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コラム
2025年09月08日

投資部門別売買動向(25年8月)~海外投資家は買い越し継続、個人は売り越し続く~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

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2025年8月の日経平均株価は、5カ月連続で上昇し史上最高値を更新した。上旬は、半導体株の軟調や米雇用統計の弱さで一時下落したが、米利下げ期待の高まりや円安進行が下支えし、日経平均株価は4万円台で推移した。中旬は国内主要企業の決算が予想を上回ったことや、国内の4-6月期GDP速報値のプラス成長を受け、13日に初めて4万3,000円台に乗せ、19日には4万3,714円まで上昇した。下旬は米ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演が米利下げ期待を後押しする一方、FRBの独立性懸念やトランプ米大統領の発言が重石となり一進一退の展開となった。月末は4万2,718円と高値圏を維持し終えた。投資部門別では、海外投資家と事業法人が買い越す一方、個人と信託銀行は売り越した(図表1)。
図表1 主な投資部門別売買動向と日経平均株価の推移
2025年8月(8月4日~29日)の投資部門別の売買動向をみると、海外投資家が現物と先物の合計で1兆5,170億円の買い越しと8月最大の買い越し部門であった(図表2)。2025年5月から4カ月連続で買い越した。週単位では、特に第2週(8月12日~15日)は1兆7,594億円と大幅に買い越し、日経平均株価は初めて4万3,000円を超えた。米国の利下げ期待の高まりに加え、国内主要企業の決算を通じて関税による業績懸念が和らいだことが好感されたとみられる。
図表2 海外投資家は4カ月連続買い越し
8月は事業法人も現物と先物の合計で1兆696億円の買い越しとなった。事業法人による自社株買いは継続的に行われており、51カ月連続の買い越しとなった(図表3)。
図表3 事業法人は51カ月連続買い越し
一方、個人は現物と先物の合計で1兆1,329億円の売り越しと、8月最大の売り越し部門であった(図表4)。2025年3月から6カ月連続で売り越した。週単位では、日経平均株価が大幅に上昇し史上最高値を更新した第1週から第2週は売り越したものの、その後、株価が横ばい圏で推移した8月第3週から第4週は買い越しに転じた。
図表4 個人は最大の売り越し部門
また、8月は信託銀行も現物と先物の合計で8,626億円売り越した。2025年5月から4カ月連続で売り越した。週単位では、第1週から第4週まで一貫して売り越しが続いた(図表5)。
図表5 信託銀行は売り越し

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
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(2025年09月08日「研究員の眼」)

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金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

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