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2025年10月03日
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日本のDB年金は、世界でも稀な成功している制度だと考えられる。しかし、近年では、物価上昇が止まらず、その影響を考慮すべきだろう。今後も為替変動等の影響はあるものの、基調としては、物価上昇を意識せざるを得ない。年金運用においては、物価の上昇が中長期的に金利上昇を招来し、株価も上昇することから、好感される。単年度では保有債券の時価下落が運用利回りに負の影響を与えるので嫌われるが、時間経過によるローリング効果もあり、金利上昇下でも中長期で債券を保有する意味は十分にある。
年金の運用サイドから見ると、中長期的に物価と金利の上昇は望ましいが、物価上昇の中で年金の給付額が名目で横這いのままなら、実質の購買力を維持することが出来ない。結果として、物価の上昇に給付が連動しない年金は、加入者から大きな反発を受ける可能性が高いだろう。加えて、年金の掛金負担は母体企業にとっての費用であるから、年金に対して割引率の引上げを要請したくなる。年金負債は、金利上昇の影響を無視することが出来ない。
物価上昇≒金利上昇が年金に及ぼす影響を運用サイドからのみ見ると、判断を誤りかねない。物価上昇は受給者の生活を圧迫するだけでなく、母体企業も業種によっては本業が物価の影響を大きく受ける。こういった環境の下では、低金利・マイナス金利の時代とは、異なるDB年金の取り組みが求められるのではなかろうか。
年金の運用サイドから見ると、中長期的に物価と金利の上昇は望ましいが、物価上昇の中で年金の給付額が名目で横這いのままなら、実質の購買力を維持することが出来ない。結果として、物価の上昇に給付が連動しない年金は、加入者から大きな反発を受ける可能性が高いだろう。加えて、年金の掛金負担は母体企業にとっての費用であるから、年金に対して割引率の引上げを要請したくなる。年金負債は、金利上昇の影響を無視することが出来ない。
物価上昇≒金利上昇が年金に及ぼす影響を運用サイドからのみ見ると、判断を誤りかねない。物価上昇は受給者の生活を圧迫するだけでなく、母体企業も業種によっては本業が物価の影響を大きく受ける。こういった環境の下では、低金利・マイナス金利の時代とは、異なるDB年金の取り組みが求められるのではなかろうか。
(2025年10月03日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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