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- Z世代の消費志向とサステナブル意識-経済・社会的背景から見た4つの特徴
2024年11月08日
1―Z世代の育った経済・社会背景
流行語を見ると、Z世代の前半が高校生になる頃には「アベノミクス」や「爆買い」が話題となり、20年間低迷していた日経平均株価が上向き始めました。その後「親ガチャ」や「悪い円安」も注目され、「マタハラ」「保育園落ちた日本死ね」「(高齢者の自動車)免許返納」といった社会課題も浮上しました。
つまり、Z世代は、幼少期に経済的な不安定さや格差を目の当たりにし、思春期から青年期にかけては、経済面で明るい兆しを感じる一方、少子高齢化が進行する中で、働き方や価値観の変化、新たな社会課題にも直面しています。よって、経済情勢が改善されても、消費に慎重な姿勢を持つ傾向が強いでしょう。
一方で、Z世代の成長とともに進化し続けてきたのがデジタル領域です。Z世代は小学校高学年頃からスマートフォンを持ち始め、中高生になるとInstagramやTikTokなどのSNSを利用し、キャッシュレス決済にも自然と馴染んでいます。大学生や社会人になる頃には生成AIが登場し、彼らの生活や働き方に大きな影響を与え始めています。つまり、デジタルツールの活用はZ世代の価値観や行動様式に深く根付いており、経済・社会的背景とともに彼らの価値観を形作る重要な要素となっています。
つまり、Z世代は、幼少期に経済的な不安定さや格差を目の当たりにし、思春期から青年期にかけては、経済面で明るい兆しを感じる一方、少子高齢化が進行する中で、働き方や価値観の変化、新たな社会課題にも直面しています。よって、経済情勢が改善されても、消費に慎重な姿勢を持つ傾向が強いでしょう。
一方で、Z世代の成長とともに進化し続けてきたのがデジタル領域です。Z世代は小学校高学年頃からスマートフォンを持ち始め、中高生になるとInstagramやTikTokなどのSNSを利用し、キャッシュレス決済にも自然と馴染んでいます。大学生や社会人になる頃には生成AIが登場し、彼らの生活や働き方に大きな影響を与え始めています。つまり、デジタルツールの活用はZ世代の価値観や行動様式に深く根付いており、経済・社会的背景とともに彼らの価値観を形作る重要な要素となっています。
2―4つの消費志向とサステナ意識
ただし、SNSを通じて、どのような体験でも既視感を覚えやすくなる中で、再現性が低く、特別感のあるトキ消費に価値を見出す傾向も強いようです。
さらに、選択肢が豊富にある中ではパーソナライズ志向も高いでしょう。データ社会では企業は属性や行動履歴に基づいて個人のニーズに合わせた商品を提供できるようになっています。Z世代は企業の柔軟な対応を活かして、自分らしさを表現することにも長けています。
また、Z世代はエシカル志向や社会貢献意識の高さでも注目されることが多いようです。ただし、これには注意が必要です。確かに若者同士で比べれば、Z世代はバブル世代や団塊世代と比べてエシカル志向は高いかもしれません。しかし、現時点で比べると、若者よりシニアの方がサステナブル意識は強いのです*。
よって、企業が即効性を求めて情報拡散や好感度の向上を狙う場合には、情報発信力の高いZ世代へのアプローチが効果的ですが、商品の購入となるとシニアの方が可能性は高いのかもしれません。
将来的には、すべての消費者にとってサステナビリティという観点が消費行動の土台となると考えられますが、現時点では年代によって意識と行動には隔たりが見られます。そのため、各層の特徴をしっかりと捉え、適切なアプローチを行うことが求められます。
* 久我尚子「サステナビリティに関わる意識と消費行動(1)」、ニッセイ基礎研レポート(2023/09/15)など。
さらに、選択肢が豊富にある中ではパーソナライズ志向も高いでしょう。データ社会では企業は属性や行動履歴に基づいて個人のニーズに合わせた商品を提供できるようになっています。Z世代は企業の柔軟な対応を活かして、自分らしさを表現することにも長けています。
また、Z世代はエシカル志向や社会貢献意識の高さでも注目されることが多いようです。ただし、これには注意が必要です。確かに若者同士で比べれば、Z世代はバブル世代や団塊世代と比べてエシカル志向は高いかもしれません。しかし、現時点で比べると、若者よりシニアの方がサステナブル意識は強いのです*。
よって、企業が即効性を求めて情報拡散や好感度の向上を狙う場合には、情報発信力の高いZ世代へのアプローチが効果的ですが、商品の購入となるとシニアの方が可能性は高いのかもしれません。
将来的には、すべての消費者にとってサステナビリティという観点が消費行動の土台となると考えられますが、現時点では年代によって意識と行動には隔たりが見られます。そのため、各層の特徴をしっかりと捉え、適切なアプローチを行うことが求められます。
* 久我尚子「サステナビリティに関わる意識と消費行動(1)」、ニッセイ基礎研レポート(2023/09/15)など。
(2024年11月08日「基礎研マンスリー」)
03-3512-1878
経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/11/19 | 家計消費の動向(~2024年11月)-緩やかな改善傾向、継続する物価高で消費に温度差 | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
2024/11/08 | Z世代の消費志向とサステナブル意識-経済・社会的背景から見た4つの特徴 | 久我 尚子 | 基礎研マンスリー |
2024/10/30 | 訪日外国人消費の動向(2024年7-9月期)-9月時点で2023年超えの5.8兆円、2024年は8兆円も視野 | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
2024/10/23 | 大学卒女性の働き方別生涯賃金の推計(令和5年調査より)-正社員で2人出産・育休・時短で2億円超、男性並で3億円超 | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
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