2023年12月22日

IFRS第17号(保険契約)を巡る動向について 2023-欧州大手保険グループの開示の状況とFRCのレビュー-

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■要旨

保険契約のための新たな国際的な会計基準である「IFRS第17号(保険契約)」については、2023年1月1日以後開始する事業年度から適用開始となっている。

IFRS第17号に関しては、これまでも何回かのレポートで報告してきた。2022年には、基礎研レポート「IFRS第17号(保険契約)を巡る動向について-欧州大手保険グループの対応状況-」(2022.10.4)で、欧州大手保険グループが2022年8月に公表した2022年上半期報告時の資料等において説明している、IFRS第17号の適用方針や取組状況等の概要について報告した。さらに基礎研レポート「IFRS第17号(保険契約)を巡る動向について-欧州大手保険グループの対応状況(その2)-」(2022.12.16)で、欧州大手保険グループが、2022年11月から12月にかけて、2022年第3四半期報告時や投資家やアナリスト向けの説明会等において、IFRS第17号及びIFRS第9号(金融商品)の適用による影響度等を開示したことから、この概要について報告した。加えて、基礎研レポート「IFRS第17号(保険契約)を巡る動向について-カナダの大手生命保険グループの対応状況-」(2022.10.17)で、カナダの大手生命保険グループによるIFRS第17号の情報開示を巡る動向について報告した。

2023年に入ってから、実際にこれらの公表資料で表明された方針等に基づいた数値が、各保険グループから、第1四半期ないしは第2四半期決算の発表時に公表されてきている。
これに対して、これらの公表時におけるIFRS第17号に関する開示内容等については、各種の意見も表明されてきている。その中でも、英国のFRC(財務報告審議会)は、2023年11月15日に、英国の10社の中間財務諸表を検討して、「IFRS第17号の会社の初期適用に関するテーマ別レビュー」を公表 している。

今回のレポートでは、欧州大手保険グループ5社(AXA、Allianz、Generali、Aviva、Zurich)の2023年上半期報告におけるIFRS第17号の開示情報の中から、関係者の関心が高いと思われる、割引率やリスク調整等の項目の記述内容について報告する。併せて、FRCによるレビューの概要について報告する。なお、以下の報告やレビューからの記述は、筆者の理解等による翻訳に基づいている。

■目次

1―はじめに
2―IFRS第17号の開示-欧州大手保険Gの状況-
  1|AXA
  2|Allianz
  3|Generali
  4|Aviva
  5|Zurich
  6|5社の記述内容のまとめ(概要)
  7|5社の実際の適用割引率と記述のまとめ(概要)
3―FRCによるテーマ別レビューの概要
  1|全体概要及びこのテーマ別レビューの位置付け
  2|主な所見の概要
  3|テーマ別レビューの内容
4―まとめ
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中村 亮一

研究・専門分野

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