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2024年09月04日
欧州大手保険グループの2024年上期末SCR比率等の状況-ソルベンシーII等に基づく数値結果報告と資本管理等に関係するトピック-
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2|Allianz
(1) SCR比率の推移
2024年上期末のSCR比率は、2023年末と同水準の206%となった(なお、Allianzは、基本的には技術的準備金の経過措置を適用していないが、これを適用した場合には、自己資本が81億ユーロ増加して、SCR比率は225%になる、としている)。
この要因については、以下の通りとなっている。
・営業利益による資本形成とビジネス進展による影響が、四半期ベースで最高水準の営業利益等を反映して、+13%ポイント(税及び配当控除後で+3%ポイント)
・市場の影響は▲1%ポイント
・経営行動及び資本管理の影響は▲8%ポイント(新たな支払い方針に基づく配当見込、2024年2月に発表した自社株買いによるマイナス要因が、経営行動によるプラスの影響(株式のリスク軽減や事業体の売却(Allianz Saudi Fransi、Euler Hermes Re S.A、Luxembourg)等)で一部相殺された)
・規制/モデル変更による影響は、▲1%ポイント(UFRの3.45%から3.30%への低下等)
・その他、税金関係等で▲3%ポイント
(1) SCR比率の推移
2024年上期末のSCR比率は、2023年末と同水準の206%となった(なお、Allianzは、基本的には技術的準備金の経過措置を適用していないが、これを適用した場合には、自己資本が81億ユーロ増加して、SCR比率は225%になる、としている)。
この要因については、以下の通りとなっている。
・営業利益による資本形成とビジネス進展による影響が、四半期ベースで最高水準の営業利益等を反映して、+13%ポイント(税及び配当控除後で+3%ポイント)
・市場の影響は▲1%ポイント
・経営行動及び資本管理の影響は▲8%ポイント(新たな支払い方針に基づく配当見込、2024年2月に発表した自社株買いによるマイナス要因が、経営行動によるプラスの影響(株式のリスク軽減や事業体の売却(Allianz Saudi Fransi、Euler Hermes Re S.A、Luxembourg)等)で一部相殺された)
・規制/モデル変更による影響は、▲1%ポイント(UFRの3.45%から3.30%への低下等)
・その他、税金関係等で▲3%ポイント
なお、Allianzは今後のSCR比率に与える要素について説明しているが、これによると以下の項目が挙げられている。
・営業利益による資本形成は、引き続き+6%~+8%ポイント
・4月に発表したAllianz Global Corporate & Specialty SE (AGCS)の取引で+2%ポイント
・8月1日に発表した劣後債の償還で▲1%ポイント、自社株買い規模の5億ユーロの増加で▲1%ポイント
・Income Insurance Limitedの過半数株式の取得で▲3%~▲4%ポイント
なお、自己資本とSCRへの影響は、以下の図表の通りとなっている。自己資本は、着実な営業利益の積み上げにより77億ユーロ増加したことから、配当支払や自社株買いでのマイナスの影響があったものの、20億ユーロ増加した。一方で、SCRは、株式リスク軽減に向けた経営行動等があったものの、ビジネス進展に加えて、市場の影響や規制/モデル変更等により9億ユーロ増加した。
・営業利益による資本形成は、引き続き+6%~+8%ポイント
・4月に発表したAllianz Global Corporate & Specialty SE (AGCS)の取引で+2%ポイント
・8月1日に発表した劣後債の償還で▲1%ポイント、自社株買い規模の5億ユーロの増加で▲1%ポイント
・Income Insurance Limitedの過半数株式の取得で▲3%~▲4%ポイント
なお、自己資本とSCRへの影響は、以下の図表の通りとなっている。自己資本は、着実な営業利益の積み上げにより77億ユーロ増加したことから、配当支払や自社株買いでのマイナスの影響があったものの、20億ユーロ増加した。一方で、SCRは、株式リスク軽減に向けた経営行動等があったものの、ビジネス進展に加えて、市場の影響や規制/モデル変更等により9億ユーロ増加した。
(3) トピック
Allianzの2024年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2024年2月22日に、Allianz SEは、最大10億ユーロ規模の自社株買いプログラムと配当政策の修正を発表した。さらに、2024年8月7日に、Allianz SEは、2024年の自社株買いの総額を15億ユーロに拡大することを決定した、と発表した。Allianz SEは買い戻した株式を全て消却する。
2024年2月22日に、AlTi Tiedemann Globalが、Allianz X と Constellation Wealth Capital からの最大4億5,000万ドルの戦略的投資を歓迎すると発表した。
2024年3月1日に、Allianz SpAによる2億8,000万ユーロの対価でのAssicurazioni Generali S.p.A.からのTua Assicurazioni S.p.A.の買収が完了した、と発表した。これにより、イタリアの魅力的な損害保険部門で市場シェアが約1%ポイント増加する。また、Tua Assicurazioni S.p.A.の約500の代理店による販売能力の大幅な強化が図られる、としている。なお、この取引は、2023年10月12日に契約の締結が公表されていた。
2024年4月5日に、Allianz Global Corporate & Specialty SE (AGCS)が、Fireman's Fund子会社を通じて引き受けている米国 MidCorp及びEntertainment保険事業を、事業のフランチャイズ価値を反映した4億5,000万ドルの現金支払いで、Arch Capital Group Ltd.(Arch)の一部門である Arch Insurance North America に売却する契約を締結した、と発表した。この取引にはAllianzのリスク移転が含まれており、Archは事業に関連する約20億ドルの損失準備金を引き受ける。Archからの現金支払いと、事業を支援するAllianzの推定10億ドルの資本を合わせると、Allianz Groupの取引総額は14億ドルになると予想されている。なお、売却対象となる事業は、Fireman's Fund保険会社とその子会社、すなわちAmerican Automobile Insurance Company、Chicago Insurance Company、Interstate Fire & Casualty Company及びNational Surety Corporationによって引き受けられており、2023年の総保険料収入は合計17億ドルに上る。この取引は、2024年8月2日に、売却及び譲渡が完了したことが発表された。
2024年4月18日に、アラブ首長国連邦に拠点を置き、アブダビ証券取引所に上場している多角的地域保険会社Abu Dhabi National Insurance Company(ADNIC)へのAllianz Saudi Fransiの株式51%の売却が完了したと発表した。この取引は、中東での事業を合理化するAllianz Groupの事業戦略の一環と述べている。
2024年4月18日に、大手アクティブ投資運用会社のAllianz Global Investors(Allianz GI)は、中国証券監督管理委員会(CSRC)から、中国本土で外資100%の公募ファンド運用会社(FMC)として運営するための認可を取得したと発表した。この認可は、Allianz GIの中国本土市場への取り組みと、国内投資家に同社のグローバルな投資専門知識へのアクセスを提供する姿勢を強調するもの、と述べている。
2024年7月17日に、シンガポールの大手保険会社Income Insurance Limitedの少なくとも51%を取得する計画を発表した。急成長中のシンガポール保険市場での買収により、Allianzはアジアで9位から4位の総合保険会社に躍進することになる。
Allianzの2024年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2024年2月22日に、Allianz SEは、最大10億ユーロ規模の自社株買いプログラムと配当政策の修正を発表した。さらに、2024年8月7日に、Allianz SEは、2024年の自社株買いの総額を15億ユーロに拡大することを決定した、と発表した。Allianz SEは買い戻した株式を全て消却する。
2024年2月22日に、AlTi Tiedemann Globalが、Allianz X と Constellation Wealth Capital からの最大4億5,000万ドルの戦略的投資を歓迎すると発表した。
2024年3月1日に、Allianz SpAによる2億8,000万ユーロの対価でのAssicurazioni Generali S.p.A.からのTua Assicurazioni S.p.A.の買収が完了した、と発表した。これにより、イタリアの魅力的な損害保険部門で市場シェアが約1%ポイント増加する。また、Tua Assicurazioni S.p.A.の約500の代理店による販売能力の大幅な強化が図られる、としている。なお、この取引は、2023年10月12日に契約の締結が公表されていた。
2024年4月5日に、Allianz Global Corporate & Specialty SE (AGCS)が、Fireman's Fund子会社を通じて引き受けている米国 MidCorp及びEntertainment保険事業を、事業のフランチャイズ価値を反映した4億5,000万ドルの現金支払いで、Arch Capital Group Ltd.(Arch)の一部門である Arch Insurance North America に売却する契約を締結した、と発表した。この取引にはAllianzのリスク移転が含まれており、Archは事業に関連する約20億ドルの損失準備金を引き受ける。Archからの現金支払いと、事業を支援するAllianzの推定10億ドルの資本を合わせると、Allianz Groupの取引総額は14億ドルになると予想されている。なお、売却対象となる事業は、Fireman's Fund保険会社とその子会社、すなわちAmerican Automobile Insurance Company、Chicago Insurance Company、Interstate Fire & Casualty Company及びNational Surety Corporationによって引き受けられており、2023年の総保険料収入は合計17億ドルに上る。この取引は、2024年8月2日に、売却及び譲渡が完了したことが発表された。
2024年4月18日に、アラブ首長国連邦に拠点を置き、アブダビ証券取引所に上場している多角的地域保険会社Abu Dhabi National Insurance Company(ADNIC)へのAllianz Saudi Fransiの株式51%の売却が完了したと発表した。この取引は、中東での事業を合理化するAllianz Groupの事業戦略の一環と述べている。
2024年4月18日に、大手アクティブ投資運用会社のAllianz Global Investors(Allianz GI)は、中国証券監督管理委員会(CSRC)から、中国本土で外資100%の公募ファンド運用会社(FMC)として運営するための認可を取得したと発表した。この認可は、Allianz GIの中国本土市場への取り組みと、国内投資家に同社のグローバルな投資専門知識へのアクセスを提供する姿勢を強調するもの、と述べている。
2024年7月17日に、シンガポールの大手保険会社Income Insurance Limitedの少なくとも51%を取得する計画を発表した。急成長中のシンガポール保険市場での買収により、Allianzはアジアで9位から4位の総合保険会社に躍進することになる。
3|Generali
(1) SCR比率の推移
2024年上期末のSCR比率は、2023年末の220%から9%ポイント低下して、211%となった。
この要因については、以下の通りとなっている。
・営業利益の計上による資本形成で+11%ポイント
・市場の変動等で▲3%ポイント(経済的差異で▲1%ポイント(主に欧州国債のスプレッド拡大に起因するものだが、上場株式市場の成長とユーロ圏の金利の緩やかな上昇により部分的に緩和された)、非経済的差異で▲2%ポイント(主にイタリアとフランスで観察された解約傾向と、非営業保有及びその他の費用に関連)
・配当等の資本移動で▲7%ポイント(当期の未払配当と5億ユーロの自社株買いプログラムを反映)
・規制変更等により▲3%ポイント(年初から有効になったEIOPAの変更による)
・M&Aで▲8%ポイント(2024 年上半期の 2023年に比較してのSCRの増加7億ドルのうちの4億ドルをLiberty Segurosが牽引)
なお、2023年末の決算発表において、2024年に想定されるSCR比率への影響として、M&A(Liberty、Conning、China P&C, TUA Assicurazioni)で▲10%ポイント、戦略的買戻しで▲2%ポイント、UFR(終局フォワードレート)の変更で▲1%ポイント、VA(ボラティティ調整)ポートフォリオ及びその他のリスクフリーパラメーターの更新で▲1%ポイント、が挙げられていた。
また、通常の資本形成において、生命保険事業と損害保険事業の貢献により、SCRを超過する自己資本は26億ユーロ増加している。なお、(以前は非経済的差異において報告されていた)LTIP(長期インセンティブプラン)の影響と、グループのインセンティブ及び報酬プランも反映されている。
(1) SCR比率の推移
2024年上期末のSCR比率は、2023年末の220%から9%ポイント低下して、211%となった。
この要因については、以下の通りとなっている。
・営業利益の計上による資本形成で+11%ポイント
・市場の変動等で▲3%ポイント(経済的差異で▲1%ポイント(主に欧州国債のスプレッド拡大に起因するものだが、上場株式市場の成長とユーロ圏の金利の緩やかな上昇により部分的に緩和された)、非経済的差異で▲2%ポイント(主にイタリアとフランスで観察された解約傾向と、非営業保有及びその他の費用に関連)
・配当等の資本移動で▲7%ポイント(当期の未払配当と5億ユーロの自社株買いプログラムを反映)
・規制変更等により▲3%ポイント(年初から有効になったEIOPAの変更による)
・M&Aで▲8%ポイント(2024 年上半期の 2023年に比較してのSCRの増加7億ドルのうちの4億ドルをLiberty Segurosが牽引)
なお、2023年末の決算発表において、2024年に想定されるSCR比率への影響として、M&A(Liberty、Conning、China P&C, TUA Assicurazioni)で▲10%ポイント、戦略的買戻しで▲2%ポイント、UFR(終局フォワードレート)の変更で▲1%ポイント、VA(ボラティティ調整)ポートフォリオ及びその他のリスクフリーパラメーターの更新で▲1%ポイント、が挙げられていた。
また、通常の資本形成において、生命保険事業と損害保険事業の貢献により、SCRを超過する自己資本は26億ユーロ増加している。なお、(以前は非経済的差異において報告されていた)LTIP(長期インセンティブプラン)の影響と、グループのインセンティブ及び報酬プランも反映されている。
(2) 感応度の推移
Generaliは、感応度について、半期ベースの数値は開示していない。2023年末に数値によれば、以下の通りとなっている。
Generaliは、過去数年間において、1)生命保険における軽資本商品のウェイトの拡大、2)損害保険、ユニットリンク、保障商品を通じての分散化の促進、3)段階的なデュレーションの短期化によるBTP(イタリア国債)のウェイトの引き下げ、4)資産・負債マッチングに関する規律のさらなる強化、を通じて、ソルベンシーII比率のボラティリティを引き下げてきた。
これにより、例えば金利に対する感応度は、2021年末から2022年末にかけて大きく低下していたが、2023年末もさらに低下した。また、社債スプレッドの拡大による影響は、2019年からプラスとなっていたが、2022年からはマイナスとなっている。
イタリア国債のBTPスプレッド+100bpsによる影響は、2021年までの3年間は二桁のマイナスと大きなものになっていたが、2022年末は▲5%ポイント、2023年末も▲6%ポイントとなっている。なお、2022年のBTPスプレッド感応度においては、カントリー・ボラティリティ調整6が発動されたが、この発動がなければ、2022年のBTPスプレッド+100bpsに対する感応度は▲8%ポイントであった。2023年のBTPスプレッド+100 bpsに対する感応度についてカントリー・ボラティリティ調整は発動されていない。
株式に対する感応度は25%の変動で数%ポイントと安定している。
Generaliは、感応度について、半期ベースの数値は開示していない。2023年末に数値によれば、以下の通りとなっている。
Generaliは、過去数年間において、1)生命保険における軽資本商品のウェイトの拡大、2)損害保険、ユニットリンク、保障商品を通じての分散化の促進、3)段階的なデュレーションの短期化によるBTP(イタリア国債)のウェイトの引き下げ、4)資産・負債マッチングに関する規律のさらなる強化、を通じて、ソルベンシーII比率のボラティリティを引き下げてきた。
これにより、例えば金利に対する感応度は、2021年末から2022年末にかけて大きく低下していたが、2023年末もさらに低下した。また、社債スプレッドの拡大による影響は、2019年からプラスとなっていたが、2022年からはマイナスとなっている。
イタリア国債のBTPスプレッド+100bpsによる影響は、2021年までの3年間は二桁のマイナスと大きなものになっていたが、2022年末は▲5%ポイント、2023年末も▲6%ポイントとなっている。なお、2022年のBTPスプレッド感応度においては、カントリー・ボラティリティ調整6が発動されたが、この発動がなければ、2022年のBTPスプレッド+100bpsに対する感応度は▲8%ポイントであった。2023年のBTPスプレッド+100 bpsに対する感応度についてカントリー・ボラティリティ調整は発動されていない。
株式に対する感応度は25%の変動で数%ポイントと安定している。
6 国固有の参照ポートフォリオのリスク修正スプレッドがリスクフリーレートを少なくとも100 bps上回り、通貨固有の参照ポートフォリオのスプレッドの2倍を超える場合、通貨スプレッドの2倍を超える国内スプレッドの超過額の65% に相当する国固有のボラティリティ調整が追加される。
(3)トピック
Generaliの2024年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2024年1月8日に、2029年1月と 2034年1月に満期となる 2つのユーロ建てシニア債の新たな発行を無事完了したと発表した。いずれもグリーン、ソーシャル、サステナビリティ債フレームワークに従って「グリーン」フォーマットで発行された。
2024年1月10日に、約9,900万ユーロの対価でGCI(ジェネラリ中国保険会社)の51%を買収する契約に署名し、GCIの100%株主になる、と発表した。
2024年1月31日に、Liberty MutualからのLiberty Segurosの買収が完了したと発表した。これにより、スペイン(4位)とポルトガル(2位)での損保ポジションを強化し、アイルランドと北アイルランドに参入する。取引総額は23億ユーロとなり、グループのソルベンシーII比率への影響は約▲9.7%ポイントと推定されている。
2024年3月1日に、2023年10月12日に公表されたTUA Assicurazioni SpAのAllianzへの売却が完了した、と発表した。この取引により、純利益に対して約 5,000 万ユーロのプラスの影響が生じ、正常純利益(特殊要因等を除いた実態ベースの純利益)に対しては中立的な影響が生じ、グループのソルベンシーII比率が約1%ポイント増加する、としている。
2024年4月3日に、2023年7月6日に発表した通り、Cathay Financial Holdingsの子会社であるCathay LifeからのConning Holdings Limited(CHL)とその関連会社の買収を完了したことを発表した。この取引の結果、CHLの全株式は新規発行株式と引き換えにGenerali Investments Holding S.p.A. (GIH)に拠出され、Cathay Lifeは16.75 %の株式を保有するGIHの少数株主となり、資産運用事業でGeneraliとの長期的パートナーシップを確立する。Conningとその関連会社は、約1,570億ドル(1,440億ユーロ)の運用資産を持ち、保険会社やその他の機関顧客のニーズに応える世界的な資産管理会社である。この買収により、Generali Groupの運用資産総額(AUM)は8,870億ドル(8,030億ユーロ)になる。なお、Generali又はGIHがCathay Lifeに対して支払うべき現金の前払いはなく、グループのソルベンシーII比率への影響はごくわずかであると想定されている。
2024年4月24日に、2022~2024年度戦略計画の実施の一環として、資本管理方針に関連して自社株を消却するための自社株買いスキームが承認された、と発表した。これによれば、総支出額は最大5億ユーロで、いかなる場合でも株式の最大数は会社の株式資本の3%を超えない。この自社株買いプログラムは、配当金の分配に加えて株主に報酬を提供することを目的としている。これについては、2024年8月9日に、総額最大5億ユーロの自社株買いプログラムを開始するとの発表が行われ、その後8月19日や8月26日等に実際の自社株買いに関する報告が行われてきている。
Generaliの2024年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2024年1月8日に、2029年1月と 2034年1月に満期となる 2つのユーロ建てシニア債の新たな発行を無事完了したと発表した。いずれもグリーン、ソーシャル、サステナビリティ債フレームワークに従って「グリーン」フォーマットで発行された。
2024年1月10日に、約9,900万ユーロの対価でGCI(ジェネラリ中国保険会社)の51%を買収する契約に署名し、GCIの100%株主になる、と発表した。
2024年1月31日に、Liberty MutualからのLiberty Segurosの買収が完了したと発表した。これにより、スペイン(4位)とポルトガル(2位)での損保ポジションを強化し、アイルランドと北アイルランドに参入する。取引総額は23億ユーロとなり、グループのソルベンシーII比率への影響は約▲9.7%ポイントと推定されている。
2024年3月1日に、2023年10月12日に公表されたTUA Assicurazioni SpAのAllianzへの売却が完了した、と発表した。この取引により、純利益に対して約 5,000 万ユーロのプラスの影響が生じ、正常純利益(特殊要因等を除いた実態ベースの純利益)に対しては中立的な影響が生じ、グループのソルベンシーII比率が約1%ポイント増加する、としている。
2024年4月3日に、2023年7月6日に発表した通り、Cathay Financial Holdingsの子会社であるCathay LifeからのConning Holdings Limited(CHL)とその関連会社の買収を完了したことを発表した。この取引の結果、CHLの全株式は新規発行株式と引き換えにGenerali Investments Holding S.p.A. (GIH)に拠出され、Cathay Lifeは16.75 %の株式を保有するGIHの少数株主となり、資産運用事業でGeneraliとの長期的パートナーシップを確立する。Conningとその関連会社は、約1,570億ドル(1,440億ユーロ)の運用資産を持ち、保険会社やその他の機関顧客のニーズに応える世界的な資産管理会社である。この買収により、Generali Groupの運用資産総額(AUM)は8,870億ドル(8,030億ユーロ)になる。なお、Generali又はGIHがCathay Lifeに対して支払うべき現金の前払いはなく、グループのソルベンシーII比率への影響はごくわずかであると想定されている。
2024年4月24日に、2022~2024年度戦略計画の実施の一環として、資本管理方針に関連して自社株を消却するための自社株買いスキームが承認された、と発表した。これによれば、総支出額は最大5億ユーロで、いかなる場合でも株式の最大数は会社の株式資本の3%を超えない。この自社株買いプログラムは、配当金の分配に加えて株主に報酬を提供することを目的としている。これについては、2024年8月9日に、総額最大5億ユーロの自社株買いプログラムを開始するとの発表が行われ、その後8月19日や8月26日等に実際の自社株買いに関する報告が行われてきている。
(2024年09月04日「保険・年金フォーカス」)
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