コラム
2025年02月12日

投資部門別売買動向(25年1月)~個人は買い越し、海外投資家は売り越し~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

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2025年1月の日経平均株価は、上旬に一時4万円を超える場面があったものの、中旬には米国の長期金利の上昇や対中半導体輸出規制強化、日銀の追加利上げ観測の高まりを受けて下落基調となった。14日には3万8,500円を割り込み、15日には3万8,444円まで下落した。下旬に入ると、1月20日に就任したトランプ米大統領の政策懸念が和らいだことで株価は反発し、21日に3万9,000円を回復、23日には3万9,958円と4万円目前まで上昇した。しかし、24日の日銀金融政策決定会合で追加利上げが決定されると上昇が一服した。その後、中国の生成AI“DeepSeek“の登場による関連投資の減速懸念が強まったことでハイテク株を中心に売りが優勢となり、28日には3万9,016円まで下落した。月末にかけては米ハイテク株の反発を受けてやや持ち直し、3万9,572円で終えた。投資部門別では、事業法人と個人が買い越す一方で、海外投資家と信託銀行が売り越した(図表1)。
図表1 主な投資部門別売買動向と日経平均株価の推移
2025年1月(1月6日~31日)の投資部門別の売買動向をみると、事業法人が現物と先物の合計で8,891億円の買い越しと、1月最大の買い越し部門であった(図表2)。事業法人は継続的に自社株買いを実施しており、44カ月連続の買い越しとなった。
図表2 事業法人は44カ月連続買い越し
1月は個人も現物と先物の合計で8,544億円と買い越した(図表3)。
図表3 個人は買い越し
一方、海外投資家は現物と先物の合計で1兆171億円の売り越しと、最大の売り越し部門であった(図表4)。
図表4 海外投資家は売り越し
また、1月は信託銀行も現物と先物の合計で9,060億円と売り越した(図表5)。
図表5 信託銀行も売り越し
図表6は2024年10月以降の海外投資家と個人の週次売買動向をまとめたものである。同期間中、海外投資家と個人の売買動向は逆の動きを示していた。海外投資家が買い越すと株価は上昇、売り越すと下落する傾向が見られる中で、個人は「逆張り投資」の姿勢をとり、株価が下落したときは買いを入れ、株価が上昇したときは売る動きが目立った。金額ベースでは個人が2024年12月第4週に1兆円超を売り越した以外は、海外投資家および個人ともに現物と先物の売り越しまたは買い越し額が1兆円を超えた週はなかった。同期間の日経平均株価は3万8,000円から4万円のレンジで推移しており、方向感が定まらないなか、海外投資家および個人ともにレンジ内での短期売買が中心となったようだ。
図表6 海外投資家と個人は逆の動き
 
 

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(2025年02月12日「研究員の眼」)

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金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

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