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プロジェクト2025の気候変動へのスタンス-米国の気候変動対策はどうなっていくのか-

保険研究部 主任研究員・気候変動リサーチセンター兼任 磯部 広貴
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1――はじめに(プロジェクト2025とは)
本来のプロジェクト2025は保守人材育成プログラムなどを含むイニシアティブであるが、一般にマスメディアがプロジェクト2025と称するときは同書あるいはその記述内容を指すことが通例であるため、このレポートではその趣旨でも用いることとする。
プロジェクト2025は特定の候補者を支援する意図ではなく、保守主義あるいは共和党の候補者が大統領選に勝利した場合、就任後の政権運営で採用されることを想定したものである。建前としては保守主義者の勝手連的な政策集であり、昨年の大統領選で勝利したトランプ氏も自身との関連を否定してきた。
しかしそれを額面通り捉える向きは少ない。トランプ氏に近い人物の多くがプロジェクト2025の執筆者・協力者として名を連ねているためだ。その中から第2次トランプ政権の高位役職への起用2が進みつつあること、低位役職にはプロジェクト2025のデータベースから保守主義者が充てられていることが報じられている。書かれた政策のすべてが実行されることはないだろうが、第2次トランプ政権運営において大きな影響力を持つことに疑いはない。
このレポートではプロジェクト2025が気候変動にどのようなスタンスで臨もうとしているのかを確認していく。
尚、自由の国として誕生した米国においては、個人主義的かつ自由放任主義的な思想が保守主義と呼ばれるようになった。よって経済活動を規制せんとする気候変動対策は保守主義との親和性が本質的に低いことを念頭に置いていただきたい。
1 ヘリテージ財団がMandate for Leadershipを初めて作成したのは1980年、共和党レーガン政権に向けてであった。レーガン大統領(当時)は最初の閣議で全員にそのコピーを配布したと伝わる。
2 2.米国大統領行政府を執筆したRuss Vought氏が予算管理局長に、28.連邦通信委員会を執筆したBrendan Carr氏が同委員会の委員長に就任予定。協力者からはTom Homan氏が国境管理責任者、John Ratcliffe氏がCIA長官など。
2――プロジェクト2025の構成
尚、小項目に付された【】内の数字はclimate change(気候変動)の登場回数である。
1.ホワイトハウス事務局 - Rick Dearborn
2.米国大統領行政府 - Russ Vought 【2】
3.中央人事機関: 官僚組織の管理 - Donald Devine, Dennis Dean Kirk, and Paul Dans
セクション 2: 共同防衛 【1】
4.国防総省 - Christopher Miller 【1】
5.国土安全保障省 - Ken Cuccinelli
6.国 務 省 - Kiron K. Skinner 【1】
7.情報機関 - Dustin J. Carmack
8.メディア機関
・米国グローバルメディア局 - Mora Namdar
・米国公共放送社 - Mike Gonzalez
9.国際開発庁 - Max Primorac 【4】
セクション 3: 一般福祉 【1】
10.農 務 省 - Daren Bakst 【8】
11.教 育 省 - Lindsey M. Burke
12.エネルギー省および関連委員会 - Bernard L. McNamee 【12】
13.環境保護局 - Mandy M. Gunasekara 【3】
14.保健福祉省 - Roger Severino 【1】
15.住宅都市開発省 - Benjamin S. Carson, Sr., MD 【1】
16.内 務 省 - William Perry Pendley 【1】
17.司 法 省 - Gene Hamilton
18.労働省および関連機関 - Jonathan Berry 【2】
19.運 輸 省 - Diana Furchtgott-Roth
20.退役軍人省 - Brooks D. Tucker
セクション 4: 経 済 【2】
21.商 務 省 - Thomas F. Gilman 【2】
22.財 務 省 - William L. Walton, Stephen Moore, and David R. Burton 【7】
23.輸出入銀行
・輸出入銀行は廃止すべき - Veronique de Rugy
・輸出入銀行の必要性 - Jennifer Hazelton
24.連邦準備制度理事会 - Paul Winfree
25.中小企業庁 - Karen Kerrigan
26.貿 易
・公正な貿易の主張 - Peter Navarro
・自由な貿易の主張 - Kent Lassman 【1】
セクション 5: 独立規制機関 【1】
27.金融規制機関
・証券取引委員会および関連機関 - David R. Burton 【1】
・消費者金融保護局 - Robert Bostrom
28.連邦通信委員会 - Brendan Carr
29.連邦選挙委員会 - Hans A. von Spakovsky
30.連邦取引委員会 - Adam Candeub
(2025年01月07日「基礎研レポート」)

03-3512-1789
- 【職歴】
1990年 日本生命保険相互会社に入社。
通算して10年間、米国3都市(ニューヨーク、アトランタ、ロサンゼルス)に駐在し、現地の民間医療保険に従事。
日本生命では法人営業が長く、官公庁、IT企業、リース会社、電力会社、総合型年金基金など幅広く担当。
2015年から2年間、公益財団法人国際金融情報センターにて欧州部長兼アフリカ部長。
資産運用会社における機関投資家向け商品提案、生命保険の銀行窓版推進の経験も持つ。
【加入団体等】
日本FP協会(CFP)
生命保険経営学会
一般社団法人 アフリカ協会
一般社団法人 ジャパン・リスク・フォーラム
2006年 保険毎日新聞社より「アメリカの民間医療保険」を出版
磯部 広貴のレポート
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