コラム
2025年02月12日

成長投資枠、年初一括派が増加か?~2025年1月の投信動向~

金融研究部 主任研究員 前山 裕亮

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外国株式に過去最大の資金流入

2025年1月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、1月は外国株式ファンドに1兆9,600億円の資金流入があった【図表1】。12月の1兆1,100億円から8,500億円増加し、これまで過去最大であった2024年7月の1兆5,400億円も大きく上回った【図表2】。
 
外国株式ファンドの販売を牽引したのは、インデックス型であった。一般販売されているインデックス型の外国株式ファンド(黄棒)に1兆4,300億円の資金流入が1月にあった。12月の7,200億円から倍増し、初の1兆円超えとなった。ただ、アクティブ型の外国株式ファンド(緑棒)もインデックス型ほどではないが、一般販売されているものに5,000億円の資金流入があった。12月の3,600億円から増え、2024年6月、7月に迫る規模であった。
【図表1】 2025年1月の日本籍追加型株式投信(除くETF)の推計資金流出入
【図表2】 外国株式ファンドの資金流出入

成長投資枠からの買付が復活か

1月は、NISA口座、特に成長投資枠からの外国株式ファンドの買付が大きかったものと思われる。新NISA1年目の2024年は、成長投資枠からの買付は商品によらず年初に集中していた。新NISA2年目を迎えた2025年も、年初に成長投資枠から外国株式ファンドの買付があったようだ。個別で1月に資金流入が大きかったファンドを見ても、新NISA対象の外国株式ファンド(太字)、特にインデックス型(赤太字)の資金流入が12月から急増していることからもそのことが見て取れる【図表3】。
 
外国株式ファンドの資金流入からは、2025年1月に前年1月以上の買付がNISA口座からあったことが示唆される。NISAの口座数は、2023年末の2,124万から2024年9月末に2,508万口座になっている。2024年1年間だと400万以上、20%も増えた。それに伴い買付も増加していたと考えられる。ただ、外国株式ファンドの資金流入は1年前と比べて口座の増加数以上に増えており、成長投資枠の活用方法が前年から変化していることもありそうである。
 
元々、成長投資枠をどのように活用するか、具体的には買付を時間分散するか年初一括で行うか意見が分かれている。どちらも一長一短あるが、2024年が年初一括の方が良い結果となったこともあり、2025年は年初一括で成長投資枠を活用している人が2024年より増えている可能性も考えられる。
【図表3】 2025年1月の推計純流入ランキング
さらに1年前と比べて、米国株式により傾斜していることも見て取れる。1月の一般販売されているインデックス型の外国株式ファンドへの1兆4,300億円の資金流入のうち、8,500億円は米国株式もの(赤棒)であった【図表4】。「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」いわゆる「オルカン」を含むグローバル株式もの(青棒)にも、1月に5,700億円の資金流入があり、米国株式ものと同様に前月から倍増した。ただし、前年1月の4,800億円からだと900億円の増加と4,000億円以上増えた米国株式ものと比べて小幅であった。新NISA2年目は、インデックス型の米国株式ファンドを年初一括で買付けた人が増えたのかもしれない。
【図表4】 投資地域別のインデックス型外国株式ファンドの資金流出入

国内株式から外国株式への変更も?

また、1月はバランス型ファンドにも1,500億円の資金流入があった。12月の500億円から1,000億円増加し、2024年に最も資金流入が大きかった7月と同規模であった。国内株式ファンドは500億円の資金流入に転じた。
 
国内株式ファンドについては全体で見ると流入超過に転じたが、一般販売されているアクティブ型に限ると流出額こそ200億円と少額かつ12月の900億円から鈍化したが、流出超過であった。前年1月は国内株式が大きく上昇したにも関わらず、一般販売されているアクティブ型の国内株式ファンドには1,000億円の資金流入があった。その後も9月まで資金流入が続いたが、10月以降は資金流出が続いていたが、2025年に入っても止まらなかった。
 
2024年は年初の1月、2月や4月、8月の国内株式の下落時にNISA口座、特に成長投資枠から国内株式ファンドの買付がそれなりにあったようだ。しかし、2025年1月は前年1月と比べると課税口座などから利益確定売りが出にくい状況だった。それでも資金流入が小規模であったため、買付が少なかったことが推察される。新NISA1年目に国内株式ファンドを買い付けていた人の中から、2年目は外国株式ファンド、特に米国株式ファンドに変更した人も一部で出て可能性がある。

なお、内外の債券、REITのファンドについては、一般販売に限るとすべて1月に資金流出していた。特に外国債券ファンドと国内REITファンドは、12月から資金流出が鈍化したものの、流出額が100億円を超え、まとまった売却が出ていた様子である。

一部のテーマ型の外国株式ファンドが高パフォーマンス

1月は、金価格の上昇が追い風となり金関連の外国株式ファンド(赤太字)が高パフォーマンスだった【図表5】。ちなみに金で運用しているファンドの基準価額も1月に上昇しており、収益率は為替ヘッジしているもので6%台、為替ヘッジしていないものは4%台となっていた。
 
その他にもテーマ型の外国株式ファンドの中には、1月に高パフォーマンスをあげているもの(青太字)があった。
【図表5】 2025年1月の高パフォーマンス・ランキング
 
 

(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。

(2025年02月12日「研究員の眼」)

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金融研究部   主任研究員

前山 裕亮 (まえやま ゆうすけ)

研究・専門分野
株式市場・投資信託・資産運用全般

経歴
  • 【職歴】
    2008年 大和総研入社
    2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
    2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
    2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
    2022年7月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)

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