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取引の中には、大型年金基金、生保会社、政府系ファンド等による直接投資も散見される。ノルウェー政府年金基金は、メットライフ生命あるいはTIAA-CREFFとの共同投資を行っている。15Q3にノルウェー政府年金基金が投資したサンフランシスコのオフィスは、airbnb(エアビーアンドビー)が本拠地オフィスとしているビルでEast SOMA に立地している。日本でも民泊のシステムプロバイダーとして注目されている新業態のテクノロジー企業をテナントとした大型投資であるとともに、開放的でデザイン性の高い先進オフィスであることかも注目を集めている。
4.今後の開発動向
10 CBREによる
5.テクノロジー企業が牽引するオフィス市場
成長力のある新しいタイプの企業が志向する傾向にあるのは、開放的で創造力を高めるオフィス形態である。高い天上や吹抜けを確保する、ダイニングスペースを作る、ソファで寛げるコミュニケーション・スペースや外気に触れることができるテラスを配置する、といった工夫がなされたものだ。洗練されたデザインも欠かせない。サンフランシスコ中心地区では、リノベーションでこのような価値向上を戦略的に行っている不動産投資運用会社も見られた。SOMA を中心にこうした新しいクリエイティブ・オフィスがリノベーションによるものも含め供給され、オフィス空間の創造という意味でもサンフランシスコの先進性が発揮されている。
90年に創設されたサンフランシスコ・ベイエリアの経済シンクタンク11は、地域経済のレジリエンスについての提言をまとめ地域経済戦略として公表した12。提言ではインフラ投資、住宅開発、ワールドクラスのスキル育成などの戦略を示している。こうした常に先に向かってイノベーションを志向する風土が新しい企業を生む、あるいは呼び込むことになり、地域経済が継続的に活力を持つ礎となっていると思われる。金融危機後の回復期からの数年間、サンフランシスコのオフィス市場は地域経済成長の恩恵を受けてきた。今後は、投資利回りのさらなる低下、取引価格の上昇を懸念する声もあるが、リスクの顕在化を抑制するためにも地域経済の持続力に期待したい。
11 Bay Area Council Economic Institute
12 最新の提言は15年11月時点
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加藤 えり子
研究・専門分野
(2015年12月21日「不動産投資レポート」)
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