2012年06月08日

欧州経済見通し-統合深化への政治的意思を示すことは必要-

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  1. ギリシャの再選挙後の無秩序なデフォルト・ユーロ離脱懸念とスペインの銀行不安が同時進行している。ギリシャを巡る不安は構造調整プログラム実行の意思と能力に対するものと言え、再選挙後に支援継続が決まっても、直ちに解消する訳ではない。スペインへの不安は、自力での銀行システム再建に関わるもので、EFSF/ESMの資金の活用が決まり、財政健全化期限が現実的な方向に修正されれば、一旦は沈静化するだろう。
  2. 6月の首脳会議で合意を目指す「成長戦略」の重みは増し、財政統合、銀行同盟への要請は高まっている。足もとの問題解決への努力に加え、統合深化への政治的意思を示すことができれば先行き不透明感の緩和につながり、ECBの緩和的な金融スタンスの継続やユーロ安も追い風となって、ユーロ圏経済の落ち込みに歯止めがかかるだろう。
  3. イギリス経済も再度景気後退に陥るなど低迷が続いている。BOEは量的緩和の増枠を見送っているが、ユーロ情勢の緊迫化には速やかな追加措置に動くだろう。



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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

(2012年06月08日「Weekly エコノミスト・レター」)

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