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2025年09月01日
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■要旨
Digital Markets Act(DMA)は2022年11月に施行されたEU規則で、デジタルプラットフォーム提供者による競争可能性(contestability)を阻害する行為を規制するものである。
DMAでは、一定の要件を満たす大規模なプラットフォームであるCore Platform Service(CPS)を運営する提供者(Gatekeeper、GK)を指定することとされている。2024年末で7社のGK、24のCPSが指定されている。
GKに指定された者はDMAの規定を遵守しなければならず、違反行為には制裁金が賦課される。
一例として、あるCPS(たとえばSNS)上の個人データを本人の同意なく、他のCPS(広告プラットフォーム)に利用することは禁止される。Metaでは、広告プラットフォームに個人データ連携を拒否するFacebook等の利用者に対して、Facebook等利用料を徴収することとした。これについて欧州委員会はDMA違反となる懸念を表明した。
また、DMAはスマホのオペレーティングシステム(OS)業者(Apple、Alphabet)に対して、自社アプリストア外からのアプリのインストールを許容しなければならないとする。Appleはアプリ開発者からの利用料徴収を含む一定の条件のもとで、自社アプリストア以外からのアプリのインストールを認めることとしたが、これら条件がDMA違反ではないかについて、欧州委員会が調査中である。
さらに一般検索において、検索サービスのランキング、クエリ、クリック、ビューデータといったデータを競合する検索事業者との間で共有すべきことをDMAは求めている。Alphabetは共有のためのデータライセンスソリューションを提案したが、これがDMAに準拠しているかどうか、欧州委員会が評価中である。
AppleがDK指定そのものを訴訟で争っていることなどを除けば、DMAは着実に浸透・定着してきていると言えそうである。
■目次
1――はじめに
2――GKの指定
1|DMAにおける規定
2|2023年指定
3|2024年指定
3――DMA遵守状況
1|DMA遵守―総論
2|利用者によるデータコントロール
3|モバイルエコシステム等の開放
4|公正なオンライン検索
5|オンラインマーケットプレイス
4――その他の運営状況
1|集中報告
2|消費者プロファイリング技術の監査報告
5――検討
1|DMAの適用(GK指定)
2|Meta社の事例(個人情報の統合)
3|Appleの事例(モバイルエコシステム等の開放)
4|Alphabetの事例(公正なオンライン検索)
5|Booking・Amazonの事例(オンラインマーケットプレイス)
6――おわりに
Digital Markets Act(DMA)は2022年11月に施行されたEU規則で、デジタルプラットフォーム提供者による競争可能性(contestability)を阻害する行為を規制するものである。
DMAでは、一定の要件を満たす大規模なプラットフォームであるCore Platform Service(CPS)を運営する提供者(Gatekeeper、GK)を指定することとされている。2024年末で7社のGK、24のCPSが指定されている。
GKに指定された者はDMAの規定を遵守しなければならず、違反行為には制裁金が賦課される。
一例として、あるCPS(たとえばSNS)上の個人データを本人の同意なく、他のCPS(広告プラットフォーム)に利用することは禁止される。Metaでは、広告プラットフォームに個人データ連携を拒否するFacebook等の利用者に対して、Facebook等利用料を徴収することとした。これについて欧州委員会はDMA違反となる懸念を表明した。
また、DMAはスマホのオペレーティングシステム(OS)業者(Apple、Alphabet)に対して、自社アプリストア外からのアプリのインストールを許容しなければならないとする。Appleはアプリ開発者からの利用料徴収を含む一定の条件のもとで、自社アプリストア以外からのアプリのインストールを認めることとしたが、これら条件がDMA違反ではないかについて、欧州委員会が調査中である。
さらに一般検索において、検索サービスのランキング、クエリ、クリック、ビューデータといったデータを競合する検索事業者との間で共有すべきことをDMAは求めている。Alphabetは共有のためのデータライセンスソリューションを提案したが、これがDMAに準拠しているかどうか、欧州委員会が評価中である。
AppleがDK指定そのものを訴訟で争っていることなどを除けば、DMAは着実に浸透・定着してきていると言えそうである。
■目次
1――はじめに
2――GKの指定
1|DMAにおける規定
2|2023年指定
3|2024年指定
3――DMA遵守状況
1|DMA遵守―総論
2|利用者によるデータコントロール
3|モバイルエコシステム等の開放
4|公正なオンライン検索
5|オンラインマーケットプレイス
4――その他の運営状況
1|集中報告
2|消費者プロファイリング技術の監査報告
5――検討
1|DMAの適用(GK指定)
2|Meta社の事例(個人情報の統合)
3|Appleの事例(モバイルエコシステム等の開放)
4|Alphabetの事例(公正なオンライン検索)
5|Booking・Amazonの事例(オンラインマーケットプレイス)
6――おわりに
(2025年09月01日「基礎研レポート」)
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経歴
- 【職歴】
1985年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
2018年4月 取締役保険研究部研究理事
2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
2024年4月 専務取締役保険研究部研究理事
2025年4月 取締役保険研究部研究理事
2025年7月より現職
【加入団体等】
東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等
【著書】
『はじめて学ぶ少額短期保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2024年02月
『Q&Aで読み解く保険業法』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2022年07月
『はじめて学ぶ生命保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2021年05月
松澤 登のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/09/01 | EUデジタル市場法の施行状況-2024年運営状況報告 | 松澤 登 | 基礎研レポート |
2025/08/26 | 芝浦電子に対するM&A攻防-公開買付期間の延長 | 松澤 登 | 研究員の眼 |
2025/08/26 | 相続における死亡保険金-遺留分侵害請求 | 松澤 登 | 保険・年金フォーカス |
2025/08/05 | 経営者による企業買収(MBO)-太平洋工業株式会社 | 松澤 登 | 研究員の眼 |
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