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- 2024年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.4%(年率▲1.6%)を予測~
2024年04月30日
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● 1-3月期は年率▲1.6%のマイナス成長を予測
2024年1-3月期の実質GDPは、前期比▲0.4%(前期比年率▲1.6%)と2四半期ぶりのマイナス成長になったと推計される1。
公的需要は増加したものの、物価高による下押しが続く中、不正問題発覚による生産・出荷停止で自動車販売が大きく落ち込んだことから、民間消費が前期比▲0.2%と4四半期連続で減少し、能登半島地震の影響などから設備投資も前期比▲0.9%と2四半期ぶりに減少した。輸出が前期比▲3.4%の減少となり、輸入の減少幅(同▲1.5%)を上回ったことから、外需も前期比・寄与度▲0.4%(年率▲1.6%)と成長率の押し下げ要因となった。自動車不正問題の悪影響は民間消費、設備投資、輸出と広範囲に及んだとみられる。
実質GDP成長率への寄与度(前期比)は、国内需要が▲0.0%(うち民需▲0.2%、公需0.1%)、外需が▲0.4%と予測する。
名目GDPは前期比0.2%(前期比年率0.7%)と2四半期連続の増加となり、実質の伸びを大きく上回るだろう。GDPデフレーターは前期比0.6%(10-12月期:同0.4%)、前年比3.7%(10-12月期:同3.9%)と予測する。国内需要デフレーターが前期比0.4%(10-12月期:同0.4%)と13四半期連続で上昇したことに加え、輸出デフレーターが前期比0.3%の上昇となり、輸入デフレータ―の伸び(同▲0.4%)を上回ったことが、GDPデフレーターを押し上げた。
5/16に内閣府から2024年1-3月期のGDP速報が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、2023年10-12月期の実質GDP成長率は設備投資の下方修正などから、前期比年率0.4%から同0.1%へ下方修正されると予想している。
この結果、2023年度の実質GDPは前年比1.3%(2022年度は1.5%)、名目GDPは前年比5.4%(2022年度は2.3%)といずれも3年連続のプラス成長となることが見込まれる。名目GDP成長率が5%台となれば、1991年度(5.3%)2以来、32年ぶりとなる。
2023年度の実質GDPは3年連続のプラス成長となったが、年度内成長率(2023年1-3月期から2024年1-3月期までの伸び率)は▲0.3%のマイナスとなることが見込まれる。日本経済は2023年度を通して停滞が続いたと判断される。
2024年4-6月期は、2024年春闘の結果を受けて名目賃金の伸びが高まる中、所得・住民減税による可処分所得の押し上げ効果もあり、民間消費が5四半期ぶりに増加すること、高水準の企業収益を背景に設備投資が増加に転じることなどから、現時点では年率1%台後半のプラス成長を予想している。
1 4/30までに公表された経済指標をもとに予測している。今後公表される経済指標の結果によって予測値を修正する可能性がある。
2 2015年基準支出側GDP系列簡易遡及による
公的需要は増加したものの、物価高による下押しが続く中、不正問題発覚による生産・出荷停止で自動車販売が大きく落ち込んだことから、民間消費が前期比▲0.2%と4四半期連続で減少し、能登半島地震の影響などから設備投資も前期比▲0.9%と2四半期ぶりに減少した。輸出が前期比▲3.4%の減少となり、輸入の減少幅(同▲1.5%)を上回ったことから、外需も前期比・寄与度▲0.4%(年率▲1.6%)と成長率の押し下げ要因となった。自動車不正問題の悪影響は民間消費、設備投資、輸出と広範囲に及んだとみられる。
実質GDP成長率への寄与度(前期比)は、国内需要が▲0.0%(うち民需▲0.2%、公需0.1%)、外需が▲0.4%と予測する。
名目GDPは前期比0.2%(前期比年率0.7%)と2四半期連続の増加となり、実質の伸びを大きく上回るだろう。GDPデフレーターは前期比0.6%(10-12月期:同0.4%)、前年比3.7%(10-12月期:同3.9%)と予測する。国内需要デフレーターが前期比0.4%(10-12月期:同0.4%)と13四半期連続で上昇したことに加え、輸出デフレーターが前期比0.3%の上昇となり、輸入デフレータ―の伸び(同▲0.4%)を上回ったことが、GDPデフレーターを押し上げた。
5/16に内閣府から2024年1-3月期のGDP速報が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、2023年10-12月期の実質GDP成長率は設備投資の下方修正などから、前期比年率0.4%から同0.1%へ下方修正されると予想している。
この結果、2023年度の実質GDPは前年比1.3%(2022年度は1.5%)、名目GDPは前年比5.4%(2022年度は2.3%)といずれも3年連続のプラス成長となることが見込まれる。名目GDP成長率が5%台となれば、1991年度(5.3%)2以来、32年ぶりとなる。
2023年度の実質GDPは3年連続のプラス成長となったが、年度内成長率(2023年1-3月期から2024年1-3月期までの伸び率)は▲0.3%のマイナスとなることが見込まれる。日本経済は2023年度を通して停滞が続いたと判断される。
2024年4-6月期は、2024年春闘の結果を受けて名目賃金の伸びが高まる中、所得・住民減税による可処分所得の押し上げ効果もあり、民間消費が5四半期ぶりに増加すること、高水準の企業収益を背景に設備投資が増加に転じることなどから、現時点では年率1%台後半のプラス成長を予想している。
1 4/30までに公表された経済指標をもとに予測している。今後公表される経済指標の結果によって予測値を修正する可能性がある。
2 2015年基準支出側GDP系列簡易遡及による
● 主な需要項目の動向
・民間消費~物価高に自動車大幅減産の悪影響が加わり、4四半期連続の減少~
民間消費は前期比▲0.2%と4四半期連続の減少を予測する。
民間消費は前期比▲0.2%と4四半期連続の減少を予測する。

2024年1-3月期の消費関連指標を確認すると、外食産業売上高が前期比1.9%(10-12月期:同▲0.1%)、延べ宿泊者数が前期比3.8%(10-12月期:同▲0.8%)と増加したが、小売業販売額指数が前期比0.0%(10-12月期:同▲2.1%)の横ばいにとどまり、自動車販売台数が前期比▲17.5%(10-12月期:同1.3%)と急速に落ち込んだ(いずれもニッセイ基礎研究所による季節調整値、外食産業売上高、小売販売額指数は消費者物価指数で実質化)。
・民間設備投資~2四半期ぶりの減少~
民間設備投資は前期比▲0.9%と2四半期ぶりの減少を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷指数(除く輸送機械)は2023年10-12月期の前期比1.0%の後、2024年1-3月期は同▲3.4%となった。また、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2023年10-12月期に前期比▲1.3%と3四半期連続の減少となった後、2024年1、2月の平均は10-12月期を2.1%上回っている。日銀短観2024年3月調査では、2023年度の設備投資計画(全規模・全産業、含むソフトウェア・研究開発投資額、除く土地投資額)が12月調査から▲1.9%下方修正され、前年度比10.2%となった後、2024年度の当初計画は前年比4.5%となり、2023年度当初計画(前年度比4.4%)と同程度の伸びとなった。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に基調としては底堅さを維持していると判断されるが、2024年1-3月期は能登半島地震の影響などから、2四半期ぶりに減少したとみられる。
民間設備投資は前期比▲0.9%と2四半期ぶりの減少を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷指数(除く輸送機械)は2023年10-12月期の前期比1.0%の後、2024年1-3月期は同▲3.4%となった。また、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2023年10-12月期に前期比▲1.3%と3四半期連続の減少となった後、2024年1、2月の平均は10-12月期を2.1%上回っている。日銀短観2024年3月調査では、2023年度の設備投資計画(全規模・全産業、含むソフトウェア・研究開発投資額、除く土地投資額)が12月調査から▲1.9%下方修正され、前年度比10.2%となった後、2024年度の当初計画は前年比4.5%となり、2023年度当初計画(前年度比4.4%)と同程度の伸びとなった。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に基調としては底堅さを維持していると判断されるが、2024年1-3月期は能登半島地震の影響などから、2四半期ぶりに減少したとみられる。
・公的固定資本形成~3四半期ぶりの増加~
公的固定資本形成は2023年度補正予算の効果などから前期比2.7%と3四半期ぶりの増加を予測する。
公的固定資本形成は2023年度補正予算の効果などから前期比2.7%と3四半期ぶりの増加を予測する。
・外需~成長率を押し下げ~
外需寄与度は前期比▲0.4%(前期比年率▲1.6%)と2四半期ぶりのマイナスを予測する。輸出が前期比▲3.4%の減少となり、輸入の減少幅(同▲1.5%)を上回ったことから、外需は成長率の押し下げ要因となった。
外需寄与度は前期比▲0.4%(前期比年率▲1.6%)と2四半期ぶりのマイナスを予測する。輸出が前期比▲3.4%の減少となり、輸入の減少幅(同▲1.5%)を上回ったことから、外需は成長率の押し下げ要因となった。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年04月30日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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