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- 為替介入の軌跡を振り返る~2022年以降のまとめと今後の行方
2024年11月01日
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■要旨
- 政府が24年ぶりの円買い介入に踏み切った2022年以降の介入動向を振り返ると、3つの局面で合計7日、24.5兆円規模の介入が実施された。
- この間の介入運営の特徴をまとめると、(1)国際的な合意である「過度な変動や無秩序な動きへの対応である」と主張しやすい状況にするため、水準として円安であるのみならず、一定程度円安が進んだ段階・投機筋の円売りが目立つ状況下で、米当局の容認を得たうえで介入を実施。(2)市場の不意を突くタイミングで巨額の資金を一気に投入することで円を急伸させ、介入の存在を印象付ける一方で覆面化することで市場参加者を「疑心暗鬼」に陥らせるとともに、外貨準備内の米国債売却を通じて介入余力の存在をアピールすることで、円売りを仕掛けづらい地合いの形成を図ったことがうかがわれる。
- 為替のトレンドを決定づけるのはファンダメンタルズであるため、介入によって円安トレンドを転換させることはそもそも不可能だ。ただし、そうした中でも、各介入の後には全てのケースで投機筋の円売りが縮小し、多くのケースで円安の進行ペースが鈍ったり一旦休止したりしていることから、「巧みな介入運営によって一定程度円安の進行を抑制し、ドル安圧力が高まるまでの時間を稼いだ」という評価は可能と考えられる。
- 円安圧力は未だ燻っているため今後も介入が再開される可能性は残っている。具体的には、仮に投機的な円売りを伴う形で円安が進んで160円をうかがうような展開となれば、介入が再開される可能性が高いと見ている。その際に注目されるのは「介入の司令塔である財務官交代の影響」と「米国の政権交代の影響」だ。とりわけ、仮にトランプ氏が大統領選で勝利した場合には、同氏の言動は予測困難なだけに、日本の介入に対してどのようなスタンスで応じるかは見通しづらい。
■目次
1.トピック:為替介入の軌跡を振り返る
・3つの局面で計24.5兆円規模の介入を実施
・2022年以降の介入の特徴
・今後の介入の行方
2.日銀金融政策(10月)
・(日銀)変更なし
・今後の予想
3.金融市場(10月)の振り返りと予測表
・10年国債利回り
・ドル円レート
・ユーロドルレート
1.トピック:為替介入の軌跡を振り返る
・3つの局面で計24.5兆円規模の介入を実施
・2022年以降の介入の特徴
・今後の介入の行方
2.日銀金融政策(10月)
・(日銀)変更なし
・今後の予想
3.金融市場(10月)の振り返りと予測表
・10年国債利回り
・ドル円レート
・ユーロドルレート
(2024年11月01日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
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