2015年04月21日

高速交通網整備の地域経済への効果~「陸の孤島」島根県西部地域における公共財の整備~

  日本大学経済学部教授 小巻 泰之

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【要旨】

  1. 本論では高速交通関連の社会資本整備による便益が地価に帰着するとの前提で分析を行う。
  2. 萩石見空港開設により、地域住民のアメニティは有意に上昇したと考えられる。空港と近い住宅地ほど地価へのマイナスの影響は小さく、空港の開港が住宅地の地価にプラスの影響を与えていると考えられる。特に、益田市と浜田市ではより空港から近い住宅地ほど、プラスの効果が高いことが確認できる。
  3. 飛行機の増減便については、増便はプラス、減便はマイナスで有意となっており、利便性の効果がみられる状況となっている。
  4. 高速道路については、全ての推計結果は符号がプラスでかつ統計的も有意となっている。しかも、空港までの距離が比較的遠い住宅地ほど、高速道路開通による地価上昇への影響は大きいことも確認できる。現在の航空路線は東京便のみであるが、2010年までは大阪便が定期便として就航しており、この場合高速道路との代替的な影響もあったかと推察される。現実に高速道路が開通していない萩市については係数が他の市より小さくなっている。
  5. JRの高速化事業は、高速化により益田市、浜田市では地価にプラスの効果が確認できる。他方、在来型であるが特急が廃止になった萩市についてはマイナスの効果が確認できる。
  6. 企業立地では小売業については、益田市、浜田市及び萩市で符号がプラスで有意となっており、商業施設の増加は地域住民の利便性を高めているようである。しかし、鉱工業関連企業の立地はマイナスに寄与している。
  7. 概ね、空港、高速道路及びJRの高速化事業など、高速交通網の新設及び改良は地域のアメニティを向上させることに役立っているといえよう。
  8. 市町村レベルの経済統計の整備は国や県レベルと比較すれば利用できないものが多い。地域経済の活性化を進める上でも、まず、その地図となる市町村レベルの統計整備は必要である。

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(2015年04月21日「基礎研レポート」)

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