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- 中国は不動産不況と米国リスクをどう乗り越えるか-相次ぎ発表される経済政策の現状評価と今後の見通し
2024年11月15日
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■要旨
中国は、長期化する不動産不況と米国の対中政策という内外の課題に直面している。不動産市場の低迷が続き、経済への影響が広がるなか、政府による経済対策等により経済の安定が辛うじて保たれているが、息切れとなる可能性がある。さらに、2024年の米国大統領選挙でトランプ氏が再選したことにより、対中関税の強化や最恵国待遇の取り消しなどの対策が予想され、これが中国経済に与える影響が危惧される。
こうした状況に対し、中国は財政や金融、不動産など、幅広く追加の経済対策を発表している。もっとも、期待されていた大規模財政政策については、地方政府の隠れ債務の借り換えであった。金融リスクの緩和にはつながるものの、景気押し上げの効果は期待できない。不動産政策に関しても、中央政府の関与には依然消極的であり、地方政府や金融機関による資金供給に頼った地道な対策が続く見込みだ。
今後を展望すると、経済対策に関しては、2025年3月の全人代を経て、需要喚起につながる財政出動が発表される可能性が高い。中国指導部は、依然として大規模対策によるデレバレッジへの悪影響を懸念しているとみられるが、追加対策の規模が、経済を上向かせるに足るものかがポイントとなるだろう。対米外交に関しては、過去の経験に基づけば、対中強硬策の影響を最小限に食い止めるべく、時間稼ぎの努力がなされるものと予想される。米中双方の動向に注視が必要だ。
■目次
はじめに
1――続く「内憂」と強まる「外患」
2――現時点の中国の経済対策の評価
1|期待された財政出動は空振りに
2|地方債務の隠れ債務問題は、先送りに過ぎないものの小康状態に
3|不動産不況に対しては、規模を拡大させつつ地道な対策を継続
3――今後中国はどう臨むか
1|国内経済政策:本格的な財政出動の強化は2025年となる見込み
2|対米外交:経済への悪影響緩和に向けた取り組みが必要に
中国は、長期化する不動産不況と米国の対中政策という内外の課題に直面している。不動産市場の低迷が続き、経済への影響が広がるなか、政府による経済対策等により経済の安定が辛うじて保たれているが、息切れとなる可能性がある。さらに、2024年の米国大統領選挙でトランプ氏が再選したことにより、対中関税の強化や最恵国待遇の取り消しなどの対策が予想され、これが中国経済に与える影響が危惧される。
こうした状況に対し、中国は財政や金融、不動産など、幅広く追加の経済対策を発表している。もっとも、期待されていた大規模財政政策については、地方政府の隠れ債務の借り換えであった。金融リスクの緩和にはつながるものの、景気押し上げの効果は期待できない。不動産政策に関しても、中央政府の関与には依然消極的であり、地方政府や金融機関による資金供給に頼った地道な対策が続く見込みだ。
今後を展望すると、経済対策に関しては、2025年3月の全人代を経て、需要喚起につながる財政出動が発表される可能性が高い。中国指導部は、依然として大規模対策によるデレバレッジへの悪影響を懸念しているとみられるが、追加対策の規模が、経済を上向かせるに足るものかがポイントとなるだろう。対米外交に関しては、過去の経験に基づけば、対中強硬策の影響を最小限に食い止めるべく、時間稼ぎの努力がなされるものと予想される。米中双方の動向に注視が必要だ。
■目次
はじめに
1――続く「内憂」と強まる「外患」
2――現時点の中国の経済対策の評価
1|期待された財政出動は空振りに
2|地方債務の隠れ債務問題は、先送りに過ぎないものの小康状態に
3|不動産不況に対しては、規模を拡大させつつ地道な対策を継続
3――今後中国はどう臨むか
1|国内経済政策:本格的な財政出動の強化は2025年となる見込み
2|対米外交:経済への悪影響緩和に向けた取り組みが必要に
(2024年11月15日「基礎研レター」)

03-3512-1787
経歴
- 【職歴】
・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
・2009年:同 アジア調査部中国室
(2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
・2020年:同 人事部
・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
三浦 祐介のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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