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- 日銀短観(9月調査)~景況感はほぼ横ばい、設備投資は堅調維持、日銀の見通しに概ね沿った内容に
2024年10月01日
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■要旨
- 9月短観では、注目度の高い大企業製造業で景況感が横ばいとなった。世界的な半導体需要の回復が追い風になったものの、輸出の低迷や台風による工場停止などが景況感の重石になった。大企業非製造業では、地震臨時情報・台風上陸に伴う人出減少や人手不足が重荷となったものの、価格転嫁の進展やインバウンド需要の増加が追い風となり、景況感が若干改善した。
- 先行きの景況感については、製造業が若干強含んでいる一方、非製造業では悪化が見込まれている。物価高による消費への悪影響や人手不足の深刻化、円高によるインバウンド需要減少への懸念などが影響していると見られる。
- 2024年度の設備投資計画(全規模全産業)は、前年比8.9%増と前回から小幅に上方修正された。例年9月調査では年度計画が固まってくることで、投資額が上乗せされる傾向が強い。実態としても、収益回復に伴う投資余力の改善に加え、脱炭素・DX・省力化・サプライチェーンの再構築に伴う投資需要を背景として堅調な設備投資計画が維持されている。ただし、前回からの上昇修正幅は例年の9月調査を下回っている。人手不足による供給制約が強まっている可能性がある。年度後半にかけても、供給制約による計画の下振れリスクに留意が必要になる。
- 今回の短観では、堅調な設備投資計画や値上げの継続意向、高いインフレ期待や人手不足感などが窺える内容になったことで、日銀として、追加利上げの根拠となる「経済・物価が見通しに沿った経路を辿っている(オントラックにある)」との判断を裏付ける材料に位置付けることが出来そうだ。ただし、金融市場の不安定化が長引いているうえ、円安が修正されたことや米国経済の減速懸念が高まっていることを踏まえ、9月以降、日銀は利上げ判断を急がない姿勢を強調している。従って、日銀は当面利上げを見送りつつ、市場動向や内外(特に米国)の経済データ、政治情勢を見定める姿勢を維持するだろう。
(2024年10月01日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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