2025年01月31日

ユーロ圏失業率(2024年12月)-失業率は6.3%と低位で推移

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は6.3%と低位で推移

1月30日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2024年12月、季節調整値)】
失業率は6.3%、市場予想1(6.3%)と一致、前月(6.2%)から上昇した(図表1・2)
失業者は1083.0万人となり、前月(1073.4万人)から9.6万人増加した

(図表1)ユーロ圏失業率/(図表2)ユーロ圏失業率
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率はやや低下

ユーロ圏(20か国)の12月の失業率は6.3%となった。11月以前の過去データは、ほとんど変更されなかったが、11月が若干改善方向に改定され(6.3→6.2%)、11月に統計データ公表以来の最低値を更新、12月はそこからやや上昇する形となった。

失業者数は12月の前月差で9.6万人増となった。11月まで5か月連続で失業者数は減少したのち、12月は増加に転じる形となった。主要4か国で見るとイタリア(8.7万人)、フランス(3.1万人)、ドイツ(0.2万人)が増加、スペイン(▲2.0万人)が減少した。スペインは11か月連続で低下している。失業者数はコロナ禍前より90万人少なく、スペイン(コロナ禍前比▲70万人)が大きく、イタリア(同▲29万人)も減少に寄与している(図表3)。

12月の若年失業率は14.8%となり、11月(14.9%)から若干低下した。過去データは若干改善方向に修正されている(11月:15.0→14.9%、10月:15.0→14.9%、9月14.9→14.8%)。若年失業者数は12月で235.9万人(前月差▲1.8万人)と2か月連続で減少したが、24年5月以降の若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の233.6万人)をやや上回る状態が続いている(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の11月のデータを見ると、失業率は20か国中、悪化した国が5か国、改善が6か国、横ばいが9か国だった(図表5)。若年失業率は公表されている16か国中、悪化した国が7か国、改善が9か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が増加、就業者と非労働力人口が減少している(図表7)。ポルトガルは雇用者数が増加する一方で、失業者と非労働力人口が減少する形となっている(図表8)。労働参加率はイタリアでやや上昇、ポルトガルでは高水準を維持している。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年01月31日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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