2010年11月05日

金融市場の動き(11月)~FOMCは予想の範囲内、オバマは追加金融緩和、通貨安に今後も頼らざるを得ない、ドル安トレンドは変わらず

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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  1. (米国中間選挙・大規模緩和決定のFOMC)FRBは2~3日開催のFOMCで、6000億ドルの米国債追加買い入れによる追加金融緩和策を決定した。米国の雇用回復にはまだまだ時間がかかるため、経済状況によってはさらなる緩和に踏み切る可能性は極めて高い。オバマ民主党は中間選挙で大敗、小さな政府を掲げる共和党に配慮せざるを得ないため、財政出動が難しくなった。景気テコ入れは金融政策、通貨安による輸出に頼るしかない。ドル安の基調が続くことに変化はないだろう。
  2. (日銀金融政策)10月展望レポートは実質ゼロ金利長期化を示唆する内容。年度末にかけてもう一段の追加緩和(基金増額や買取資産の拡大か)が実施される可能性が高い。
  3. (長期金利)事前の大方の予想通り11月3日にFRBが大幅な追加金融緩和、国債購入に踏み切ったことで、米長期金利の低下、円高ドル安圧力を通じて、日本の長期金利への低下圧力がかかっている。色濃い米国経済の停滞感、中間選挙での共和党躍進によって財政政策が打ちにくくなるとの憶測を背景に、FRBによる今後の追加緩和への期待が残っており、これに対抗する形の日銀への追加緩和期待、特に国債など資産買取り枠拡大への期待も続くだろう。
  4. (為替)注目であったFRBの追加緩和が発表されたが、規模が大方の想定の範囲内に留まったことから、円ドルレートの動きは限定的となっている。経済低迷が続く以上、今後とも米国は緩和姿勢を打ち出してくると考えられ、円は一旦過去最高の1ドル79円台前半を目指す動きになるだろう。介入への警戒感の高まりから、このラインを大きく突き抜ける事態にはならないと見るが、円は80円を中心としたボックス圏での推移が続くだろう。11/11~12のG20にて、経常収支不均衡是正に向けた実効性のある決定が為されればドル買い戻し局面になると考えられるが、見込みは薄い。
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矢嶋 康次 (やじま やすひで)

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