2024年06月06日

ブラジルGDP(2024年1-3月期)-内需主導で再び前期比プラス成長に

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:前期比0.8%と再びプラス成長に

6月4日、ブラジル地理統計院(IBGE)は国内総生産(GDP)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【実質GDP成長率(2024年1-3月期)】
前年同期比伸び率(未季節調整値)は2.5%、市場予想1(2.5%)と一致、前期(2.1%)から上昇した(図表1・2)。
前期比伸び率(季節調整値)は0.8%、予想(0.7%)を上回り、前期(▲0.1%)からプラスに転じた。

(図表1)ブラジルの実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表2)ブラジルの実質GDP成長率(産業別寄与度)
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:内需主導の成長

24年1-3月期の実質GDP伸び率は前期比0.8%(季節調整値、年率換算3.1%)となり、前期(前期比▲0.1%、年率換算▲0.2%)からプラスに転じた。コロナ禍前(19年10-12月期)比では7.8%だった(図表4・5)。伸びのトレンドが見やすい前年比では2.5%となり、前期(2.1%)から上昇している。

成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費が1.5%(前期:▲0.3%)、政府消費が▲0.0%(前期:0.9%)、投資が4.1%(前期:0.5%)、輸出が0.2%(前期:▲0.0%)、輸入が6.5%(前期:1.4%)だった。内需の個人消費や投資が成長をけん引した。下記でも見るように、インフレ率が低下し、政策金利も引き下げられていることが内需を中心とした成長に寄与したと見られる。一方、輸出の伸びは低めの伸び率にとどまった。

コロナ禍前との対比では、個人消費が6.9%、政府消費が5.7%、投資が15.0%、輸出が19.4%、輸入が11.5%だった(図表4)。
(図表3)業種別のGDP伸び率
(図表4)ブラジルの実質GDPの動向(需要項目別)/(図表5)ブラジルの実質GDPの動向(供給項目別)
産業分類別に実質GDPの伸び率を見ると(図表3・5)、第一次産業は前期比11.3%(前期:▲7.4%)、第二次産業は同▲0.1%(前期:1.2)、第三次産業は同1.4%(前期:0.5%)だった。第一次産業は高成長を記録し前期のマイナス成長を取り戻した形となった。

より細かい業種では、第二次産業のうち電気・ガスが前期比▲1.6%のマイナス幅が大きい。一方で、第三次産業のうち卸・小売業(前期比3.0%)、情報通信業(2.1%)が高めの伸び率を記録した(図表3)。
(図表6)ブラジルの名目および実質成長率 1-3月期の名目成長率は前年同期比5.1%(前期:7.2%)と低下した。その結果、名目と実質成長率の差(デフレータに相当)は2.6%(前期:5.1%)となり、98年10-12月期(2.5%)以来の低い数値となった。なお、消費者物価指数(IPCA)は、4月で前年比3.7%と中銀目標(3±1.5%)は達成しているものの、GDPデフレータよりやや高めの伸び率となっている。

交易条件に関しては、輸出デフレータが輸入デフレータいずれも低下するなか、交易利得は前期に比べてやや縮小した。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年06月06日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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