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2025年07月24日

中国:25年4~6月期GDPの評価-夏霧が立ち込める中国経済。堅調な成長率とは裏腹に懸念材料は山積

経済研究部 主任研究員 三浦 祐介

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(不動産市場)
不動産市場について、6月の住宅販売床面積の前年同月比伸び率は、前月に続きマイナス幅が拡大した(図表13)。住宅販売価格(70都市単純平均)の前年同月比の伸びは、22年4月以降、39カ月連続でマイナスとなっているが、24年10月を底にマイナス幅の縮小が続いている。

供給側の動向に関して、住宅着工床面積(3カ月後方移動平均)の伸びは、前月に続きマイナス幅が縮小した(図表14)。住宅竣工床面積(同上)の伸びは、マイナス幅が縮小した。住宅完成在庫床面積は依然増加しており、伸び率は前月から横ばいで推移した。また、不動産開発資金(同上)の伸びは、依然として前年同月比でマイナスとなっている。24年春先以降、改善傾向にあったが、25年4月以降、マイナス幅が拡大している。
(図表13)住宅販売面積・価格/(図表14)住宅供給関連指標
(財政)
財政の動向について、本稿執筆時点で25年1~6月のデータは未発表となっている。25年5月までの状況を振り返ると、歳出(3カ月後方移動平均)については、一般公共予算、政府性基金とも、前月に続き伸びが高まった(図表15)。とくに、政府性基金では伸びが引き続き大幅に高まっている。歳入(同上)については、一般公共予算、政府性基金とも、前月に続き改善した。一般公共予算のうち、税収は伸びがマイナスからプラスに転じたのに対して、非税収入の伸びは低下した(図表16)。
(図表15)歳出/(図表16)歳入

3.物価・金融の動向

3.物価・金融の動向

(物価)
物価の動向について、6月の消費者物価指数(CPI)の前年比(以下同)は、前月のマイナスからプラスに転じた(図表17)。生鮮野菜等でマイナス幅が小幅に縮小したほか、食品・エネルギーを除くコアCPIは、前月から上昇した。工業生産者出荷価格(PPI)の伸びは、22年10月以降、33カ月連続でマイナスとなっており(図表18)、6月は伸びのマイナス幅が前月に続き拡大した。
(図表17)CPI/(図表18)PPI
(金融)
金融の動向について、6月のM2の伸びは、前月から高まった。社会融資総量の伸びも、前月から高まった(図表19)。政府債券、それ以外ともに伸びが高まっている。金融政策に関して、政策金利(リバースレポ・オペ、7日物)は、25年5月に10bpsの利下げが実施されたが、その後は据え置きとなっている(図表20)。それを受け、貸出金利のベンチマークとなるLPRも、1年物、5年物とも、5月に10bps低下した後、7月まで横ばいで推移している。
(図表19)社会融資総量/(図表20)政策金利・LPR

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年07月24日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   主任研究員

三浦 祐介 (みうら ゆうすけ)

研究・専門分野
中国経済

経歴
  • 【職歴】
     ・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
     ・2009年:同 アジア調査部中国室
     (2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
     ・2020年:同 人事部
     ・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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