2024年06月11日

定年後の女性の働き方~よりポジティブな選択の機会へ

生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子

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■要旨

中高年女性の中には、定年退職後も働き続けることを望む女性も多い。そこで、女性が定年後も働き続ける場合にどんな仕事や働き方をしているかについて、政府統計や、公益財団法人21世紀職業財団の調査結果を基にまとめた。

それらによると、女性の場合、50代後半まで正社員として長期勤続してきた人は、定年後も、同じ会社で働き続ける場合が多数派である。所得水準は、契約社員に変わっても、パートに変わっても、定年前の正社員時代に比べれば低下する。この点は男性と変わらない。ただし雇用形態をみると、男性と違って、定年後はパート・アルバイトとして働く人が半数近くを占める。60代前半の女性でパートだと、大抵、年間所得は200万円未満になるが、男性ほど家計責任が大きくないために、選択している可能性がある。むしろ、勤務日や勤務時間が減ることで、身体への負担が軽くなったり、趣味や介護など私生活との両立がしやすくなったりする面もある。

一方、仕事の内容については、定年後も働く女性のうち約3割が、定年前から変化している。希望に反して、新しい仕事に就いている女性も一定程度いる。実際に、定年後の女性が従事している職種を見ると、50代後半で就業者が多かった営業事務や営業は減り、代わりに、カスタマーサポートや接客サービスが増えている。60歳を超えると、組織の中でも役割が変わることから、このような新たな仕事に就いている人もいると考えられる。

■目次

1――はじめに
2――定年後の女性の働き方
  2-1│60歳代前半女性の所得分布
  2-2│定年後の勤め先
  2-3│定年後の雇用形態
  2-4│定年後の就業形態
  2-5│定年後の勤務先の業種
  2-6│定年後の勤務先の職種
  2-7│定年後の仕事内容の変化
  2-8│定年後の働き方に関するまとめ
3――終わりに

(2024年06月11日「基礎研レポート」)

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生活研究部   准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任

坊 美生子 (ぼう みおこ)

研究・専門分野
中高年女性のライフデザイン、高齢者の交通サービス、ジェロントロジー

経歴
  • 【職歴】
     2002年 読売新聞大阪本社入社
     2017年 ニッセイ基礎研究所入社

    【委員活動】
     2023年度~ 「次世代自動車産業研究会」幹事
     2023年度  日本民間放送連盟賞近畿地区審査会審査員

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