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- ネットと肖像権・パブリシティ権-投稿削除と損害賠償
2025年07月25日
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■要旨
SNS等に他人の肖像を投稿する場合には、まず「肖像権」を侵害していないかどうかを確認する必要がある。いわゆる肖像権については、最高裁の判決により、肖像に関する人格的利益として法的に保護される利益として認められている。
私人については、意に反する撮影をされたり、ネット投稿をされたりすることは原則として違法となる。私人の肖像をわざわざ投稿するのは、突飛な服装をしているなど他人の耳目を集めるような場合であろう。そのような場合であれば本人が不快と感じることが多く、肖像権を侵害する可能性が高い。
公人(著名人)については、地裁レベルではあるが、その動静が正当な公共の関心事になるとの判断がある。したがって、表現の自由を確保する観点から肖像権を侵害するとされるケースは限定されることとなる。
判例では、公人(著名人)では、その肖像には商品販売等を促進する顧客吸引力があり、そのような権利(パブリシティ権という)は、人格権に由来する権利として排他的に本人が利用することができるとする。ユーチューバーなど肖像を商業利用するケースにおいては注意が必要である。
肖像は一般に写真(又は動画)ではあるが、昨今ではAIを利用した生成が可能である。AI画像であっても、商業利用し、かつAIに本人をモデルとするよう指示していたような場合はパブリシティ権を侵害するおそれがある。
■目次
1――はじめに
2――肖像権とは
1|刑事手続にて肖像権が認定された最高裁判例(最判昭和44年12月24日)
2|肖像権侵害を理由とする不法行為を認めた最高裁判例(最判平成17年11月10日)
3|小括
3――肖像権に係る論点
1|私人と肖像権
2|公人と肖像権
3|イラストと肖像権
4|防犯ビデオと肖像権
5|小括
4――パブリシティ権
1|権利としてのパブリシティ権を認めた最高裁判決
2|パブリシティ権侵害による賠償責任を最初に認めた地裁判決
3|小括
5――検討
1|私人の肖像権
2|公人の肖像権・パブリシティ権
6――おわりに
SNS等に他人の肖像を投稿する場合には、まず「肖像権」を侵害していないかどうかを確認する必要がある。いわゆる肖像権については、最高裁の判決により、肖像に関する人格的利益として法的に保護される利益として認められている。
私人については、意に反する撮影をされたり、ネット投稿をされたりすることは原則として違法となる。私人の肖像をわざわざ投稿するのは、突飛な服装をしているなど他人の耳目を集めるような場合であろう。そのような場合であれば本人が不快と感じることが多く、肖像権を侵害する可能性が高い。
公人(著名人)については、地裁レベルではあるが、その動静が正当な公共の関心事になるとの判断がある。したがって、表現の自由を確保する観点から肖像権を侵害するとされるケースは限定されることとなる。
判例では、公人(著名人)では、その肖像には商品販売等を促進する顧客吸引力があり、そのような権利(パブリシティ権という)は、人格権に由来する権利として排他的に本人が利用することができるとする。ユーチューバーなど肖像を商業利用するケースにおいては注意が必要である。
肖像は一般に写真(又は動画)ではあるが、昨今ではAIを利用した生成が可能である。AI画像であっても、商業利用し、かつAIに本人をモデルとするよう指示していたような場合はパブリシティ権を侵害するおそれがある。
■目次
1――はじめに
2――肖像権とは
1|刑事手続にて肖像権が認定された最高裁判例(最判昭和44年12月24日)
2|肖像権侵害を理由とする不法行為を認めた最高裁判例(最判平成17年11月10日)
3|小括
3――肖像権に係る論点
1|私人と肖像権
2|公人と肖像権
3|イラストと肖像権
4|防犯ビデオと肖像権
5|小括
4――パブリシティ権
1|権利としてのパブリシティ権を認めた最高裁判決
2|パブリシティ権侵害による賠償責任を最初に認めた地裁判決
3|小括
5――検討
1|私人の肖像権
2|公人の肖像権・パブリシティ権
6――おわりに
(2025年07月25日「基礎研レポート」)
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経歴
- 【職歴】
1985年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
2018年4月 取締役保険研究部研究理事
2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
2024年4月 専務取締役保険研究部研究理事
2025年4月 取締役保険研究部研究理事
2025年7月より現職
【加入団体等】
東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等
【著書】
『はじめて学ぶ少額短期保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2024年02月
『Q&Aで読み解く保険業法』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2022年07月
『はじめて学ぶ生命保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2021年05月
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