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住宅取得に対する消費税率引き上げの影響-2013、2014年における戸建注文住宅の動向
社会研究部 都市政策調査室長・ジェロントロジー推進室兼任 塩澤 誠一郎
図表1-2-5は、全体と40歳未満の世帯年収別分布を2012~2014年で比較したものである。一見して40歳未満は、全体に比べ800万円未満の割合が高いことが分かる。
また、2013年に対し2014年を比較すると、特に40歳未満において、800万円未満では2014年の割合が低く、反対に800万円以上では、1,400~1,600万円を除き、2014年の割合が高くなっている。
このように、40歳未満の世帯年収が増加したのは、高年収層の割合が高くなり、低年収層の割合が低くなったためであることがわかる。必ずしも若い取得層全体の世帯年収が上がったわけではないのである。ではなぜ2014年はこのような状況になったのか、次に取得費と取得資金に着目してその背景を探りたい。
まず住宅取得費の推移を見よう。
住宅取得者全体の建築費と土地代を合わせた住宅取得費合計の平均値は、2012年の4,188万円から、2013年に4,368万円、2014年に4,554万円と2ヵ年にわたり増加している。
土地代は2012年の1,134万円から、2013年は1,125万円に低下し、2014年は1,246万円と増加している。40歳未満は2012年の1,233万円から、2013年に1,168万円に低下し、2014年は1,313万円に増加している。2013年の住宅取得費合計の増加は主に建築費の増加に伴うもので、2014年は建築費に加えて土地代の増加によるものと読み取れる。(図表1-2-6)
建築費の増加を、図表1-2-7の建築費単価でさらに詳しくみると、2012~2014年の全体の伸び率が、-0.5、4.2、3.5ポイントと、2013年の伸びが大きく、2014年は落ちている。これに対し40歳未満は、0.5、2.8、4.3ポイントと直線的に伸びており、特に2014年の伸びが大きくなっている。
このように、40歳未満の建築費は全体に比べ低いものの、高騰の影響が大きいのである。(図表1-2-7)
次に住宅取得資金であるが、住宅取得資金合計は、全体、40歳未満ともに、2012年から2014年にかけて増加しており、2012から2013年は、全体が186万円、40歳未満が34万円の増加、2013から2014年は、全体が167万円、40歳未満が225万円の増加である。
2014年の内訳では、全体の借入金が252万円の増加、自己資金は84万円減少、贈与額は増減ほぼなしである。40歳未満では、借入金が225万円の増加、自己資金は増減なしで、贈与額は1万円増加と、ほぼ横ばいとなっている。取得者は、取得費の増加に対し、借入金を増やすことで対応してきたことが分かる。(図表1-2-8、1-2-9)
消費税率の引き上げも、こうした状況をもたらした要因であることが予想される。そこで、次に消費税の影響を分析したい。
03-3512-1814
- 【職歴】
1994年 (株)住宅・都市問題研究所入社
2004年 ニッセイ基礎研究所
2020年より現職
・技術士(建設部門、都市及び地方計画)
【加入団体等】
・我孫子市都市計画審議会委員
・日本建築学会
・日本都市計画学会
公式SNSアカウント
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