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経済安保と成長戦略-分断の世界で日本はどう成長するか
総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次
2018年に米国が導入した鉄鋼・アルミ関税は、同盟国の西側先進国を含む措置であったため、トランプ大統領(当時)が、その権限を用いることで実施されたが、そこで導入された対中追加関税の多くは、議会の総意として今でも実施されている。その目的は、次世代競争における優位性を確保すること。米国の規制は半導体や機微情報を含む、多くの領域に広がっている。
経済安全保障(以下、経済安保)や、国家安全保障に絡む対応が米国で進む中、日本でも「本格的に体制を整えるべき」とする意見が高まっている。
日本における経済安保、その最大の焦点が“中国”だということは間違いない。日本は地理的にも近い中国と経済的な結び付きが深く、米国のように強硬な対応を迫られると、企業のマイナス影響が強く出てしまう。本来、企業としては避けたい事態と言える。しかし、ロシアのウクライナ侵略が始まって以降、経済安保が必要だという認識は、企業の間でも急速に広がっている。
本稿では、経済安保に関する課題や問題意識、新冷戦構造の特徴、さらには民間企業にとっての経済安保の位置づけまで整理し、制約要因であるはずの経済安保を、如何に成長につなげていけるかについて考えを述べたい。
■目次
1――はじめに
2――グローバル化の恩恵を受けた日本、取り残される恐れ
3――新冷戦構造、一時的ではなさそうな特徴
4――中国ビジネスのリスク、具体的な認識が広がる
5――国際ルール形成の中核、経済安保推進で価値観の変化を捉える
6――おわりに
03-3512-1837
- ・ 1992年 :日本生命保険相互会社
・ 1995年 :ニッセイ基礎研究所へ
・ 2021年から現職
・ 早稲田大学・政治経済学部(2004年度~2006年度・2008年度)、上智大学・経済学部(2006年度~2014年度)非常勤講師を兼務
・ 2015年 参議院予算委員会調査室 客員調査員
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