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- 人的資本経営の実践に資するオフィス戦略の在り方-メインオフィスは人的資本経営実践のためのプラットフォームに
2023年3月期から有価証券報告書において人的資本に関する情報開示(管理職に占める女性労働者の割合、男性の育児休業等取得率、男女の賃金の差異)が日本の上場企業に義務付けられたこと、機関投資家の間でESG(環境・社会・企業統治)投資の中でも人的資本を含むS(Social:社会)の要因を一層重視する動きが起こっていることなどを背景に、「人的資本経営」に対する日本企業の関心が高まっている。
経済産業省Webサイト によれば、「人的資本経営とは、人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方である」とされる。
経済産業省が2020年9月に公表した「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書」(通称「人材版伊藤レポート」) では、これからの在るべき人材戦略を特徴付けるものとして、「3つの視点(Perspectives)」と「5つの共通要素(Common Factors)」から成る「3P・5Fモデル」 が提唱されている。さらに同省は、「人材版伊藤レポート」が示した内容をさらに深掘り・高度化し、特に3P・5Fモデルという枠組みに基づいて、それぞれの視点や共通要素を人的資本経営で具体化させようとする際に、実行に移すべき取組、およびその取組を進める上でのポイントや有効となる工夫を示した、「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書」(通称「人材版伊藤レポート2.0」) を2022年5月に公表した。
本稿では、人材版伊藤レポートにて示された人的資本経営を特徴付ける視点・共通要素、人材版伊藤レポート2.0にて示された各視点・各共通要素の具体化のために実行すべき取組事項、その取組を推進する上でのポイントや工夫のうち、オフィス戦略が関連し大きく貢献し得る項目を抜粋し、その各項目に対するオフィス戦略の貢献の在り方について、筆者がこれまで提唱してきた独自のオフィス戦略論の考え方に基づいて考察することとしたい。このような考察を通じて、結論としては、「メインオフィス(本社、中核的な研究所、主要地域に立地する中核的な各種拠点など本拠となるオフィス)は、人的資本経営を実践するためのプラットフォーム(基盤)の役割を果たすべきである」との考え方を提案したい。
■目次
1――はじめに
2――全社的に取り組むべき人的資本経営の実践
3――「企業文化」「従業員エンゲージメント」「時間や場所にとらわれない働き方」に資する
オフィス戦略
4――「時間や場所にとらわれない働き方」とオフィス戦略の在り方
1|リモートワークの留意点~BCPに備えた準備・訓練、平時での生産性格差是正のサポート
2|オフィス戦略の非常に重要な論点であるハイブリッドワークの在り方
5――「従業員エンゲージメントの向上」に資するオフィス戦略の在り方
1|「フルパッケージ型」オフィスのすすめ
2|ウェルネス・ウェルビーイングの向上に資するフルパッケージ型オフィス
6――「企業文化の醸成」に資するオフィス戦略の在り方
7――人的資本経営に資するオフィスのリファレンスモデルとしての「クリエイティブオフィスの
基本モデル」
8――おわりに~メインオフィスを人的資本経営実践のためのプラットフォームに
(2024年03月29日「基礎研レポート」)
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社会研究部 上席研究員
百嶋 徹 (ひゃくしま とおる)
研究・専門分野
企業経営、産業競争力、産業政策、イノベーション、企業不動産(CRE)、オフィス戦略、AI・IOT・自動運転、スマートシティ、CSR・ESG経営
03-3512-1797
- 【職歴】
1985年 株式会社野村総合研究所入社
1995年 野村アセットマネジメント株式会社出向
1998年 ニッセイ基礎研究所入社 産業調査部
2001年 社会研究部門
2013年7月より現職
・明治大学経営学部 特別招聘教授(2014年度~2016年度)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
・(財)産業研究所・企業経営研究会委員(2007年)
・麗澤大学企業倫理研究センター・企業不動産研究会委員(2007年)
・国土交通省・合理的なCRE戦略の推進に関する研究会(CRE研究会) ワーキンググループ委員(2007年)
・公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会CREマネジメント研究部会委員(2013年~)
【受賞】
・日経金融新聞(現・日経ヴェリタス)及びInstitutional Investor誌 アナリストランキング 素材産業部門 第1位
(1994年発表)
・第1回 日本ファシリティマネジメント大賞 奨励賞受賞(単行本『CRE(企業不動産)戦略と企業経営』)
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