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年金将来見通しの経済前提は、内閣府3シナリオにゼロ成長を追加-2024年夏に公表される将来見通しへの影響

保険研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任 中嶋 邦夫
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2024年4月12日に、新しい公的年金の将来見通し(財政検証)に用いられる経済前提が公表された。本稿では、経済前提が将来見通しに影響する経路を確認した上で、今回の前提の特徴と将来見通しへの影響を考察する。
■目次
はじめに
1 ―― 経済前提が将来見通しに影響する経路
:(1)実質的な運用利回り(対賃金)、(2)実質賃金上昇率(対物価)、
(3)名目賃金上昇率や物価上昇率とマクロ経済スライドの調整率との差
1|経済前提の影響経路(1)
:実質的な運用利回り(対賃金)=名目運用利回り-名目賃金上昇率
2|経済前提の影響経路(2)
:実質賃金上昇率(対物価)=名目賃金上昇率-物価上昇率
3|経済前提の影響経路(3)
:名目賃金上昇率や物価上昇率とマクロ経済スライド調整率との大小関係
2 ―― 今回の経済前提の特徴
:(1)内閣府等に準拠した4ケース、(2)実質運用利回り(対物価)の上昇
1|今回の経済前提の特徴(1):内閣府等に準拠した4ケース
2|今回の経済前提の特徴(2):実質運用利回り(対物価)の上昇
3 ―― 将来見通しへの影響:前回と比べて やや改善方向へ拡大(下方は おおむね据え置き)
1|成長実現ケース:前回のケースIよりも、年金財政へ若干プラスに寄与
2|長期安定ケース:前回のケースIIやIIIよりも、年金財政へプラスに寄与
3|現状維持ケース:前回のケースIVとVの中間的な影響
4|1人当たりゼロ成長ケース:前回のケースVIに近い影響
5|今回のシナリオ間の関係:成長実現ケースと長期安定ケースの財政影響は同程度
4 ―― 総括:複数のシナリオに基づく見通しを確認し、希望する前提の実現に向けた行動変化を
(2024年04月19日「基礎研レポート」)
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03-3512-1859
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
中嶋 邦夫のレポート
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