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- 2025年の原油相場見通し~トランプ政権始動の影響は?
2025年01月09日
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■要旨
- 今年の原油相場を見通すうえでの注目点としては、「トランプ政権による政策運営」、「中国需要の行方」、「地政学リスクの行方」、「FRBによる利下げの行方」等が挙げられる。
- 原油価格の中心的な見通しとしては、まず、足元から春にかけてはやや下落する可能性が高い。原油の不需要期にあたるうえ、トランプ政権が早期に原油増産促進策の打ち出しと対中国関税の引き上げを実施することで、原油需給の緩みが意識されやすくなると考えられるためだ。原油価格の低迷を受けて、OPECプラスは減産縮小開始の延期を余儀なくされるだろう。その後、春以降は原油価格が水準をやや戻すと予想している。米国でドライブシーズンが始まるほか、米国によるイラン制裁の強化やSPRの積み増しが想定されるためだ。中東やウクライナを巡る地政学リスクも燻り続け、原油価格の下支えになると見ている。一方、(1)トランプ政権による関税引き上げを受けた需要減少懸念が燻り続けること、(2)米国でインフレが再燃に向かうことで、FRBが年の半ばに利下げを停止するとみられること、(3)原油価格が持ち直せば、OPECプラスが減産縮小に踏み切ることはそれぞれ原油価格の重石となる。以上を総合的に勘案し、今年の予想レンジはWTIベースで1バレル58ドル~80ドル程度、年末の水準は70ドル弱と予想している。
- 以上がメインシナリオだが、今年の原油価格はトランプ政権の出方次第の面が強く、不透明感が特に強い。仮にトランプ政権が関税を大規模に引き上げ、世界的な貿易戦争に発展すれば、原油価格がレンジを下方に抜けるリスクが高まる。逆に、米国とイランの関係が大きく悪化して中東からの原油供給が急減するとの懸念が高まれば、レンジを上方に抜けるリスクが高まる。それぞれが起きた際に、OPECプラスが迅速・柔軟に対応して価格変動を抑制するかという点もポイントになる。
■目次
1.トピック:2025年の原油相場見通し
・2024年の振り返り・・・一進一退の展開に
・2025年の注目ポイント
・中心的なシナリオとリスク
2.日銀金融政策(12月)
・(日銀)変更なし
・今後の予想
3.金融市場(12月)の振り返りと予測表
・10年国債利回り
・ドル円レート
・ユーロドルレート
1.トピック:2025年の原油相場見通し
・2024年の振り返り・・・一進一退の展開に
・2025年の注目ポイント
・中心的なシナリオとリスク
2.日銀金融政策(12月)
・(日銀)変更なし
・今後の予想
3.金融市場(12月)の振り返りと予測表
・10年国債利回り
・ドル円レート
・ユーロドルレート
(2025年01月09日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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