2025年02月28日

TOPIX見直し第一段階が完了~第二段階の見直しは「絶対評価」から「相対評価」に~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

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■2024年9月に第二段階の見直しのルールが公表

JPXは2024年9月に、TOPIX見直しの第二段階に関するルールを公表した。第二段階の見直しでは、対象市場をプライム・スタンダード・グロース市場に拡大し、年1回の定期入替を実施する。入替対象の銘柄は、年間売買代金回転率および浮動株時価総額の累積比率という2つの流動性基準に基づいて選定される。初回の定期入替は2026年8月の最終営業日を基準日とし、同年10月に実行予定である。初回の定期入替のみ、除外銘柄には第一段階と同様の「段階的ウエイト低減」と「再評価」の措置が適用される。その後、2028年10月以降は毎年定期入替が実施される見込みである。

JPXの試算によれば、第二段階の見直しによりTOPIX構成銘柄は約1700銘柄から約1200銘柄へ減少するとされる。筆者が2025年1月末時点で試算した結果、新規採用候補は約30銘柄、除外候補は約600銘柄となり、次期TOPIX構成銘柄は約1,100銘柄となる見込みであった。さらに、第一段階の再評価でTOPIXに残留した企業(段階的ウエイト低減が指定解除された企業)について、第二段階の選定基準を適用したところ、選定基準を達成し次期TOPIX構成銘柄として継続採用される可能性があるのは42社中わずか3社にとどまった。

■「絶対評価」から「相対評価」へ

■「絶対評価」から「相対評価」へ

第二段階の見直しでは、従来の絶対評価からより厳しい相対評価へと移行することで、TOPIX採用を巡る企業間の競争がより厳しくなることを意味する。企業は自社の株価を上げたとしても、他社がより高い成長をした場合は相対的に評価が低下し、TOPIXから除外される可能性がある。特にTOPIX Smallに分類される企業は、大型株との競争にさらされ、より高い成長が求められる。この仕組みは、日本株市場全体の活性化につながる可能性がある一方で、企業によってはTOPIXへの採用・非採用に過度にこだわるのではなく、中長期的な視点で自社の戦略を見直し、自社のペースで市場での評価を高めることも重要となるだろう。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年02月28日「基礎研レター」)

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金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

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