4%上昇の6.9%、近畿圏は前期比1.0%低下の3.5%となった[図表8]。首都圏では第4四半期に過去最大規模となる約50万㎡の新規供給があり全体の空室率を押し上げた。2016年の首都圏の新規供給は前年比20%増加の約120万㎡が予定されており、競合の多いエリアでは需給が緩和するとみられる。
ホテルの客室稼働率の暦年月次ベース(全国)、訪日外国人客数(年間)、大型物流施設の空室率

4――J-REIT市場(不動産投信)

第4四半期の東証REIT指数は、年初からの下落に伴う割安感の台頭などから9月末比4.2%上昇した。また、日本銀行は12月18日に「量的・質的金融緩和の補完措置」を発表し、J-REIT各社の買入上限枠を従来の5%から10%に拡大した。

2015年のJ-REIT市場を振り返ると、東証REIT指数の騰落率は▲7.9%となり4年ぶりに下落した[図表9]。過去3年にわたる大幅高の反動や世界景気の減速懸念など背景に、1月の高値から9月の安値まで一時▲24%下落したが、その後は追加の金融緩和期待から反発し下落幅は縮小した。

J-REITによる物件取得額は約1.6兆円で前年から横ばいとなった。第3四半期までは昨年を上回るペースで物件取得が進んだものの、第4四半期は2,881億円(前年同期比▲43%)と大幅に減少した。取得不動産の内訳は、オフィス(占率42%)が最も大きかったが、商業施設(前年比63%増)やホテル(前年比133%増)の取得が大きく伸びた。また、上場銘柄数は3社増えて52社、市場全体の運用不動産額は14兆円となり、順調な拡大を遂げた1年となった。
2015年のJ-REIT市場(まとめ)

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金融研究部   主任研究員

岩佐 浩人 (いわさ ひろと)

研究・専門分野
不動産市場・投資分析

(2016年03月07日「基礎研REPORT(冊子版)」)

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