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- 中国経済:景気指標の総点検(2024年春季号)
2024年03月28日
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1.中国経済の概況
2023年の中国の実質GDP成長率は前年比+5.2%と、政府目標の「+5%前後」は達成された。もっとも、前年の22年にゼロコロナ対策の影響で成長率が減速した反動によるところが大きく、22年・23年の2年平均でみれば+4.1%となる。四半期毎の動きをみると、第4四半期(10~12月期)の経済成長率は実質で前年同期比+5.2%と、前期(7~9月期)の同+4.9%から伸びが加速した(図表-1)。一方、季節調整後の前期比では+1.0%と、前期の+1.5%から減速しており、景気は足踏み状態が続いたと評価できる。
24年1~2月の指標には一部で改善の動きもみられるが、全体としてみれば依然力強さを欠く状況にあるようだ。消費者信頼感指数(1月時点)は、雇用・所得の先行き、消費意欲ともに、マインドの強弱の境目である100を下回る状況が続いており(図表-2)、先行きへの不透明感から消費意欲は改善していない。また、住宅販売面積が前年同期比のマイナス幅が23年末から拡大するなど(図表-3)、不況が長期化する不動産市場についても依然出口が見えない状況にある。
物価の動向を見ると(図表-4)、工業生産者出荷価格(PPI)は、前年同月比マイナスの状態が22年10月以降17カ月連続で続いており、マイナス幅縮小の動きも足元では停滞している。消費者物価(CPI)に関しても、2月はプラスに転じたものの、春節の時期が23年と異なることの影響が主であり、実勢としては0%近傍での推移が続いている。
24年1~2月の指標には一部で改善の動きもみられるが、全体としてみれば依然力強さを欠く状況にあるようだ。消費者信頼感指数(1月時点)は、雇用・所得の先行き、消費意欲ともに、マインドの強弱の境目である100を下回る状況が続いており(図表-2)、先行きへの不透明感から消費意欲は改善していない。また、住宅販売面積が前年同期比のマイナス幅が23年末から拡大するなど(図表-3)、不況が長期化する不動産市場についても依然出口が見えない状況にある。
物価の動向を見ると(図表-4)、工業生産者出荷価格(PPI)は、前年同月比マイナスの状態が22年10月以降17カ月連続で続いており、マイナス幅縮小の動きも足元では停滞している。消費者物価(CPI)に関しても、2月はプラスに転じたものの、春節の時期が23年と異なることの影響が主であり、実勢としては0%近傍での推移が続いている。
2.供給面の3指標
鉱工業生産(実質付加価値ベース)を見ると(図表-5)、24年1~2月は前年同期比+7%と、前月(23年12月)に続き伸びが加速した。23年10~12月期からの伸び率の変化を業種別に見ると(図表-6)、鉱業は減速した一方、製造業とユーティリティは加速した。製造業のなかでは、食品や紡績、家具などの軽工業や、鉄精錬加工などの素材、コンピュータ・通信設備等で加速がみられた。外需の改善やシリコンサイクルの持ち直しの影響が表れていると考えられるほか、インフラ向けの需要が出てきている可能性がある。他方、23年中は好調が続いた電気機械や自動車については、伸びが低下しており、過剰生産の調整が影響している可能性がある。製造業のPMIを見ると(図表-7)、21年の夏場以降、24年2月に至るまで、一時期を除き50を下回る水準での推移が長らく続いており、景況感が好転するまでにはまだ様子見が必要な状況にある。サービス業のPMIを見ると(図表-8)、23年4月以降低下が続き、年末には50を下回る水準まで下がったが、24年1・2月には50を上回る水準に戻っており、悪化には歯止めがかかっている。もっとも、家計の消費マインドが依然弱いことを加味すると、改善の足取りは重いものとなるだろう。
3.需要面の3指標
個人消費の代表指標である小売売上高を見ると(図表-9)、1~2月は前年同期比+5.5%と、23年10~12月期(同+8.3%)から低下した。前期比でも1月から2月にかけて低下を続けており、消費の改善ペースは鈍っている。
投資の代表指標である固定資産投資(除く農家の投資)を見ると、1~2月は前年同期比+4.2%と23年10~12月期(同+2.7%)から加速した。内訳を見ると(図表-10)、不動産開発投資においては依然として前年同期比減の状況が続いており、不動産不況の影響に好転の兆しはみられない。一方、製造業の投資については23年に続き堅調な推移が続いており、内訳をみると軽工業やコンピュータ・通信設備等で伸びが加速している。インフラ投資についても、伸びは23年末から低下したものの小幅にとどまっている。23年の半ばに発行が加速した地方専項債や23年末から発行が始まっている特別国債により徐々に資金調達が進み、プロジェクトの実施につながっていると考えられる。所有形態別にみて(図表-11)、国有企業の伸びが加速していることもその可能性を示唆している。
輸出および輸入(ドルベース)の状況を見ると(図表-12)、1~2月は、それぞれ前年同期比+7.1%、同+3.5%となり、23年夏場以降、改善の傾向が続いている。上述の通り、外需の改善やシリコンサイクルの持ち直しの影響が表れていると考えられる。
投資の代表指標である固定資産投資(除く農家の投資)を見ると、1~2月は前年同期比+4.2%と23年10~12月期(同+2.7%)から加速した。内訳を見ると(図表-10)、不動産開発投資においては依然として前年同期比減の状況が続いており、不動産不況の影響に好転の兆しはみられない。一方、製造業の投資については23年に続き堅調な推移が続いており、内訳をみると軽工業やコンピュータ・通信設備等で伸びが加速している。インフラ投資についても、伸びは23年末から低下したものの小幅にとどまっている。23年の半ばに発行が加速した地方専項債や23年末から発行が始まっている特別国債により徐々に資金調達が進み、プロジェクトの実施につながっていると考えられる。所有形態別にみて(図表-11)、国有企業の伸びが加速していることもその可能性を示唆している。
輸出および輸入(ドルベース)の状況を見ると(図表-12)、1~2月は、それぞれ前年同期比+7.1%、同+3.5%となり、23年夏場以降、改善の傾向が続いている。上述の通り、外需の改善やシリコンサイクルの持ち直しの影響が表れていると考えられる。
(2024年03月28日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
・2009年:同 アジア調査部中国室
(2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
・2020年:同 人事部
・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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