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2025年07月24日

「縮みながらも豊かに暮らす」社会への転換(2)-SDGs未来都市計画から読み解く「地域課題」と「挑戦」の軌跡

生活研究部 准主任研究員 小口 裕

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■要旨
 
  • 本稿では、地方創生1.0で顕在化した課題を踏まえ、その政策の中核であった「SDGs未来都市」政策における経済・社会・環境の課題と取り組みを、全国206件の計画を俯瞰しながら整理・分析するものである。
     
  • 前稿第1回「SDGs未来都市計画から読み解く「地方創生2.0」への打ち手」では、2018年以降のSDGs未来都市政策の現状を概観したが、あらためて、SDGs未来都市の取り組みは、地域ごとの特性や課題を起点とし、経済・社会・環境の三側面を統合しながら、企業や多様なステークホルダーと連携して新たな価値創造を目指すものである。
     
  • 結論を先に述べれば、分析の結果、従来型の「観光」や「雇用創出」といった一面的な枠組みでは捉えきれない、地域ごとの多層的な課題認識と多様なアプローチが浮かび上がった。とりわけ、GX(グリーントランスフォーメーション)や関係人口の創出といった分野が、都市・地方を問わず横断的に重要性を増している。一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)や財政効率化に関しては、都市ごとに温度差が見受けられる。
     
  • こうした分野別の傾向が、今後の地方創生2.0の指針といかに接続されていくのかは、注視すべき論点であると言えるだろう。


■目次

1――はじめに――各地域が何に悩み、何に挑戦してきたのか
2――「SDGs未来都市」選定計画の概観(1)
 ──課題は「人口と暮らしの持続可能性」「地域経済の再生」
  1|SDGs未来都市の課題分析──地域の危機感は何に向いていたのか
  2|三分野で読み解く課題構造──問われる「人口・暮らし・経済」の再設計
  3|経済分野──地域発のイノベーションや新市場の創出を目指す動きも
  4|社会分野・環境分野──AIを用いた在宅支援やMaaS(Mobility as a Service)の活用
3――「SDGs未来都市」選定計画の概観(2)
 ──取り組みは「関係人口」「生活基盤サービス」が上位
  1|経済・社会・環境三位一体の取り組み──関係人口・GXが牽引
4――まとめ──多様化する地方創生の兆しと、地方創生2.0の接続に向けた課題

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年07月24日「基礎研レター」)

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生活研究部   准主任研究員

小口 裕 (おぐち ゆたか)

研究・専門分野
消費者行動(特に、エシカル消費、サステナブル・マーケティング)、地方創生(地方創生SDGsと持続可能な地域づくり)

経歴
  • 【経歴】
    1997年~ 商社・電機・コンサルティング会社において電力・エネルギー事業、地方自治体の中心市街地活性化・商業まちづくり・観光振興事業に従事

    2008年 株式会社日本リサーチセンター
    2019年 株式会社プラグ
    2024年7月~現在 ニッセイ基礎研究所

    2022年~現在 多摩美術大学 非常勤講師(消費者行動論)
    2021年~2024年 日経クロストレンド/日経デザイン アドバイザリーボード
    2007年~2008年(一社)中小企業診断協会 東京支部三多摩支会理事
    2007年~2008年 経済産業省 中心市街地活性化委員会 専門委員

    【加入団体等】
     ・日本行動計量学会 会員
     ・日本マーケティング学会 会員
     ・生活経済学会 准会員

    【学術研究実績】
    「新しい社会サービスシステムの社会受容性評価手法の提案」(2024年 日本行動計量学会*)
    「何がAIの社会受容性を決めるのか」(2023年 人工知能学会*)
    「日本・米・欧州・中国のデータ市場ビジネスの動向」(2018年 電子情報通信学会*)
    「企業間でのマーケティングデータによる共創的価値創出に向けた課題分析」(2018年 人工知能学会*)
    「Webコミュニケーションによる消費者⾏動の理解」(2017年 日本マーケティング・サイエンス学会*)
    「企業の社会貢献に対する消費者の認知構造に関する研究 」(2006年 日本消費者行動研究学会*)

    *共同研究者・共同研究機関との共著

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