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- 日銀短観(12月調査)~景況感はほぼ横ばい、総じて「オントラック」を裏付け、日銀の利上げを後押しする内容
2024年12月13日
3.価格判断:値上げ意向は継続、物価見通しは2%超が定着しつつある
大企業製造業の仕入価格判断DI (上昇-下落)は前回から2ポイント低下の39、非製造業も2ポイント低下の44となった。夏場の円安修正に伴う輸入物価の上昇一服を受けて、仕入価格の増勢が弱まったとみられる。
一方、販売価格判断DIは製造業で1ポイント低下の25、非製造業では横ばいの29となった。
製造業、非製造業ともに仕入価格判断DIの低下幅を販売価格判断DIの低下幅(非製造業は横ばい)が下回ったため、差し引きであるマージン(採算)はともにやや改善している。
仕入価格判断DIの3か月後の先行きは大企業製造業で2ポイントの低下、非製造業で横ばいが見込まれている。一方、販売価格判断DIの3ヵ月後の先行きは、製造業で1ポイントの低下、非製造業で2ポイントの上昇が見込まれていることから、マージンはそれぞれやや改善する見込み。製造業、非製造業ともに販売価格判断DIの先行きの水準は25ポイント弱~30%ポイント強(コロナ前は概ねゼロ%ポイント)で高止まりしており、値上げを継続する意向が現れている。
なお、中小企業では、販売価格判断DIの先行きとして、製造業で5ポイントの上昇、非製造業で4ポイントの上昇が見込まれている。DIの先行きの水準も30%ポイント強(コロナ前は概ねゼロ%ポイント)と大企業よりも高めだ。これまでの価格転嫁の遅れもあり、中小企業の先行きの値上げ意欲は相対的に強い。
同じく物価関連項目である企業の「物価全般の見通し(全規模)」も引き続き2%超で高止まりしている。具体的には、1年後が前年比2.4%、3年後が2.3%、5年後が2.2%となり、それぞれ、前回から横ばいとなっている。
また、企業の販売価格の見通し(全規模・現状と比較した変化率)も3年後と5年後がそれぞれ前回から0.1%ポイント上方修正されており、中長期的な値上げ意向もやや強まっている模様だ。
一方、販売価格判断DIは製造業で1ポイント低下の25、非製造業では横ばいの29となった。
製造業、非製造業ともに仕入価格判断DIの低下幅を販売価格判断DIの低下幅(非製造業は横ばい)が下回ったため、差し引きであるマージン(採算)はともにやや改善している。
仕入価格判断DIの3か月後の先行きは大企業製造業で2ポイントの低下、非製造業で横ばいが見込まれている。一方、販売価格判断DIの3ヵ月後の先行きは、製造業で1ポイントの低下、非製造業で2ポイントの上昇が見込まれていることから、マージンはそれぞれやや改善する見込み。製造業、非製造業ともに販売価格判断DIの先行きの水準は25ポイント弱~30%ポイント強(コロナ前は概ねゼロ%ポイント)で高止まりしており、値上げを継続する意向が現れている。
なお、中小企業では、販売価格判断DIの先行きとして、製造業で5ポイントの上昇、非製造業で4ポイントの上昇が見込まれている。DIの先行きの水準も30%ポイント強(コロナ前は概ねゼロ%ポイント)と大企業よりも高めだ。これまでの価格転嫁の遅れもあり、中小企業の先行きの値上げ意欲は相対的に強い。
同じく物価関連項目である企業の「物価全般の見通し(全規模)」も引き続き2%超で高止まりしている。具体的には、1年後が前年比2.4%、3年後が2.3%、5年後が2.2%となり、それぞれ、前回から横ばいとなっている。
また、企業の販売価格の見通し(全規模・現状と比較した変化率)も3年後と5年後がそれぞれ前回から0.1%ポイント上方修正されており、中長期的な値上げ意向もやや強まっている模様だ。
4.売上・利益計画:引き続き減益計画だが、上振れ余地あり
2024年度収益計画(全規模全産業)は、売上高が前年比2.8%増(前回は2.3%増)、経常利益は3.1%減(前回は同5.7%減)とそれぞれ上方修正された。
例年、経常利益計画は初回の3月調査時点で保守的に見積もられ、前年比で小幅なマイナス圏でスタートし、6月調査で比較対象となる前年度分の上方修正などを受けて、さらに伸び率がやや下方修正された後は、景気が悪化していない限り、上方修正されていく傾向が強い。
今回も同様のパターンとなり、これまでの業績進捗の計画比上振れを受けて、もともとの保守的ぎみであった想定を上方修正する動きが継続したと考えられる。
ただし、今回、上期の利益が大きく上方修正される一方で、下期の利益が下方修正されており、企業の保守的な姿勢がうかがわれる。また、後述の通り、想定為替レートも保守的な水準に維持されていることから、今後、経営環境の特段の悪化や円高の進行が起こらなければ、収益計画がさらに上方修正される可能性が高い。
2024年度の想定ドル円レート(全規模・全産業ベース)は146.88円(上期147.61円、下期146.15円)と、前回(145.15円)から小幅に円安方向へ修正されている。前回調査以降、再び円安が進行したことを受けた修正とみられる。ただし、年度始から直近までの平均(152円前後)や足元の水準(152円台)と比べると、依然として円高水準で据え置かれている。短観の想定為替レートは実勢の反映が遅れる傾向があるうえ、もともと輸出企業を中心に保守的な姿勢で実勢よりも円高気味の想定を据え置く傾向があるためと考えられる。
例年、経常利益計画は初回の3月調査時点で保守的に見積もられ、前年比で小幅なマイナス圏でスタートし、6月調査で比較対象となる前年度分の上方修正などを受けて、さらに伸び率がやや下方修正された後は、景気が悪化していない限り、上方修正されていく傾向が強い。
今回も同様のパターンとなり、これまでの業績進捗の計画比上振れを受けて、もともとの保守的ぎみであった想定を上方修正する動きが継続したと考えられる。
ただし、今回、上期の利益が大きく上方修正される一方で、下期の利益が下方修正されており、企業の保守的な姿勢がうかがわれる。また、後述の通り、想定為替レートも保守的な水準に維持されていることから、今後、経営環境の特段の悪化や円高の進行が起こらなければ、収益計画がさらに上方修正される可能性が高い。
2024年度の想定ドル円レート(全規模・全産業ベース)は146.88円(上期147.61円、下期146.15円)と、前回(145.15円)から小幅に円安方向へ修正されている。前回調査以降、再び円安が進行したことを受けた修正とみられる。ただし、年度始から直近までの平均(152円前後)や足元の水準(152円台)と比べると、依然として円高水準で据え置かれている。短観の想定為替レートは実勢の反映が遅れる傾向があるうえ、もともと輸出企業を中心に保守的な姿勢で実勢よりも円高気味の想定を据え置く傾向があるためと考えられる。
5.設備・雇用:設備投資計画は強め、人手不足感は極めて強い状況続く
生産・営業用設備判断DI(「過剰」-「不足」)は、全規模全産業で前回から横ばいの▲1となった。設備の需給は概ね均衡ながら、若干不足ぎみの状況が続いている。
また、雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」)は、全規模全産業で前回から横ばいの▲36となった。DIのマイナス幅は、今年3月・9月調査と並んで、1991年以来の大幅なマイナスにあたる。建設業などでの労働時間規制強化や人手を多く要する対面サービス需要の増加を受けて、人手不足感が極めて強い状況が続いている。
先行きの見通し(全規模全産業)は、設備判断DIが▲3、雇用人員判断DIが▲41とそれぞれ、2ポイント、5ポイントの低下が見込まれている。とりわけ、先行きに対する警戒感の強さの表れか、雇用において人出不足感が明確に強まる見通しになっている。
また、雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」)は、全規模全産業で前回から横ばいの▲36となった。DIのマイナス幅は、今年3月・9月調査と並んで、1991年以来の大幅なマイナスにあたる。建設業などでの労働時間規制強化や人手を多く要する対面サービス需要の増加を受けて、人手不足感が極めて強い状況が続いている。
先行きの見通し(全規模全産業)は、設備判断DIが▲3、雇用人員判断DIが▲41とそれぞれ、2ポイント、5ポイントの低下が見込まれている。とりわけ、先行きに対する警戒感の強さの表れか、雇用において人出不足感が明確に強まる見通しになっている。
2024年度の設備投資計画(全規模)は、前年比9.7%増と前回9月調査(8.9%増)から上方修正された。伸び率の上方修正幅は0.8%ポイントと例年3よりやや大幅となった。
例年12月調査では年度計画が固まってくることで、中小企業を中心に投資額が上乗せされる傾向が強い。さらに、実態としても、堅調な収益を背景として十分な投資余力が確保されるなかで、省力化・脱炭素・DX・サプライチェーンの再構築等に伴う投資需要を反映した堅調な投資計画が維持された。
ただし、今年度からの労働時間規制強化の影響もあって、建設業界では人手不足という供給制約が強まっている。このため、年度末に向けては、工事進捗の遅れ等に伴う設備投資計画の下方修正リスクに注意が必要になる。
2024年度設備投資計画(全規模全産業で前年比9.7%増)は市場予想(QUICK 集計8.5%増、当社予想は9.0%増)を上回る結果だった。
2024年度のソフトウェア投資計画(全規模全産業)は前年比12.1%増(前回は13.1%増)へと下方修正されたが、引き続き高い伸びが示されている。
企業が、オンライン需要への対応や生産性向上・省力化等に向けた業務のIT化を積極的に推し進める姿勢を維持していることを示しており、前向きな動きと言える。
例年12月調査では年度計画が固まってくることで、中小企業を中心に投資額が上乗せされる傾向が強い。さらに、実態としても、堅調な収益を背景として十分な投資余力が確保されるなかで、省力化・脱炭素・DX・サプライチェーンの再構築等に伴う投資需要を反映した堅調な投資計画が維持された。
ただし、今年度からの労働時間規制強化の影響もあって、建設業界では人手不足という供給制約が強まっている。このため、年度末に向けては、工事進捗の遅れ等に伴う設備投資計画の下方修正リスクに注意が必要になる。
2024年度設備投資計画(全規模全産業で前年比9.7%増)は市場予想(QUICK 集計8.5%増、当社予想は9.0%増)を上回る結果だった。
2024年度のソフトウェア投資計画(全規模全産業)は前年比12.1%増(前回は13.1%増)へと下方修正されたが、引き続き高い伸びが示されている。
企業が、オンライン需要への対応や生産性向上・省力化等に向けた業務のIT化を積極的に推し進める姿勢を維持していることを示しており、前向きな動きと言える。
3 直近10年間(2014~23年度)における12月調査での修正幅は平均で+0.5%ポイント
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(2024年12月13日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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