2023年10月18日

サステナビリティに関わる意識と消費行動(2)-意識は成長段階・行動は途上段階、教育機会や情報感度、経済的余裕が影響

生活研究部 上席研究員 久我 尚子

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■要旨
 
  • ニッセイ基礎研究所の調査に基づき、20~74歳のサステナビリティに関わる意識を見ると、そう思う割合が最多は「サステナビリティに関わる問題は他人事ではない」(43.9%)であり、次いで僅差で「サステナビリティに今すぐに取り組まないと手遅れになる」(42.8%)などが続き、日本の消費者においてサステナビリティに関わる意識が一定程度は醸成されており、成長段階にある様子がうかがえる。
     
  • 行動面については、そう思う割合が最多は「価格が安くても人権問題等のある製品は買わない」(22.1%)であり、次いで僅差で「サステナビリティを意識して行動している」(21.5%)などが続き、意識面と比べてそう思う割合が低い。関心はあっても具体的な行動に戸惑いがある消費者も目立ち、行動については途上段階にあるようだ。
     
  • 現在の日本の消費者に向けた製品を考える場合、高価格になりがちな再生素材等を用いたものよりも、価格に影響を及ぼさない範囲で購入時から使用後までを含めた消費者行動のいずれかの段階で消費者にサステナビリティに関わる「手間」をかけることを求めるもの(パッケージレスや補修サービス、リサイクルなど)が受け入れられやすいだろう。「手間」をかければ製品や企業に対する消費者の愛着も高まりやすい。
     
  • 属性別には、意識は女性やシニア、高年収世帯で高い一方、行動は教育機会の有無や情報感度の強さ、経済的余裕などが影響しており、正規雇用者の多い男性で女性よりやや先行していたり、教育機会に恵まれたデジタルネイティブの若者で情報発信やボランティア活動に積極的な傾向などが見られた。一方、シニアでは具体的な取り組みへの戸惑いが大きいが、価格よりサステナビリティを優先して製品を購入するといった個人的に取り組みやすい行動は、若者以上に積極的な傾向も見られた。
     
  • サステナビリティに関わる取り組みを底上げするためには、シニアや非就業者などへの情報発信や教育機会を充実させることが重要だ。一方で、企業等が即時性のある好感度の向上や情報流通効果を期待する場合には、やはり情報発信力の高いZ世代などの若者への訴求が効果的だろう。将来的には、すべての消費者にとってサステナビリティという観点が消費行動の土台となっていくだろうが、意識と行動に隔たりがある現在では、消費者の特徴を丁寧に捉えて情報を訴求することが肝要だ。


■目次

1――はじめに
 ~認知は広がるが、現段階では価格よりサステナビリティ優先した製品購入は少数派
2――全体の状況
 ~意識は成長段階、行動は途上段階、サステナビリティにお金というより手間をかけたい
3――属性別の状況
 ~教育機会や情報感度、経済的余裕が意識の高さや行動の積極性に影響
  1|性別の状況
   ~消費生活の関心が高い女性で意識は高く、研修機会等の多い男性で行動はやや先行
  2|年代別の状況
   ~シニアで意識高く、教育機会に恵まれたデジタルネイティブで行動はやや積極的
  3|職業別の状況
   ~公務員は時間のなさが足かせのようだが価格よりサステナビリティ優先傾向強い
  4|世帯年収別の状況
   ~高年収ほど意識が高く、行動は正規雇用者の多い層を中心に積極的
4――おわりに
 ~シニアや非就業者への教育機会の充実が重要、即時性・情報流通効果はZ世代に期待
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生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

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