2012年07月20日

6月首脳合意に見るユーロ危機対応のこれから

経済研究部 上席研究員   伊藤 さゆり

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  1. 6月首脳会議は、(1)EIBの融資拡大やEU財政の構造基金の有効活用、プロジェクト債の新規導入で捻出する1200億ユーロの資金を活用する成長戦略、(2)政府と銀行の信用不安の連鎖を断ち切るためのEFSF/ESMの柔軟活用、(3)統合を深め、ユーロの制度を強化するための工程表作りで合意した。財政-景気-金融が相互に悪影響を及ぼす循環を短期と中長期の対策で断ち切ろうとの意欲は感じられる。
  2. 成長戦略は、民間資本の動きに委ねられる部分が大きく効果を判断することは難しいが、景気悪化による問題の深刻化に歯止めを掛けるため限られた資金の有効活用が必要だ。
  3. 統合深化の工程表は、予定通り年内にまとまり、13年に実行プロセスに移っても、銀行同盟が金融危機対策の財源の共通化、財政同盟がユーロ共同債やユーロ圏中央予算などの最終段階に至るまでに越えなければいけないハードルは多く、年単位の時間が掛かる。
  4. EFSF/ESMが金融支援と財政支援の両面で役割を期待されるとすれば5000億ユーロの新規支援能力では不足感がある。ESMの支援能力を拡大するか、金融危機対策財源の相互融通体制を構築するか、いずれかを急ぐ必要があろう。



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経済研究部   上席研究員

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州経済

(2012年07月20日「Weekly エコノミスト・レター」)

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