コラム
2025年03月10日

投資部門別売買動向(25年2月)~海外投資家がリスクオフ姿勢強め大幅売り越し~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

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2025年2月の日経平均株価は、月初にトランプ米大統領の追加関税の発表を受け、前月末の3万9,572円から1,000円超下落して始まった。その後は、関税発動の延期や好調な企業決算が下支えとなり、13日には3万9,461円まで反発したものの、日銀の追加利上げ観測や円高進行が重荷となり、上値は限られた。下旬に入ると、米ハイテク株安や対中半導体規制強化、トランプ米大統領による再度の追加関税表明などが嫌気され、3万8,000円台前半まで下落した。月末の28日にはリスク回避姿勢が一段と強まり、前日27日の3万8,256円から1,300円超下落し、3万7,155円で終えた。投資部門別では、個人、事業法人、信託銀行が買い越す一方で、海外投資家が大幅に売り越した(図表1)。
図表1 主な投資部門別売買動向と日経平均株価の推移
2025年2月(2月3日~28日)の投資部門別の売買動向をみると、個人が現物と先物の合計で1兆3,375億円の買い越しと、2月最大の買い越し部門であった。週単位で見ると、日経平均株価が785円下落した第1週(2月3日~7日)に6,045億円の買い越し、日経平均株価が1,621円下落した第4週(2月25日~28日)に7,032億円の買い越しとなっており、指数が大幅に下落した局面で積極的な買いが確認された(図表2)。
図表2 個人は2カ月連続買い越し
2月は事業法人も現物と先物の合計で8,455億円の買い越しと、45カ月連続で買い越した(図表3)。
図表3 事業法人は45カ月連続買い越し
また、信託銀行も現物と先物の合計で291億円の買い越しと、非常に小幅ながら買い越した(図表4)。
図表4 信託銀行も小幅に買い越し
一方、海外投資家は現物と先物の合計で2兆2,416億円の売り越しと、最大の売り越し部門であった(図表5)。
図表5 海外投資家は大幅売り越し
週単位で見ると、日経平均株価が1,621円下落した第4週(2月25日~28日)に1兆1,675億円売り越した。この週はトランプ米大統領による追加関税に関する発言や米経済指標の悪化、26日に決算発表を行った米半導体大手エヌビディアをはじめとするハイテク株の売りを受け、海外投資家のリスク回避姿勢が強まったことで、日本株も売りが優勢となったようだ。その結果、日経平均株価はここ数カ月の下限であった3万8,000円を割り込んで2月を終えた。
 
2024年1月以降の海外投資家の売買動向を確認すると、2024年1月から2025年2月の間で現物と先物の合計で7.6兆円売り越している(図表6)。内訳は、現物が0.35兆円の売り越しとなり2024年12月第3週以来の累積売り越しに転じた。また、先物は7.27兆円の売り越しと大幅に売り越した。今後、先物の買い戻しがどの時点で生じるのか注目される。
図表6 海外投資家は現物・先物ともに売り越しに転じた

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年03月10日「研究員の眼」)

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金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

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