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- ユーロ圏消費者物価(24年2月)-物価上昇の勢いが加速に転じる
2024年03月04日
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1.結果の概要:総合指数、コア指数ともにわずかに低下
3月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)は24年2月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
【総合指数】
・前年同月比は2.6%、市場予想1(2.5%)から上振れ、前月(2.8%)から下落した(図表1)
・前月比は0.6%、予想(0.6%)と一致、前月(▲0.4)からプラスに転じた
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は3.1%、予想(2.9%)から上振れ、前月(3.3%)から低下した(図表2)
・前月比は0.7%、前月(▲0.9%)からプラスに転じた
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:物価上昇の勢いが加速
24年2月のHICP上昇率3(前年同月比)は全体で2.6%となり、1月の2.8%からわずかに低下した。「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は3.1%と総合指数より高めの伸び率であるが、こちらも1月の3.3%からわずかに低下した。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が23年12月2.5%→24年1月2.0%→2月1.6%となり、2%を割った。一方、「サービス」(エネルギーを除く)は23年11月12月4.0%→24年1月4.0%→2月3.9%で、やや低下したものの、ここのところ横ばい圏での動きとなっている。前年同月比寄与度は、「財」が0.38%ポイント程度、「サービス」が1.62%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で23年12月▲6.7%→24年1月▲6.1%→2月▲3.7%とマイナスが続いている。ただし、マイナス幅は縮小しており、前月比では1.5%の上昇となった。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.48%ポイント程度と見られる。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が23年12月2.5%→24年1月2.0%→2月1.6%となり、2%を割った。一方、「サービス」(エネルギーを除く)は23年11月12月4.0%→24年1月4.0%→2月3.9%で、やや低下したものの、ここのところ横ばい圏での動きとなっている。前年同月比寄与度は、「財」が0.38%ポイント程度、「サービス」が1.62%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で23年12月▲6.7%→24年1月▲6.1%→2月▲3.7%とマイナスが続いている。ただし、マイナス幅は縮小しており、前月比では1.5%の上昇となった。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.48%ポイント程度と見られる。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で4.0%(1月5.2%)と11か月連続で低下した(図表3)。飲食料のうち加工食品の伸び率は4.5%(1月5.2%)と低下傾向が続き、未加工食品も2.2%(1月6.9%)と大幅に低下した。飲食料の前年同月比寄与度は0.86%ポイント程度(1月は1.13%ポイント)と見られる。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が1.4%、コアが2.4%、エネルギーを除く財が1.1%、サービスが3.1%、飲食料が2.8%となった。足もとでは総合指数やエネルギーを除く財について2%を下回る状況が続いているが、2月は1月(総合指数で0.5%、財で0.3%)から伸びが加速した。また、コアやサービスも2月の伸びも1月(コアで1.5%、サービスで2.2%)から加速している。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が1.4%、コアが2.4%、エネルギーを除く財が1.1%、サービスが3.1%、飲食料が2.8%となった。足もとでは総合指数やエネルギーを除く財について2%を下回る状況が続いているが、2月は1月(総合指数で0.5%、財で0.3%)から伸びが加速した。また、コアやサービスも2月の伸びも1月(コアで1.5%、サービスで2.2%)から加速している。
国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中、上昇したのは6か国、残りの14か国は低下した(図表5)。また、物価目標の2%を下回った国は4か国だった。なお、前月比ではすべての国がプラスの伸び率となっている(図表6)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年03月04日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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